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夜のスケッチ・あの丘で

2011.11.26(00:00)

カオルにお願いされて、鋼牙は夜のスケッチに同行します。
カオルは何を描こうとしているんでしょう?
鋼牙は何を考えてカオルに付き合っているんでしょう?
夜のスケッチ、まずは、あの丘での2人を、見てみませんか?


     
      ・・・・・夜のスケッチ・あの丘で・・・・・
                              <2011.3.26>

「鋼牙・・・・・・ちょっと、いい?」

昼食後のコーヒーをソファーに座って飲んでいると、隣に座っていたカオルが、妙に真面目な顔をして、話しかけてきた。

「ああ、どうした?」

「鋼牙に、聞きたい事と、頼みたい事があるの」

「・・・?・・・」

俺は、カップを口に運びながら、目で、話の続きを促す。

「あのね、今度、夜の街をテーマにした絵を何点か描こうと思ってるんだけどね・・・
 鋼牙、いつも夜出掛けてるじゃない?
 だから、どこか、いい場所知ってたら、教えて欲しいんだけど・・・
 ね、どこか、知らない?」

「知らない? って言われても、俺が夜、出歩く時は、ホラー狩りだからな。
 景色なんて、ほとんど気にする事も、余裕も無いし・・・
 逆に昼間の方が、オブジェの浄化で、それっぽいところを巡ってるような気がするが・・・
 どっちにしろ、あまり役には立てないと思う。

 それで? 
 それが聞きたいことなら、頼みたい事っていうのは何だ?」

「”指令書” が無い夜に、場所探しとスケッチするのに、
 一緒に付いて来て欲しいんだけど・・・ 駄目かな?」

カオル、俺が夜中に、一人歩きなんてさせるはずが無いのを解ってて、言ってるな・・・
歩くだけだって心配なのに、スケッチだと?
まったく・・・ この確信犯め・・・

「しかたがない・・・ 付きあってやる」

「ありがと、鋼牙。 
 それでね・・」

「なんだ、まだあるのか?  
 二つだけじゃないのか?」

「二つだけど・・・ 補足みたいなこと。
 1か所だけ、どうしてもスケッチするのに、外せない場所とタイミングがあるの」

「どこだ?」

「あの、鋼牙の連れて行ってくれた丘。
 それも、できたら、満月の夜がいいんだけどな・・・

 あ、”指令書” が無い日でいいから、ね。
 無理は言わないから・・・」

「当たり前だ。  
 ”指令書” が来て、お前のスケッチに付き合えるわけが無いだろう」

「うん、わかってるって。

 ごめんね、鋼牙。
 そうじゃなくても、いつも疲れてて休む暇が無いのに」

「まあ、いい・・・
 お前が一人で、夜中に出歩くなんて、俺も心配だし、
 第一、ゴンザも出してはくれないだろう?
 
 で、今夜からか?」

「うん、できたら」

「わかった」


その夜から、2日間は、 ”指令書” が来て、出掛けられなかった。
そして、3日後の夜・・・


「鋼牙様、カオル様、いってらっしゃいませ」

「はい、ゴンザさん、行ってきま~す」

「ああ、行って来る。
 ゴンザ、先に寝ていていいからな」

「わかりました、鋼牙様。
 今夜は ”指令書” も無いことですし、
 鋼牙様がご一緒なら大丈夫でございますね。
 それでは、お先に休ませて頂きます」


屋敷から街への道を並んで歩く。
隣を見ると、カオルは寒さ防止にたくさん着こんで、スケッチの道具や、カンテラ・ライトとかを両手に持っている。

「ほら・・・」

カオルの目の前に右手を差し出す。

「なに?」

「右手に持ってる荷物を出せ、持ってやる。
 そうすれば、片方・・手が空くだろ?」

「うん、ありがと・・・ 鋼牙」

自分の、右手分の荷物を、俺に渡し、さっさと歩きだそうとしたカオルの前に、今度は無言で左手を差し出す。

「・・?・・  鋼牙?」

「ほら」

「・・?・・」

カオルは、不思議そうな顔をしながら、今度は左手の荷物を出そうとする。

「何のために、右手を空けたんだ?」

「鋼牙・・」

やっと意味がわかったカオルは、微笑みながら右手を俺の左手に重ねる。
ぎゅっと、握りしめて目で笑い合うと、また、歩きだす。

「ところで・・・ カオル、今夜は、どこへ行くんだ?」

「う~~ん、それがね・・・ 
 新聞見たら、ほんとは明日が正しい満月なんだけど、
 明日、鋼牙が空いてるとは限らないじゃない?
 見た感じ、ほとんど満月だから、いきなりだけど、今夜はあの丘に行きたいなぁ~ と。
 どうかな?  鋼牙、いい?」

「それは、構わないが・・・
 あそこへ今から行くとなると、今夜はもうあそこだけでお終いになるが・・・
 それでもいいのか?」

「うん、あそこが一番の本命だから」

「よし、じゃあ、描く時間も要るだろうから、少し急ごうか」

「うん」


あの、『Sleeping elderly woman』 の丘に着くと、
ゴンザが用意していたカンテラ・ライトで手元を照らしながら、カオルは熱心にスケッチをしていた。
描いている途中に覗き込んだり、あまり傍にいると集中できないだろうと思い、
少し離れたところで、見るともなしに、月明かりに照らされた丘を眺めていた。

