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With time

Category: 作文1  

深夜のお風呂で湯に浸かって目を閉じて。
のんびりゆったりぼんやり、時々マジで寝かけていたりすると、夢現の頭の中にほわぁぁ~~ と、テレビのドラマよろしくいきなり映像が流れてきます。
で、今回はそんな感じで頭の中に流れた映像のひとつを文字化してみました。
え~と、時系列的には結婚してしばらく経ってはいるけど、でもまだ二人だけ、そんな感じかな~
では、超久しぶりでございますが、よろしくお願いいたしま~す。 





 
   ・・・ With time ~時と共に~ ・・・ 


昼前に屋敷に戻ってからは取り立てて急ぐ仕事も無く、庭で鍛練を終えた後は一人リビングのソファーに座って静かに本を読んでいた。
と、目の前のテーブルの上に香りのいい紅茶の入ったカップを置かれる。

「どうぞ、お茶をお持ちしました」

「ああ、ありがとう」

「鋼牙様」

「なんだ、どうかしたのか?」

本を脇に置いてカップに手を伸ばす俺に、心配顔のゴンザが目だけで上を見上げるようにしながら口を開く。

「実は、カオル様のことなのですが・・・
 このところほとんどお休みになっていないご様子でして」

『そういえばカオルの奴、このところあまり姿を見かけないな~
 ま、いつものように絵を描いているんだろうが。
 ゴンザ、カオルは籠ってどれくらいになるんだ~?』

絵本の挿絵の原画展というのが開かれるというのを聞いたのはいつだったか。
「これからね、展示会のために新しく何点か描き下ろすの。 頑張るね、鋼牙」 
そう言った笑顔のカオルはずいぶん張り切っていた。

「約1週間、でございましょうか」

「それは飯を食べに下りて来なくなってから、という意味だろう。
 絵に夢中になって周りが見えなくなる状態を言うのなら・・・
 今日で23日目だ」

「・・・・・・」  な、な、なんと、鋼牙様。
『・・・・・・』  へぇ~ そ~かいそ~かい

正しいことを言っただけなのに、こいつら何故黙る、というか、ザルバ、その開いたままの口は・・・

「なんだ」

『べ~つに~』
「い、いえ、なんでもございません。
 それよりも、このたびはいつにもまして根を詰められているご様子。
 カオル様のお身体が心配でございます」

「たしか、締め切りは明後日だったはず、だからもうそろそろ・・・」

『おや~? 鋼牙、噂をすればなんとやら。
 どうやらカオルが下りてきたようだぜ』

ザルバの言葉にドアの方に視線を向けると、ゆっくりとノブが回り始めて。

ガチャ・・・

「カオル様」

「ゴンザさん・・・ あ、鋼牙・・・
 終わった~~ や~っとできあがったの~~」

よろよろと目の前まで歩いて来たと思ったら俺の横に力が抜けるようにして座り込み、そのまま大きく息を吐きながら凭れかかってくる。

「はぁ~あ、疲・・れた」

「ふっ・・ カオル、お前もお茶を飲むか?」

「うん、ゴンザさんの淹れてくれる美味しいお茶が飲みたい」

「ただいま、すぐにお持ちいたします!」

カオルの言葉にゴンザは慌ててキッチンへと消えていった。

「ねぇ、鋼牙ぁ・・」

「ん?」

「お茶を飲んだら・・・ お風呂に入ってくる、ね。
 わたし、描くのに必死で、もう2日、入ってないの。
 あ・・・ ごめ・・ん、わたし、汚れてるし、それにたぶん、臭うよね」

「いや、そんなことはないと思うが・・・」

眠たそうに目をこすりながら、凭れかけていた身体をなんとか起こして自分で座ろうとしているようだが・・・

「ん~ ねむ・・・い・・・
 終ってホッとしたら、なんだか急に眠くなってきちゃった。 
 でも、お茶、飲んで・・ お風呂に、入んなきゃ・・・
 髪を、2回、シャンプー・・して・・・ 
 トリートメントも、して・・・
 あの、ラベンダーの、石鹸で・・ 身体を・・洗って・・・
 あったか~いお湯に、ゆ・・っくり・・浸かるの・・・
 それで・・・ね・・・ こ・う・・が・・・」

・・・カオル?

