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Even if there is no chocolate

2月14日って、世間で言うところの 「バレンタインデー」 なんですけど・・・
今年はどうなったのかやっぱり気になりますよね~
ってことで、久しぶりに冴島家を覗きに行ってみるといたしましょう。
た、だ、し、そう~っと、そう~っと静かに・・ね。



   ・・・ Even if there is no chocolate ・・・
                                    <2.14.2014>

「おはようございます、鋼牙様、カオル様のご様子はいかがでしょうか?」

「ああ、昨夜と同じだ、まだ熱が下がらない」

「そうでございますか・・・
 申しわけございませんでした、鋼牙様。
 あの時私が無理にでもお医者様にお連れしていればこのようなことには・・」

「いや、ゴンザだけのせいじゃない。
 俺も当のカオルでさえ、いつものただの風邪だと思い込んでいたんだからな」

「ですが・・・」

「ゴンザ、今はカオルに少しでもいいから何か食べさせたい。
 俺が食べさせるから喉に優しくて消化のいいものを頼めるか?」

「かしこまりました。
 では、用意してお薬と一緒にお持ちいたします。
 申しわけありませんが鋼牙様のお食事はその後でよろしいでしょうか?」

「ああ、かまわない」

ゴンザは頷くと足早にキッチンに向かって行った。

病気知らずの俺と違ってカオルはなぜか忘れた頃にときおり風邪をひく。
それは、たいがいが絵を描くことに夢中になり過ぎて食事をおろそかにしたり睡眠をとらなかったりした時がほとんどだから、仮に熱を出したとしても、ゴンザの作る食事を食べ、しっかりと睡眠をとりさえすれば1日、2日でだいたい治まっていた。
だから深く考えもせず今回もたぶんそうだろう、そう思っていたんだが・・
それがなぜか熱が下がるどころかいつも以上に発熱したまま全く下がる気配が無くて。
医者に行くのを嫌がっていたカオルをゴンザと俺で無理矢理連れて行ったら、今流行りのインフルエンザに罹っている、と診断された。
しかも、発病してからの時間経過からみて、機を逸してしまった今となっては、気休め程度にしか役を成さないとわかっていても、処方された薬を飲んで熱が下がるのを待つしかない、ということだった。
「絵はわたしの仕事なんだから約束の期日を破るわけにはいかないの!」 
そう言い張るカオルを安易にそのままにした俺の考えが甘かった。

「ふぅ・・・」

ゴンザの用意ができるまでダイニングの椅子に座って待つことにしたが、座った途端思わずため息が漏れてしまう。

『鋼牙、お前さん昨夜は仕事から戻った後、ずっとカオルについてたんだろう』

「ああ、そうだが・・ 心配するな、俺なら平気だ。
 それよりも、医者の言う通りならあと2晩ほどだと思うが・・
 できるなら、夜はなるべくカオルについていてやりたい。
 だからザルバ、すまないが頼む」

『ま、今回はゴンザが感染る可能性もあるからな~
 正直、ゴンザに寝込まれでもしたらこの家の機能は完全にストップしちまう。
 しょうがない、俺様に任せとけ。
 よし、鋼牙、カオルに食べさせたら・・ さっさと出掛けるぜ』

「承知」



「こ・・が・・・」
 
夜の間、ベッドの横に置いた椅子に座ってカオルの額にタオルをあてて冷していたんだが、明け方に近くなってどうやら俺は少しうとうとしていたらしい。

「ん? カオル、起きたのか? 気分はどうだ?」
 
のせていたタオルを外しトレイの上に置いて、少しやつれた頬にそっと手を当てながら訊いてみる。

「ん~ 身体がだるくて少しふわふわするけど・・
 でも、熱が下がってきたのかな? 
 あれだけずっと頭が痛かったのがほとんど無くなってる」

「そうか、たぶんようやく山を越えたんだろう。
 よかったな、カオル」

「うん」

「喉が渇いただろう、何か飲むか?
 それと・・ ゴンザに食べる物を頼んでこようか」

「鋼牙、あのね・・」

「どうした?」

「お水が、飲みたいな」

「水でいいのか?」

「うん」

寝ているカオルを抱えて起こしてやり、そのまま後ろに身体を割り込ませるようにして凭れさせ支えておいて、ベッドサイドのトレイに置いておいてあるミネラルウオーターのペットボトルを蓋を開けストローを差してカオルの前に持っていってやる。

