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夜のスケッチ・港で

category: 作文1  

夜のスケッチ・・・
この前は、あの、『 Sleeping elderly woman 』 の丘へ行きましたが、今夜は、カオルの希望で、港へ行きます。
今夜のカオル、いいスケッチが描けるんでしょうか?
そして、鋼牙は、カオルのために・・・


    

 
 
     ・・・・・夜のスケッチ・港で・・・・・
                           <3.27.2011>


あの丘、『Sleeping elderly woman』 の丘へ、スケッチに行った満月の夜から、1週間あまり・・・
あの後、もう1回、場所探しに付きあったが、カオルの気に入ったところが見つからず、ただ歩いただけで、屋敷に戻った。
今夜で、3回目。
もう慣れたもので、自分担当の荷物を持って、カオルと一緒にただ、ひたすら歩いていた。
そろそろ11時を過ぎるはずだ。
もう帰らないか? そう言おうとした時・・・

「海・・・」

「は?」

「鋼牙、海の見える港に行きたい」

「今からか? もうそろそろ11時が来てるはずだが・・・」

「駄目かな? なんか今、閃いたんだけど」

「港といってもな・・・ 埠頭か? それとも、公園? 倉庫? どこだ?」

「ん---・・・ できれば、埠頭? で、なければ、倉庫、かな?」

「埠頭だな? よし、こっちだ。  
 カオル、急がないと、今夜眠る時間が無くなるぞ」

「うん、ありがと、鋼牙」

俺は、カオルと繋いだ手を引っ張り、早足で歩きだした。
横で、 「コンパスの長さが違う~」 だの、 「遅くなっても朝ゆっくり起きればいいのに」 とか、カオルがごちゃごちゃ言ってるが、そういうわけにはいかないだろう。
さっさと行って、描いて、帰るんだ。

15分ぐらい歩いて埠頭に着いたときには、カオルは肩で息をしていた。

「鋼牙、あれは、歩くって言わないわよ! 小走りって言うの--
 足の長さが全然違うんだから、せめて鋼牙は普通に歩いてよ~~
 普通に歩いて、やっとわたしの早足なんだからね~
 ねぇ、鋼牙、聞いてる?」

「ああ、聞いてる。
 だけど、カオル、おかげで早く着いただろう?
 文句はそれぐらいにして、早く描かないと、 
 あと30分ぐらいは大丈夫だろうが、
 そのあとはたぶん、月が雲に隠れて闇夜になるぞ。
 それでも、いいのか?」

「ぇえ--! そうなの?  それって急がなくっちゃ。
 ん~~~~  そうねぇ~
 え~~っと・・・
 あ、あそこがいい!
 ねえ、鋼牙、あの防波堤の上、わたし上がれるかな?」

カオルが指差した防波堤は、2m前後の高さがあったが、俺が先に上がって引っ張りあげれば、なんとかなるだろう。

「たぶん、大丈夫だ、よし、行くぞ」

「うん」

防波堤まで行って、まず荷物を上に上げておいて、少し後ろから助走をつけて、飛び上がる。
普段のホラー狩りに比べれば、朝飯前のことなんだが。

「さすが、ガロ!  鋼牙、すご~~い」

などと、カオルは妙に頓珍漢な事を言って感心している。

「ほら、そっちじゃない、左手を出せ」

右手を伸ばそうとしてしていたカオルは怪訝な顔をしている。

「左手を出せ、カオル。
 右手を引っ張って、力を入れ過ぎたりして、
 鉛筆を持つ手が震えたりしたらいけないだろう?
 ほら」

やっと納得したのか、左手を出したカオルを、防波堤の上まで引っ張り上げる。

「うわぁ~~ すご~~い!
 船が入るようになってるから、海が深くて、いつものところとは、全然雰囲気が違う~
 風が吹いてるから、海面に映った月が、
 ネオンみたいに波できらきら小さく分かれて光ってるし~
 ありがと、鋼牙、すっごくいい場所だよ、ここ」

「カオル、喋るのは後にして、さっさと、描けよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・描きます!」

わざと被せて話すカオルと、目だけで笑い合うと、カオルは、防波堤の上に座り込んでスケッチを始めた。
俺は、しばらく少し離れて立って海を見ていたが、カオルの傍へ行き、黙って真横に座り込んだ。
月が雲に隠れると言ったからだろう。
いつもなら、スケッチしている時に隣に座ると、怒られるか、ひどい時には変態呼ばわりされるんだが、今は、描くことに集中していて、隣に座ったことにも、たぶん気が付いていない。
スケッチブックを見ないようにして、身体ごと少し斜めになるように加減して、向きを変える。

そろそろ月が隠れるか・・・  空を見上げてそう思い始めた頃・・

「出来た!  あ~ 間に合った~~ 
 出来たよ、鋼・・うわぁ! びっくりしたぁ~~・・  
 鋼牙、いつの間に隣に来てたの? 全然気がつかなかった」

「やっぱりな」

「え?」

「いや、何でも無い・・・  終わったんなら、帰ろうか」

そう言って、俺が立ち上がり、とりあえず持てる分だけ先に持って下りようと、荷物をかき集めていたら、カオルは、眉間に皺を寄せて、俺の顔を、じ--っと、見ている。

「カオル、先に、俺が荷物を持って下りるから、ちょっと待ってろ。
 後で、お前を下ろしてやるから・・・  いいな」

「・・・うん・・・」

「・・・?・・・」

下に飛び降り、持っていた荷物を一旦置いて、残っていた荷物やスケッチブックもカオルから受け取り、置く。
最後に、大物の回収だが・・・

「カオル、端のところに後ろ向きに立って、目を瞑って、ゆっくり後ろに倒れろ。 
 俺が受け止めてやるから」

「ぇえ!  そんなの、怖いよ~~ 
 他になにか、いい手はないの? ねえ、鋼牙?!」

「いくら俺でも、その高さからお前を抱えて飛び降りるのはちょっとな・・・
 だいたい、そこへ上がることしか考えてなかったお前が悪い。
 諦めて、言う通りにしろ。
 俺のことが信じられないなら、置いて帰るぞ。  
 それと、もうひとつ・・・  
 早くしないと、真っ暗になって、受け止めることも出来なくなりそうだが・・・ 
 いいのか?  もう時間がないぞ、カオル」

