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It was not only sweetly

去年、本人が知らないまま、一人だけ痛い目に遭ってしまった零の今年のバレンタインデーはいかに?
カオルがチョコレートを 「作る」 暇は無かったはずで、大丈夫なはず? なんだけど・・・



  ・・・ It was not only sweetly ~甘くはなかった~ ・・・
 
                               <2.15.2013>

カフェテラスの隅でランチとデザートを注文して食べていると、小さな声でシルヴァが話しかけてきた。

『ゼロ・・・ 今日のあなた、どこか変よ』

「そうかなぁ~」

『私はそう思うんだけど、違うのかしら?』

「う~~ん、やっぱシルヴァにはわかっちゃうか・・・」

『ゼロ?』

「ねぇ、シルヴァは今日が何の日かわかる?」

『今日は・・・ 2月14日、バレンタインデーよね。
 たしか、去年はたいへんな目に遭ったと思ったけど、違ったかしら?』

「さすがだね、それによく覚えてる」

『去年のこともあるし、今年は鋼牙のところには行かないんでしょう?』

「それなんだよね~ 悩んでるのは。
 だってさ、シルヴァ、
 もし今日行かなくてもカオルちゃんが俺の分をもう用意していたら・・・
 鋼牙ん家にず~っと行かないわけにもいかないじゃん?
 結局俺、いずれ食べることになるんだよね~
 どうせ行くんだったら今日行った方がよくないかな~って、そう思うんだよ」

『たしかに、そうかもしれないわね』

「だろ?
 でもさ、わかってるんだよ? わかってるんだけど・・・
 去年のこと思い出すとやっぱ生半可な覚悟じゃ行けないんだよ。
 それで、朝からずっと迷ってんだよな~」

『カオルに悪気がないのは私も認めるけど・・・
 でも、食べて苦しむのはいつも鋼牙やあなただものね』

「そうなんだよね~ う~~ん、どうしよう・・・ 
 去年のインパクトが強すぎてほんとすっげ悩む」

『ねぇゼロ、なんだったらゴンザに訊いてみるのもいいんじゃないかしら?』

「あ、そっか~ それいいよ。
 よし、メール送ってみる」

カオルちゃんが今年もチョコを作ったのかどうか、鋼牙はどうなってるのかをメールを送って訊いてみる。

♪~

「お、返ってきた・・・ どれどれ?

 ん? あれ~? カオルちゃん、今年はチョコを作ってないみたいだよ。
 で、鋼牙には・・・ 
 ぇえ~~!! 手作りのベストを贈ったって~~!?」

思わず大きな声で叫んだ俺に周りの視線が一斉に集まる。

「ゴホン・・・」

ひとつ咳払いをしながら見まわすと、慌てて皆視線を逸らす。

「カオルちゃんがベストをね~~ すごく頑張ったんだろうな・・・」

『ゼロ・・・ どうするつもり?』

「チョコを作ってないってわかったんだぜ?
 っていうことは、当然これは、行くべき、だよね~」

『そう言うと思った』

「よし、そうとなったら早速行動開始だな。
 今から行けばお昼のお茶になんとか間に合うはず」

『もう~ 行って本当に何も起こらなければいいんだけど・・・』

「心配してくれてサンキュ、でもシルヴァ、今年は大丈夫だよ」

『・・・・・・』

俺は清算を済ませると鋼牙の屋敷を目指しバイクを走らせ始めた。


♪~ ピンポ~ン

「これは零様、いらっしゃいませ」

「さっきはメールありがと、カオルちゃんと鋼牙は?」

「どうぞ、リビングにいらっしゃいます」

「了解!」

ゴンザさんに教えてもらったリビングに向かう。

「やっほ~~ 鋼牙、カオルちゃん、遊びに来たよ」

ドアを開けると、鋼牙が本を読んでいる隣でカオルちゃんが座って何か話しかけているようだった。

「あ、零君、いらっしゃい」

「・・・・・・」

お~お~ あの仏頂面、どうにかなんないのかね~~
ま、カオルちゃんにプレゼント貰って喜んで、その後二人でのんびりしてるところに俺が来たわけだから不機嫌になってもしかたがないか・・・