「すぅ――・・・ すぅ――・・・ すぅ――・・・」

ふぅ・・ タイムリミット、か・・・

横を見れば結局身体を起こしきれないまま、俺に凭れたようなそうでないような格好で。
首を折るように右に傾げて、妙に中途半端な感じのままで寝てしまっている。
そんなカオルの顎から頬を、伸ばした手の指の背でそっと撫で上げる。

ああ・・・ やはり、少し痩せた。
まさに疲労困憊、頑張ったんだな、カオル・・・

「カオル様、お待たせいたしました、お茶を・」

『ゴンザ、どうやらちょっとばかし遅かったようだな。
 カオルのやつ、たった今寝ちまったぜ』

「さようでございますか」

「ゴンザ、少し早いが風呂は?」

「お風呂でしたらいつでもお入りになれます」

「そうか、ならザルバを頼む。
 入りたがっていたから、カオルを風呂に入れてやって寝かせてくる」

「畏まりました、ではお着替えを用意しておきます」

「ああ、頼む」

腕を差し込み抱き上げて連れて行く。
一旦下ろして先に自分が脱ぎ、その後でカオルの着ている物をすべて脱がしてしまう。
普通ならこの段階で目が覚めるんだろうが・・・
カオルは絵を描く時にいったいどれだけ精魂を込めているのか。
こうなったが最後、これぐらいの風呂に入れる程度のことで目を覚ますことはまず無い。

浴室へのドアを開け、ゴンザが敷いておいてくれたマットの上にカオルを寝かせておいて、先に手早くざっとシャワーを浴びる。
それからマットに座った俺の脚を枕にするようにしてカオルの髪を洗い、言っていたとおりにトリートメントとやらもしてやって。
起こして俺に凭せかけるように抱え直すと、最近お気に入りだと言っていたラベンダーの石鹸を泡立ててゆっくりと洗い始める。
細い首筋・・・ きれいに浮いた鎖骨・・・ しなやかな腕に、優しく俺に触れる指、と、そこまで洗って。
次を洗おうとした手が・・・
いや、正しくは手よりも先に移した視線が止まり、無意識に息を詰めてしまった喉がゴクリと鳴って。
身体の熱が跳ね上がり、あまつさえ一点に集まり始める。

「はぁ・・・」 

力を抜きながら小さくひとつ息を吐き、目を閉じて騒ぐ身体を落ちつかせようとしてみる。
だが、お互いの仕事を優先させた1ヶ月、という日々の長さはさすがに・・・

「ふっ・・ しかたがない、か」

無理やり頭を切り替え空にして、スポンジを持つ手を再び動かし始める。
そうして洗い終えた身体をシャワーで流し終えたその後は、抱えたまま一緒に湯船の中に。
俺の腕の中、吸いつくようにしっとりとした透き通るように白い肌が温まり、うっすらとピンクに色づき始めたのを見計らって。
凝っている肩や腕、掌、そして指へと順にゆっくり手を這わせて、浸かった湯の中で揉み解していく。

この後、少しでも心地いい眠りが取れるように。
目が覚めた時、少しでも身体が楽であるように。
そう思いながら。

カオル、俺がお前にしてやれるのはこんなことぐらいなんだから。


風呂から上がり着させると、寝室に運んで寝かせてやる。
明日の朝ぐらいまではたぶん目が覚めることはないだろうが、喉が乾いて目が覚めた時のことを考えてサイドテーブルに水のボトルを置いておく。

その後、夜になっても急な仕事は入らず。
晩飯を一人で食べた後は早々に寝室に向かい、カオルの隣に静かに身体を滑りこませる。
そっと腕を潜り込ませていつものように抱え込めば、腕の中からは穏やかな寝息が・・・

出逢って・・・ いろいろあって・・・ 夫婦になって。
毎夜こうしてお前と共に眠りに就く度、俺はほっとするんだ。
知らないだろう? カオル・・・ 俺の・・・

しばらく寝顔を見ていたが、鼻先に小さく口づけて。
髪に頬を押し当てたままゆっくりと目を閉じる。
そうして耳に心地よいBGMに誘われるようにして、俺もまたゆっくりと意識を手放していった。


微かな振動に、少しずつ意識が覚醒していく。
ゆっくりと目を開け動かした視線の先に見えたのは、俺の腕を枕に背中を向けて眠るカオルの後ろ姿。
そうか、寝返りしたのか・・・
横向きに向かい合うようにして抱え込み寝たはずが、目が覚めてみると俺は仰向けになり、カオルは俺の腕を枕に向こうを向いて、それでもお互いの身体は触れたままで寝転んでいた。
目線でサイドテーブルに置いた水のボトルを見てみたが、飲んだ形跡は無い。
ということはカオルは昨日の夕方からずっと・・・