「え---! わかった、わかりました!
 もう~~ やだぁ~~ こわいよ~~・・
 えっと~~ 端っこに、後ろ向きに立って・・・ 目を瞑って・・・
 鋼牙~ い~~い? 行くよ~~  
 ちゃんと、受け止めてよね~~ 絶対だよ~~」

「よし、早くしろ。 
 そのまま、気を失うように素直に後ろに倒れろ」

「・・・・・」

すぅぅぅ---・・・   ぐっ・・・・・

「カオル、無事、着地だ」

「鋼牙ぁ~~  うわぁ~~ん、怖かったよ~~」

足を下ろしたとん、俺の胸に抱きついて来るカオル・・・
苦笑しつつ、しばらく背中をさすってやっていた俺は、辺りが急に暗くなって、なんとかギリギリ間に合ったことにほっとする。

「カオル、そろそろ落ち着いたなら、帰ろうか。
 腹も減ったし、日付もそろそろ替わったはず・」

そう言いかけていた俺は、背中から首に、急に手をまわしたカオルに引っ張られ、前のめりになったところを、キスされる。

「鋼牙、しっかり受け止めてくれてありがとう。  
 それと・・・
 さっきは、スケッチしてるとき、風が当たらないように壁になっててくれて、ありがとう。
 鋼牙が立ち上がった途端に冷たい風が当たってわかったの・・・ 
 寒かったでしょ?  ほんと、ありがとう」

「カオル・・・  ”ありがとう” もいいが、俺にもう1回、ご褒美くれるか?」

「え?  うん、鋼牙の好きなように・・・」

辺りが暗い中、防波堤にカオルを押し付け、俺は、甘いご褒美を味わう。

「んん---・・・ こう・・・が・ぁ・・・」

「・・・・・・カオル・・・・・ぅ・・ん・・・」

防波堤の向こうから聞こえる、波の砕ける音とは違う、艶めかしい水音と、鼻に掛かった甘い息次の声が、どこか、遠くに聞こえる。
いつまでもこのまま、朝まででもずっと味わっていたかったが、カオルの力が抜けてきたのを感じて諦め、代わりにギュッと抱きしめる。
まだ、目を瞑ったまま、ほとんど放心状態のカオルの耳元に、ゆっくりと、言い聞かせるように、囁く。

「カオル・・・ カオル・・・ 大丈夫か?
 すまない、お前は甘過ぎて、俺はいつもやり過ぎる。
 そろそろ・・・ 帰れるか?」

「鋼牙・・・ 大丈夫、帰れるよ。 
 あのね・・・
 わたしには、鋼牙は・・・ 熱い、すごく熱いの・・・
 だから、いつも、鋼牙にのぼせちゃう。
 でも、いやじゃないの・・・  ううん、好き、大好き。
 だから・・・  また、してね」

「ああ、心得た。  さあ、帰ろう」

「うん」


防波堤から、ふつうの大通りには、まずは、海辺の公園を抜けないと、出られない。
その、公園のところまでたどり着いた時・・・

「あ、屋台のラーメン屋さんがいる。
 鋼牙、さっきお腹すいたって言ってたでしょう?
 ねえ、わたし、2000円持ってるから、食べてから帰ろうよ。
 ねぇ、食べよう~~」

「屋台のラーメン?  それ、美味いのか?」

「おいしいよ~~ 
 決まり! ほら、行こ」

カオルに引っ張られて、屋台に行く。
俺は、ラーメンというもの自体、あまり食べたことがなかったんだが、案外、美味いものなんだな。
今夜のは、一番ポピュラーなしょうゆ、らしいが、しょうゆ、とんこつ、塩、味噌と、どうやら屋台によって、いろいろな味があるらしい。
本当に、カオルといると、気にも留めなかったことや、新しいことに気づかされる。
それが、楽しい、と思える俺は・・・


屋敷への帰り道、夜の空気は結構冷え込んでいたが、カオルと繋いでいる手と同じで、俺の胸は、とても暖かかった・・・



2011_12_17

Comments

Re: 素敵なクリスマスになりそう~☆☆☆ 

おはようございます、hannah様。
am.1:24 なう。
そうなってほしいな~~と思いつつ、ついに、書きなおし4回目に突入している、クリスマス・ストーリー。
気分は、だんだんとクルシミマス、になってきましたが、とにかく頑張っています。 
う~~ん、どうしても気にいらなくて、タイムリミットは迫ってきてるんだけど、なんとかしたいんですよ。
よし、来年用のコニタン・カレンダーを眺めつつ、ファイトだ~!
なな  URL   2011-12-19 01:32  

Re: ずっとそばにいてほしい~ 

どうも、hannah様、こんばんは。
暖かい、優しいと言っていただいて、ありがとうございます。
クリスマス・・・・
目下、ある理由から一から書き直し中で、土曜に間に合わせるべく、眠気と格闘中です。(冷汗)
間に合うか?????
とにかく頑張りまっす!
なな  URL   2011-12-17 20:42  

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