「ほら」

「あ、ありがと・・ やだ、鋼牙ぁ、手が変、震えが止まらないよぉ・・」

肩越しに見てみると、カオルの言う通り、持ち上げた両手が小刻みに震えている。

「いい、このまま俺が持ってやる」

差し出したボトルを持った俺の手にカオルが手を重ねゆっくりと引き寄せると、少しずつ水を飲んでいる。

「はぁ~・・ 美味しい」

「どうした、もういいのか?」

「うん、もういい、ありがと」

ボトルを元に戻し、凭れているカオルが寒くないようにと布団を少し引きあげ、そのまま腕を廻してやんわりと抱きしめる。

「カオル、お前は絵を描き始めると無茶ばかりする。
 頼むからあまり心配させるな。」

「うん、ごめんね」

「いいか、もし少しでもおかしいと思ったら、今度からはすぐに言うんだぞ。
 それと、早めに医者へ行け」

「は~い・・ 約束します」

「・・・・・ならいいが

「え、何か言った?」

「いや、なにも」

「ねぇ鋼牙、お願いがあるんだけど・・ 今日は仕事、忙しい?
 あと1時間ぐらい、大丈夫かな?」

「まだ早いから1時間ぐらいならどうということはないが・・
 どうした、何かしてほしいことでもあるのか?」

「ん~っとね、熱が出てもう何日も寝てばかりで気持ち悪くて。
 お風呂に入りたいんだけど・・・ 鋼牙、だめ?」

カオルに回した腕の中、凭れたまま振り返り、病み上がりの少し潤んだ目で下から見上げられ、そう言われて。

「・・・わかった、俺が風呂にいれてやる。
 準備してくるからもう少しだけ寝て待ってろ、いいな」

「うん、我儘言ってごめんね、大人しく待ってる」


下に下りて朝食の準備をし始めているゴンザにカオルの今朝の様子と風呂に入れることを伝え、着替えの用意を頼む。

「わかりました、ではすぐに用意して、入浴後のお食事も全て整えておきます」

「ああ、頼む」


もう一度寝室に戻る。

「カオル、風呂に連れていく、いいか?」

「うん、お願い」

手が震えているのを見ているから、一度起こしてから抱き上げてそのまま風呂まで連れていく。
脱衣所に行くとゴンザが用意したんだろう、椅子が置いてありそこにカオルを座らせる。

「俺が先に脱ぐからちょっと待ってろ。
 さっきの様子じゃボタンもうまく外せないだろう?」

座らせた途端、パジャマのボタンに手を伸ばし始めたカオルに向かってそう言ってやる。

「ん~ ほんとだ、手が震えてるし上手く力が・・」

さっさと脱いで裸になり屈みこんでカオルのパジャマのボタンを外していく。

「ぅぅ~~・・」

「どうした?」

「だって・・ しょうがないのはわかってるんだけど、でもっぱり恥ずかしいんだもん」

「こんな時に何を言ってる。
 だいたい風呂に入りたい、そう言ったのはカオルだろうが」

「そうなんだけど・・」

手早くボタンを外し上に着ているものを脱がせてしまう。

「カオル、力が入らないだろうが両手を俺の首に回せるか?」

「うん」

胸を隠すようにしていた両手を外し、熱ではない赤い顔をして黙ったまま、屈んだ俺の首に腕を廻したカオルを左腕を廻し立たせるようにすると右手で下着ごとズボンを脱がせてしまう。
そうして浴室の中に連れて行き椅子に座らせて、顔だけ先に洗わせてしまうと、寒くないようにシャワーは出しっ放しにしたまま俺がカオルの髪を洗っていく。

「汗をかいてるだろうから二度洗った方がいいだろう? そうするぞ」

「うん・・ でね、あと・」

「わかってる、トリートメントとやらもしてやる、心配するな」

「ごめんね、鋼牙」

「病み上がりにそんなこといちいち気にするな」

「・・ん」

髪を洗い終え、スポンジを泡立て手早く身体をきれいにしていく。
首、肩、腕、背中、腰、そして胸・・
ともすれば、洗ってやっているだけなのに、明るいところで、しかも何日かぶりに見て触るカオルの身体に、理性に関係なく勝手に俺の身体が反応してしまいそうになる。
そんな自分がなんだか腹立たしくて知らず知らずの間にスポンジを持つ手に力が入っていたらしい。

「痛ぁい・・ ごめん鋼牙、もう少し力を弱めてくれる?」

「あ? ああ、すまない・・ どうだ、これぐらいならいいか?」

「うん、大丈夫」

もう後はなるべく何も考えないようにして黙ったままカオルを洗い終えると、自分もシャワーでザッと流してからカオルを抱えて湯船につかる。

「あ~ 気持ちいい~ なんだか生き返るような気がする~」

後ろから抱えるようにして一緒に入った風呂の中、カオルは俺に凭れるようにして湯につかり、目を細めて寛いでいる。
そんなカオルの項から肩のあたりに手ですくった湯をかけては流れる雫を追うように指先をすべらせていた。

「ん~~ 鋼牙、くすぐったいよ」

「・・・そうか」

「わたし・・ 1週間近く熱で寝てたんだよね~」

「ああ」

「ごめんね、心配かけちゃったし鋼牙に看病までしてもらっちゃった」

「ふっ・・ いいさ」

「・・・あ!」

「どうした」

「鋼牙、今日は何日?」

「たしか・・ 15日、か」

「うわぁ~ 終わっちゃったんだ~」

「・・・?・・・」

「バレンタイン」

「カオル、俺はチョコレートは要らない、と前に言ったはずだが?」

「ん、それはわかってる。
 だからね、今年はこの前の仕事が終わったらワイン買ってきて、
 昨日鋼牙がもし空いてたら一緒に飲んで過ごしたいな~ そう思ってたんだ~
 ワインだったら二人で一緒に飲んで過ごせるでしょ?」