身体を動かし横に向きを変え、背中からすっぽりと覆うようにカオルを腕の中に抱え込み抱きしめて、鼻先で髪をかき分けるようにして首筋に顔を埋める。
そのままじっとしていると、昨夜風呂で使ったラベンダーの石鹸の香りと、それに混ざってカオルの甘いいい匂いが息をする度俺の胸の中に入ってくる。
カオル・・・
無意識のうちに抱きしめるのに回した腕にさらに力を込めていた。

「ぅ・・ん・・・・・・」

身じろぐ様子にハッとして顔を離し腕に入っていた力をそっと緩めた。
が、時既に遅し、カオルの安らかな眠りを妨げて目を覚まさせてしまった。

「ん~~~ ・・・あ・・れ?」

「カオル」

耳の側に顔を寄せて、掠れたように抑えた声でそっと囁きかける。

「・・・え? こ・・う・・が?」

ぼんやりとした寝起きの声で俺の名前を呼びながらカオルが首をひねり身体をこちらに向けてくる。

「ああ」

顔に零れかかった髪をかき上げてやり、そのまま額と目元に唇を落とす。

「おはよう、どうだ、よく眠れたか?」

「ん・・ まだ少し眠いけど・・ でも、だいぶすっきりしたかな」

「そうか」

「ね、鋼牙・・・」

「ん?」

「わたしが言ってたから・・ 鋼牙がお風呂、入れてくれたんだよね」

「・・・ああ」

両手が伸びてきて、頬に添えられ。
お返し、と言いながら俺がしたように口の端に小さく口づけられる。

「面倒かけてごめんね・・ 
 でも、おかげで重い服着てるみたいだったのがさっぱりしてて気持ちいい。
 身体がね、すっごく軽くなった気がする。
 ありがと」

そう言いながら目の前でふんわりと微笑むカオルの顔に・・・

「・・・・・・」

「鋼・・・牙?」

回したままの腕で抱き寄せ、頬を重ねたまま髪と背中に手を這わせ撫で続ける俺に、カオルが不思議そうに呟く。

「どうしてだろう、急に思い出したんだ」

「え、何を?」

「夫婦になる前、お前に思いが通じたばかりの頃のことを」

「それって、どんなこと?」

「昨日のように絵を描いて疲れ果てたお前が、
 風呂で身体を洗っている最中に寝てしまって。
 見つけた俺が最後まで洗ってベッドに寝かせてやったことだ」

「その時、わたし、お礼、ちゃんと言ったよね?」

「ふっ・・ どうだったかな・・・ それはよく覚えていないが・・」

「じゃあ、何を覚えてるの?」

「ここに連れてきて、そのまま一緒に横で寝ていただけの俺を・・・
 翌朝先に起きたお前に真っ赤な顔で叩き起こされて・・・」

「・・・・・・」

「なんで勝手なことをしたの! 風呂に入れられるなんて恥ずかしいのに! と。
 凄く怒っていたことを、思い出したんだ」

「あ、あ、あ、あれは、あの時は・・・
 だってわたし、あの頃はまだ鋼牙と、その・・・」

「ああ、わかってる。
 ただあの頃の俺は風呂ぐらいで何をいまさら、と不思議だったんだ。
 それが今は・・・」

「え、なぁに?」

「いや、なんでもない。
 それよりカオル、絵を納めに行くのはたしか明日、だったよな?」

「え~と・・ うん、明日だけど?」

「なら朝もまだ早い、お前はもうひと眠りしろ」

「でも、もう目が覚めちゃったから・・」

身体を起こして、不思議そうな顔で俺を見上げるカオルの目を見つめて。

「なら俺が・・・ もう一度寝させてやる」

俺の言葉に一瞬目を見開いて不思議そうな顔をしていたが、すぐに目を伏せて恥じらうような表情に変わる。

「カオル・・・ 嫌か?」

少しして、かわらずずっと見つめ続けている俺をもう一度見上げたその時には、俺の好きな黒く大きな瞳が、微かに潤んでいるように・・・ 見えた。

「ううん、鋼牙・・・ いいよ」

両の手をついて上から見下ろすようにしていたのを、肘をつき身体を重ねるようにして手で頬を挟んで。
鼻先と唇を擦り合わすようにしながらカオルがゆっくりと目を閉じていくのを見届け、俺もまた追うように目を閉じて、薄く開いた唇を合わせて深く重ねあい。
そうして、お互い・・・