「こ~うが、今日はバレンタインでカオルちゃんにいいもの貰ったんだって?」

向かいのソファーに座って身を乗り出しながら言うと、本を読んでいた顔をあげて眉間に皺を寄せて睨みつけてくる。

「なぜそれをお前が知ってる」

「さっき無理矢理ゴンザさんに聞いたんだよ」

「・・・・・・」

「カオルちゃん、ベストを編んだんだって?
 頑張ったんだね~~ すごいよ」

「んふふ、たしかに頑張ったのは本当だけど、初めてだしすご~い出来だったんだよ」

「で? そのベストは? ここにはないの? 俺も見たいな~」

「あ、あれはね・」

「あれはカオルが俺にくれたものだ。
 お前が見る必要は無いだろう」

「え~ そんな~~ 俺、見たいよ~~ なぁ、鋼牙~ ねえ、カオルちゃ~ん」

「鋼牙・・・」

「いくらお前でも見せるつもりはないな」

「ごめん、零君。
 もう鋼牙にあげたものだから、鋼牙がダメって言ったらもう無理だよ」

「ちぇ~~ 鋼牙のケチ!」

あ~あ こんなことなら昼飯前にさっさとくればよかった。

「あの、零君・・・」

「なに? カオルちゃん」

「実はね、今年は零君の好きなチョコレートを忙しくて作る暇がなかったの。
 だからね、お店で売ってたのを零君のために買ってきてるんだけど。
 ごめんね、作ったものじゃなくて悪いんだけど貰ってくれる?」

「うん、喜んで」

いやいやいや、チョコはお店の売ってるのがベストだよ、カオルちゃん。
よかった~ 実は・・・ なんて言い出すから一瞬背筋がヒヤってしちゃったよ。

「じゃあ、取ってくるから、ちょっと待ってて~」

「オッケ~」

カオルちゃんはソファーから立ち上がり出て行くと、自分の部屋へと行ったようだった。

「鋼牙」

「・・・なんだ」

さっきのことをまだ怒ってんのかよ、こえ~顔。

「な、嬉しかったろ?」

「・・・そうだな」

お~~ こいつ今、思い出してんだな~ 
カオルちゃんのことになると途端に顔が緩んで優しい目になるんだよな~
ほんっと単純なヤツ・・・

「おい、来月のホワイトデーには忘れずにちゃんと何かお返ししろよ~」

「ああ、わかってる」

「ならいいけど。
 あ~あ、ほんともうちょっと早く来ればよかった。
 おかげでいろいろ見損ねたぜ」

『零、なんなら俺様が全部詳しく教えてやってもいいぜ』

「ザルバ!」

『クックック・・・ 冗談だよ』 

ガチャ・・・

「零君、お待たせ~~ はい、これ、どうぞ~」

「ありがと、カオルちゃん、開けて食べてもいい?」

「うん、どうぞ~」

今年は店で売ってるもんだから安心だな~
へ~ 今年は四角でノーマルの茶色。
茶色ってだけでなんだかホッとしちゃうぜ。
去年のカオルちゃんの手作り、丸くて、すっごいカラフルだったんだよな~

「じゃあ、いっただっきま~す」

四角い箱に4粒入っているのを、ひとつ摘んで口にいれる。

「ん~~ これ、フルーツのジャムみたいのが入ってるね。
 なんか、かわった匂いがするけどけっこう美味いよ」

本を机に置いた鋼牙が俺が食べるのを座ったままで向かいからじっと見てる。

「鋼牙、美味いよ~」

「そうか、よかったな」

「よし、次は・・・」

にんまりと笑いながら次のを口に放り込み、噛み砕いた。
が・・・

「これって、ボンボン? この中身・・・ ぅえ、これ何の酒?!」

箱の中に入っていた説明書を読んでいたカオルちゃんの口からは予期せぬ言葉が・・・

「マムシ?を漬けたお酒って書いてあるけど、そんな虫っていたっけ?」

「マムシ~! マジ~!」

マムシって・・・ マムシって・・・ 蛇じゃんよ~~!

「カオル、マムシは虫じゃない、蛇だ」

「へ? ヘ・・・ビ・・・?」

「そうだ、毒蛇だ。
 たぶんそれを焼酎に漬けたのをボンボンにしてあるんだろう。
 それより、さっき果物と零が言ってたのはなんだったんだ?
 なんて書いてある?」

「え~~っと、これかな? ドリアン、だって」

あれって、ドリアンだったのかよ。
ま、まぁ・・・ マムシに比べたらそんなの全然ノーマルだよ。
このボンボン、めっちゃ生臭いよ~~
でも、ドリアン、マムシ、と来たら・・・次は? 

「零、早く次を食べてみろ」

「鋼牙・・・ なんだったら涙を飲んで1個ぐらいお前に分けてやってもいいぜ?」

「いや、それはカオルがお前に、って買ってきたものだからな、遠慮しておく。
 カオル、お前も零に食べてほしくてわざわざ買ってきたんだろ?」

「そうだけど・・・ 零君、それ、もしかして食べたくないの?」

ぁあ~~ そんな顔しないでよ、カオルちゃん。
俺、女の子にそんな顔されるのって超ダメなんだよ。

「ううん、そんなことないって。 じゃ、次食べるね」

「うん」

ええ~い、どうにでもなれ!