小一時間も経っただろうか・・・ 俺を呼ぶ声がして、カオルの元へ戻る。

「どうした? もう終わったのか?」

「ううん、もうちょっと描くんだけどね、
 ゴンザさんが持たしてくれたミルクティー、休憩で飲もうと思って・・・
 はい、鋼牙」

「ああ」

隣に座って、並んで飲んでいると、なんだか不思議な気分だった。
いつもなら夜の外出は、ホラーとの命のやり取りの戦いしかない俺には、満月を眺めながら、隣にカオルがいて、のんびりミルクティーを飲んでるなんてこと・・・
ぼんやりとそんなことを考えている俺は、いつの間にか口元が笑っていたらしい。

「鋼牙・・・ どうしたの?  何がおかしいの? 」

「あ?  いや、なんでもない
 それより、ここのスケッチだけ、なんで満月なんだ?」

「あ---・・ それは・・・  今は秘密! 企業秘密!」

「企業秘密?  何故?」

「もう--- いいでしょ!  秘密と言ったら、秘密なの!
 出来たら・・・ 描き上がったら、鋼牙にはちゃんと見せてあげるから・・・
 とにかく、今は、秘密!」

「ふっ・・  わかった。
 ところで、だいたい、あと何日ぐらい付き合えばいいんだ?」

「そうね~~ 構図のいいところさえ早めに見つかれば、3~4日ぐらいかな~
 ここの分以外に、2~3枚ぐらい描こうと思ってるんだけど、
 スケッチはできるなら多いほうがいいから・・」

「そうか」

「鋼牙・・・ 疲れてるのに、ほんとにごめんね。
 昨日も、その前も、ホラーと戦って疲れてたのに・・・
 いつも私ばかりが頼んでばっかりで、ごめんね」

「カオル、そんなに、謝るばかりするなら・・・
 そうだな・・
 じゃあ、俺にアルバイト代をくれるか?」

「え? アルバイト代?」

「ああ、深夜料金の割増料金付きだ、高いぞ?」

「え~~ そんなの、払えないよ~~
 今月なんて、もう、きゅうきゅうなんだから~
 え~~ どうしよう~~」

独り言を呟きながら、真剣に悩みだしたカオルを見て思わず俺は苦笑する。
からかうのも、ほどほどだな。

「カオル」

「え? 鋼牙~ やっぱり今月はわたし、払えないよ~ 
 ん? 何がおかしいの?」

「俺が、本当にお前から金を取ると思ったのか?」

「え?  要らないの?」

「俺は金なんかに興味は無い。  
 俺が興味が有るのは・・・」

飲み干した、カップを横に置いて、カオルのカップも取り上げ、脇に置く。
満月を両目に映して妖しい輝きを放っているカオルの瞳に今にも引き込まれそうだ。
首の後ろに手を回し、軽く、触れるだけのキスをする。

「鋼牙・・・」

「俺が興味が有るのは・・・  カオル、お前だけだ」

頬を重ね、カオルの耳にそう囁いて、今度こそ深く口付ける・・
深く強く舌を絡め、お互いの口の中をなぞり、つつき合い、息継ぎの時間さえもどかしく、何度も何度も角度を変え、貪りつくす。

途中から俺のコートの襟元を掴み、固く目を閉じて応えていたカオルは、俺が最後に唇を舐め、顔を離しても、陶然とした表情のまま、しばらくの間、目を開ける様子もなく、そのままでいる。
俺は、カオルの額に、自分の額を合わせて、静かに呼びかける。

「カオル・・・ カオル・・・」

ゆっくりと目を開けた時、一筋の涙が零れ落ちる。

「うれしい・・・ 鋼牙・・・ 好き、大好き・・・」

俺はカオルにもう一度キスをして、指で涙を拭ってやる。
これ以上のめりこんだら、スケッチどころではなくなってしまう。
俺は立ち上がりながら、カオルに話しかける。

「カオル・・・  もう少し描くんだろう?
 身体が冷え切らないないうちに描いてしまって、帰ろう。
 
 俺はその辺にいるから、終わったら声をかけてくれ。
 アルバイト代、確かに受け取った」

少し離れたところに行き、火照った心と身体を冷ましながら、さっきのように辺りを眺め、スケッチが終わるのを待つ。
駄目だな、俺は・・・
もう少しで自分を忘れるところだった。

かなり経ってから、カオルが俺を呼ぶ声がした。

「終わったのか?」

「うん、終わったよ
 すごくいい感じに描けた気がする。
 出来あがったら鋼牙に1番に見せてあげるから、楽しみにしててね」

「ああ、楽しみにしておく。   
 ・・・ん?」

「だって、帰りも手を繋いで帰りたいんだもん。 
 行きと同じだけ持ってね、鋼牙。  
 いいでしょ?」

「ああ、そうだな」

行きと同じように、半分荷物を持って、他愛も無い会話を交わしながら、手を繋いで屋敷への家路を歩く。



ずっと・・・ 1日でも長く・・・ 1回でも多く・・・ こうして、手を繋いで歩いていたいな、カオル。
決して口に出しては言えない言葉を飲み込んで、俺はカオルの手を少しだけ強く握りしめた。




コメント
「咆哮」見ました。
鋼牙、何をカオルに言いかけてたんでしょうね?
すご~く気になります。
あまり、鋼牙ってキャラは、ほんとはデレっとしててはいけないんですけどね・・・
まあ、そのへんはお許し下され。
鋼牙はツン、○○○ンはややデレ、でも、ほんっと、どちらもイイ男です!
ママ様がポッ なら、管理人はホワァァーン ですよ。
【2011/12/23 23:12】 | なな #- | [edit]
hannah様、こんばんは。
ありがとうございます。
そうですね、カオルちゃんの誕生日以前のおはなしは書いてて楽しいっていうか、ほんわか気分な気がするのは、気のせいでしょうかね?
ではまた、スケッチシリーズ、お楽しみに。
【2011/11/30 00:53】 | なな #- | [edit]
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