肩に這わせていた俺の右手に頬を押し付けるようにして首だけで振り返り俺の顔を見て微笑みながらそう言うカオル。

「・・・カオル」

無意識に左手を廻して抱き寄せ右手でカオルを上向かせて口づけて。
舌を絡ませてから顔を離し静かに見つめ合って・・
少しだけ力を入れてギュッと抱きしめ、顔を見られないようカオルの肩に顎をのせ、耳もとで・・そっと。

「・・・カオル・・」

なるべく普通に呼んだつもりだったが、出した声、口にした名前はたぶん掠れていた。

「なぁに?」

「・・・・・・」

「・・・ぁ・・・」

抱きしめる腕にもう少しだけ力を入れる。

「いいな、早く元気に、いつものカオルになれ」

「・・・・・・」

「バレンタインとか関係ない。
 お前が望むならワインでもなんでも・・ 付き合ってやるから」

「鋼牙ぁ・・」

「いいな、カオル」

「・・・うん」

凭れさせたまま、前に廻して抱きしめている俺の腕を両手でやんわりと掴んだままカオルがこくり、と頷く。

「熱が下がったばかりなんだ、これ以上は逆上せる、そろそろ上がろう。
 ゴンザも待ってる」

「うん」

返事をしたカオルの頬にひとつキスを落として。
俺は腕を廻し風呂を出るためカオルを抱えあげた。



作文1 | コメント(7) | トラックバック(0) | 2014/02/16 16:10
コメント
Sousou 様
いらっしゃいませぇ~ \(^o^)/ & コメントありがとうございま~す。
はっはっは~ 感情移入・・できまし・た? それってすご~く嬉しいんですけど~っていうか・・
Sousou様、突っ込みどころ、っていうか、よくわかってらっしゃってて~ やっぱり嬉しい!
>ごちそうさまですっ!
いえいえ、こちらこそ、お瑣末さまでございました。 <m(__)m>
うらやましい~
あら、ステキ!!
鋼牙の優しさがほんとにおっきくて。どーんと包まれてるカオルが羨ましいです!
そりゃ心配だよね。でも愛してるんだから反応しちゃうよね。
だけど早く元気になってほしいんだもんね。
って鋼牙にとっても感情移入して読んでしまいました。
ごちそうさまですっ!
hana72 様
>環境はR18、状況はR18ではない
う~ん、そう聞いたんですか? たしかに、そう言われればそうですねぇ。
管理人的な考えなんですけど、普段はどうあれ鋼牙はカオルちゃんには心から優しい、そう思ってるので、さすがに病み上がりの時に自分の欲を押し付けるなんてしないだろうな~ してほしくないな~ そう思うんです。
だから・・
>無骨な鋼牙のやさしさにうっとり。
ありがとうございま~す。
そう言ってもらえるように仕上がっててうれしかったです。
ちゃーみーママ様
ママ様、コメントをありがとうございます。
あ~ やっぱり熱が下がったばかりだと普通はそうですよね~
でも、病気知らずの鋼牙だから? カオルちゃんの言う通りしてくれるかも? なんて思ってお風呂に入ってもらいました。
>また冴島邸におじゃまさせてくださいね♪
はい、よろしくお願いしま~す。 (*^_^*)
selfish様
>プロローグの鋼牙とゴンザの会話で、もう、じ~~~んときました。
え、ぇえ? たんたんとしていたはずですけど、そうですか~?
> あぁ、きっと今頃はワインを飲んでいるのかなぁ~ と、こっちまでうっとり酔いそうです。
むふふ、カオルちゃん、復活していつ頃飲めるようになるのでしょう~か?
ま、そのうちに? 飲むこともあるかと思いますので、その時は・・ selさん、思いっきり「うっとり酔って」くださいませ。
Mie 様
こちらこそ、遊びに来ていただいてありがとうございます。
季節がら、カオルちゃんにはインフルエンザをひいてもらったんですけど、ちょっとこれにはいろいろ伏線とか?ゴニョゴニョゴニョ・・・なのです。
ほんとにほんとにライヴには行きたかったです~ けど、今年は他にもしてもらえそうですし、次に期待です。
運よく機会があれば・・ またお会いしましょう!
バレンタイン
こんばんは、なな様
お仕事お忙しい中、バレンタインのお話をありがとうございました。
カオルさんは大変だったと思いますが、甘々なお話にほっこりです。チョコなくても二人でゆっくりワイン飲めたら、ちょっと大人のバレンタインで、幸せですよね。
# 今日のライブ、私も行きたかったです。(;_;)
最近、またインフルエンザが流行っておりますので、なな様もお気をつけください。

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