カオル、時と共に変わること、変わっていくこともたしかにあるだろう。
だが俺のお前への想いは、俺の最期のその時が来るまで・・・ いや、死んでも変わらない、から。
そしてお前も。
カオルが想ってくれている気持ちも俺と同じだと・・・ 思ってる。

時と共に・・・ 重ねる年月の分だけお互いの想いは更に深くなっていく・・ と。
俺は・・・ 信じてる。

カオル、口に出しては言わないけれど・・・ 
愛してる。


 2015_04_16

Comments

心太 様 

お久しぶりです & コメントをありがとうございます。
1期~2期見直し作業は完了しましたでしょうか?
甘いものを食べると塩辛いものが食べたくなり、塩辛いものを食べると甘いものが食べたくなる。
まさに甘辛ループでございます。
それにしてもうちの鋼牙さん 「ほんとにカオルちゃんに関しては世話焼き。唯一の趣味「カオルの世話」って感じ」 とは・・・
今回のは、夢で出てきた映像のまんまなのでなんとも言えませんけど。
う~ん、たまにはそうじゃないよ、っていうのもカキコしないといけませんかね~ 
ははは (*^_^*)
なな  URL   2015-04-26 23:48  

hana72様 

よかったですね~
鋼牙やカオルちゃんじゃなくても、監督の牙狼だから、やっぱり観たいですよね。
私はたまたま近くの映画館でやってくれてたので、買い物も兼ねて観に行きました。
でも、パンフがね… 買い占めてる人がいたらしくて売り切れ、残念ながら買えませんでした。
楽しんできてくださいませ~!
なな  URL   2015-04-23 20:33  

しおしお様 

最後の鋼牙の独白、実は、UPの直前までこのままでいいのかな? 消したほうがいいんじゃないんだろうか? ず~っと迷ってました。(いや、UPした後も)
でも、しおしお様以外にもあそこが良かった、と言ってくれる方が何人かいらして。
よ、よかった~~
ホッとしました。
しおしお様もたぶん同じ、わかると思いますけど、コメントを貰う、ということは、イコール優しい気持ちに喜びとか元気とか、パワーを貰う、ってことで。
励みになります、いつもありがとうございます。
ではまた。 (*^^)v

なな  URL   2015-04-20 22:32  

hana72 様 

いつもながら嬉しいコメントをありがとうございます。
なかなかカキコする時間が取れなくて、で、合間を縫ってなんとかUPしたもののドキドキ超不安だったのが癒されました。
レオシグミオ・ファミリー、会ってお話出来たら、報告しますんで、待ってて下さいませ。
なな  URL   2015-04-20 22:06  

心桜 様 

ははは、私も他所様のサイトに遊びに行った時は、けっこうニヤニヤしながら、どころか百面相しながら読んでます。
> 夫婦になる前の自分たちのことを思い出してしまう、というシチュエーションに…
え~ そうなんですか。
ここは時の経過をだしたくて夢の画像には無かった付け加えた部分なんですよ。
でもまさかそこがツボるとは・・・
言われてそうなのか~ と思ってしまった私です。
こちらこそ、言ってもらって幸せになれるコメントをあり牙狼ございました。
(*^_^*)

>前々からコメントをくれる読み手様限定の作品をUPしたいなぁ、なんて思いつつ…
あ~ それ、それはね、たしかに私思ってました。
実際会ってお話した人とか、コメントやメール通じてだいたいどんな方かがわかった方とか、そんな人だけ許可制の(あまり表に出せるようなものは正直無いけれど)お蔵入りしてる、今回のお話でも書いてる裏ヴァージョンみたいなのをね、内輪回覧っていうか、読める方法ないかな~ って。
で、準備だけ? してる途中で忙しくてそのまま保留に、なってます。 (苦笑)
次の課題を済ませてから、のんびりとした気分で遊びに行かせていただきます!
あ~ 早く済まさNIGHT!
なな  URL   2015-04-20 21:46  

junko様 

どうも、長~~い間お待ちくださり、ありがとうございました。
UPするのは超久しぶりだったもので・・・ 素敵なお話、と言ってもらえてホッとしています。
次はもう少し短い間隔で次をUPできるよう頑張りますね~
なな  URL   2015-04-20 20:58  

 

こんばんは☆待ってましたぁ↑(≧∪≦)
素敵なお話し有難うございます!
大好きな、鋼牙とカオル。。。鋼牙の優しさと深い愛が感じられるのが本当に嬉しくて(:_;)それに応えるカオルも、可愛くて♪心が暖かくなる~(^∀^)
無理のないペースで良いので、また待ってますね☆(^∪^)
junko  URL   2015-04-16 02:23  

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