残った二つのうちの一つを口に入れて噛んでみた。

ジャリ、ジャリ、ジャリ・・・

なんだ? この食感・・・

「零、美味いか?」

「鋼牙~ なんか、口の中がジャリジャリするんだけど・・・
 俺、チョコ食べてこんな食感初めてだ」

「カオル?」

「あ~ たぶんそれ、スズメバチだよ、なんか、元気が出るって書いてある」

ス・・ズ・・メ・・バ・・チ・・?

カオルちゃんのことばに口を動かすのを止めて舌で思わず・・・探ってみた。
そうしたら、舌先になんだか丸っぽいものが触ってる?
まさか、これって・・・

俺は、無意識にゴンザさんが出してくれていた紅茶のカップを掴むと、口に含んで中の物を全部、一気に飲み下した。

「はぁ・・・
 ねえ、カオルちゃん、このチョコって、箱のラベルにはなんて書いてあるの?」

「え? え~とね 『世界の珍味チョコ』
 すごいでしょ~ ラベル見た時にこれだ! って思っちゃったんだよね~」

「そ、そうなんだ・・・」

自分じゃないからって今までは笑ってるっぽかった鋼牙の顔が急にマジな顔に変わってるけど、遅過ぎだよ~

「カオル、あとひとつ、何と書いてあるんだ?」

「え~とね・・・」

「あ、カオルちゃん、いいって、言わなくてもいいよ」

鋼牙が、聞かなくてもほんとにいいのか? そんな顔をして俺を見てるけど・・・
でも聞いちゃったら食べれなくなるかもしれないだろ?
それにどうせあと一粒だ、もう覚悟も決めた。
店で売ってるぐらいだから、まさか死にはしないだろう・・・
食べると言った以上は食べてやる。
よし、せ~のっ

最後のひとつを口に入れて噛み・・で固まった俺は、思わず両手で口を押さえて突っ伏す。

「零っ!」

辛ぇえ~!!!

噛むことも何もできずにじっとしたままの口の中でジワリと周りのチョコが溶けてきて、状況はさらに悪化していくのが、何も考えられないはずなのに魔戒騎士の直感でわかってしまう。
俺は、さっきの残りの紅茶を口に入れると、まだ大きなままのチョコを無理矢理、飲み下そうとした。
だけど、途中で引っ掛かって・・・

何か、飲むもの!

目をシロクロさせて手を伸ばした俺に、向かいの鋼牙が自分の飲みかけの紅茶のカップを慌てて俺の目の前に差し出してくれる。
俺はそれを手に取りすぐに全部飲み干して・・・

「はぁぁぁぁ・・・」

「零、大丈夫か?」

「ああ、さすがに今のは俺も死ぬかと思ったよ」

無意識に流れ出る涙をぬぐいながら、そう答える。

「カオル、今のはなんだったんだ」

「・・・ブート・ジョロキア? そう書いてあるよ。
 世界で一番辛い唐辛子、なんだって」

「辛い、なんてもんじゃないよ、痛いとしか感じなかったよ。
 ってか、まだ口の中が燃えてるし、喉も胃の方もヒリヒリ? 熱い」

『ふ~ん・・・ ホラーが魔導火を吸い込んだようなもんだな・・・』

「カオル、なんでこんなのを買ったんだ?」

「だって・・・ バレンタイン限定の極レア物って書いてあったんだもん。
 零君、ごめんね」

「いや、いいよカオルちゃん、もう食べて済んだから・・・
 ありがとう、ごちそうさまでした」

「ほんとごめんね」

「もういいって」

さすがに悪いと思ったのか、晩ご飯を食べて帰れ、という鋼牙の申し出を丁重に断ると、俺は今バイクに乗って自分の家を目指してる。

「ゼロ・・・ やっぱり無事には終わらなかったわね」

「ははは・・・ そうだね~ でもさ、カオルちゃんは・・・」

「悪気は無いんでしょう?」

「そっ!」

「ほんとにもう~ あなたってば、懲りないっていうか・・・
 優し過ぎるのもほどほどにしておきなさいよ」

「はいはい、わかりました」

去年と同じ。
家に帰ったら、さっき帰る時鋼牙に渡された 「正露丸」 飲んで、今夜はさっさと寝ることにしよう・・・


 
作文1 | コメント(9) | トラックバック(0) | 2013/02/16 00:00
コメント
Mie様
今回の 「甘くはなかった」 というタイトルは、カオルちゃんに貰った手作りでない買ったチョコが、普通のチョコのように単純に甘いだけではなかった、というのと、手作りしていないなら冴島家に行っても大丈夫だよね~ と、シルヴァの心配をよそにほいほい遊びに行って痛い目に遭ってしまった零君、その現実もまた甘くはなかった、という二つを掛けているんですよね・・・
こういう珍しいチョコを見つけたのは、カオルちゃんだからこそ!
そしてそういうカオルちゃんを怒るわけでなく、ひたすら優しく紳士に対応できるのも零君だからこそ❤
そう思えるんですよね~
それにしても、毒の効かない魔戒騎士にダメージを与えるカオルちゃんのあれこれって、まさしく最強(凶)の試練? かもです。
カオルちゃんのチョコ
こんばんは、なな様。
カオルちゃんのチョコは、やはり甘くはなかったんですね。でも、忙しかったのによくこんなチョコと見つけたなぁというカオルちゃんの運と涙目の零くんの優しさと忍耐力に敬服です。
そのうち、魔戒騎士は、毒もきかない体になるためにこの試練が必須になったりして。:-)
hana72様
管理人は、業も情も気持ちも、零君は深くて強くて優しい、と思っているんですけど・・・
そうですよね~ たしかに二人ともどっちも好きで~す。
でも、少しだけ? いや、もうちょっと? 鋼牙>零 かな~と思って・・・ます。 (*^_^*)
心太様
あはは (^◇^) やはりカオルちゃんでバレンタイン、となると鉄板ネタですよね~
でも、今回は昨年の絡みもあって、ちょっと変わった感じでのお届けとなりました。
お~ 別な意味で皆様で楽しんできて下さいませ。
それで、後日、どうだったか・・・ 簡単でいいのでこっそりと教えてくださいませ。
是空様
こんばんは~
零君は強くて優しい大人のオトコ、なんですよね~~ うん・・・
零君の出るおはなし、プリーズですか?
それはもう、言われなくてもまた近々? 無いような、あるような。
イベントがまだ続くので、たぶん・・・XXですね。 (*^^)v

とらこ様
昨年に引き続き、カオルちゃんにしてやられた零君でございました。
ここでちょっとしたねたばらし? というほどでもないいですが、ドリアンと、ブート・ジョロキアのチョコは、実在します。
管理人、両方とも何も知らされず食べさされまして・・・ 零君と同じようなひどい目に遭いました。
マジで、 辛い < 痛い なんですよ~
広島は・・・ ええ、ええ、とらこ様の分までもしっかりと見て、楽しんでまいりますね。
はい、必ず。
かなまま様
こんばんは~ いい席が当たったようですね。
う~んとガン見して、楽しんできて下さいね。
こっちもかなまま様ほどではなかったですがまあまあいい席だったのでしっかりと楽しんで来ようと思っています。
最近のチョコ売り場の会場はすごいですよね。
種類もハンパない数で、見てるだけで楽しいです。
管理人はふだん売り場に出ない、この時期限定の毎年買うボンボン系のモノと、抹茶の生チョコを自分ようにゲットしてきました。
めっちゃ美味しかったです。
selfiish様
遠慮せず、続きぷり~ず、ですよ。 (*^^)v
うふふ、楽しいです。
そうそう、UPしていない零君のその夜のおはなしは・・・ 
ミニだけどギャグでした。 \(^o^)/
続き
零が帰った後の冴島邸では…
「ねぇ、鋼牙?」
「なんだ?」
「実は、あたし…
 零くんにあげたものと同じものをゴンザさんにも用意したんだけど」
「なにっ? もう渡したのか?」
「あっ、ううん、それはまだ…
 …やっぱり、あげちゃマズいよね?」(ちらっと上目づかいで尋ねる)
(鋼牙、安堵の溜め息をつきながら)
「頼むから、ゴンザにはあんなものを食わせるな」
「あんなものって! 鋼牙ったら、ひど~~~い」(ふぇ~ん)
「いや… その…」(おろおろ)

えっと、まだ(勝手に)妄想を続けてもいいでしょうか?
なな様の零くん版バレンタイン話、楽し~~~!

結局4つとも全部食べてくれた零くんの優しいことと言ったらない!
オットコマエやわ~
今夜、零くんに指令が来ないことを祈ります。
いや、指令が来ても面白いかも…
(えっと、あぁなって、こうなって、それから… くすくす)
ほんとに妄想が止まらないですぅ (笑)


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