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The first story at Christmas in 2012

つぶやき欄でぼそぼそと書いていたとおり、12月に入ってからの数回分のスルーの穴埋めとクリスマスを兼ねて、今のところはあくまで予定ですが、23日の夜中前後に2回目の試みとして 「書き抜けナイト」 を決行予定です。
本当に当日決行できるかどうか、と、開始時刻は、帰宅後になる当日の夜9~10時頃までに、こちらにて告知、ということでお願いします。
今回は、メインページに設置した管理人コーナー内の 「リクエスト」 に送られてきた、クリスマス絡みの希望リクエストもできれば盛り込みたいな~ なんてことを考えているんですが・・・
なにしろ書き抜けなので、とにかくなんとか最後までおはなしが繋がればいいなぁ~ と、ただそれだけを心配しています。
ということで、ここは気合を入れるためにも前回同様一応言っておこうかな~ 
できるだけ頑張る! だから、今しばらく・・・ 信じて待ってろ!  (*^_^*)
          ↓
遅くなりましたが、やっと帰宅で pm 10:10 なう。
え~と、日付替わる24日の0時スタート、ということでお願いします。
では、約2時間後に。 (あ~ 疲れて超ねむ~い)
          ↓
あと4~5分でしょうか。
体調は今一歩・・・ひたすら眠いです。
この2日間で5時間ほどしか寝てないので、頭がボーっとしてます。
いつまで頭がもつかな~?
もし、船を漕ぎ始めたら・・・ 
その時は管理人の我儘ですが、続きを明日の夜に持ち越しさせてくださいませ。
じゃ、そろそろスタート! いたしましょうか。



メインページに設置の 「リクエスト」 に舞い込んだ希望リクエスト第一弾は以下のとおり。
CMでカオルちゃんがサンタになってました。
ミニスカサンタか! と興奮したのですが違いました。
なな様の牙狼SSだと、カオルちゃんはミニスカサンタにはならないだろうな~と思いつつ、でももしなな様が描かれたら、どんなになるのかな~、 ミニスカサンタなカオルちゃんと背の高いサンタクロースな鋼牙のほっこりしたラブラブカップルが見れたりするのだろうか? と、つい想像してしまって。
だってカオルちゃん可愛かったんだもんw。
もちろん黄金騎士にお持ち帰りされてもいいので是非お願い致します。

これって、皆様ごご存知のとおり、カオルちゃんの中の人が車から降りた後、赤いコート着てサンタ帽子かぶってプレゼント持ってドアの前で・・・ のあのCMですよね。
ん~~ そっか~ ミニスカ・サンタか・・・ はてさてどうなる? (*^_^*)


Crocifiissione ← 二人がつきあうきっかけになった、一二三さんの2010年のX'mas話の第一話
            「gold gerden」 管理人 一二三様には名前等記載許可を頂いています。
A present from the boottom of heart ← うちの2011年のX'mas話




   ・・・ The first story at Christmas in 2012 ・・・
                                       <12.24.2012>


今日は夕方戻るまで、遠くの方まで浄化の仕事に行っていて昼飯を食べ損ねた俺のせいで、いつもより早目の時間に晩飯を食べていたんだが、ほぼ食べ終えて、最後にゴンザが淹れたお茶をカオルと並んで飲んでいると・・・

「ねぇ、鋼牙・・」

「ん? どうした」

「去年のクリスマス、西辻さんに誘われたチャリティー・コンサートに一緒に行ったのを覚えてる?」

「ああ、覚えてる」

『ハンドベルだったか? たしか、キンコンキンコン♪ ってやつだったよな~』

「そうそうそれ、そういえば去年はザルバも一緒に聴いたんだよね~
 あの演奏、すっごくステキでよかったよね~」

「おい、カオル」

「あ、ごめんごめん、ザルバが言うから去年のこと思い出しちゃってた。
 えっと、西辻さんがね、今年も去年と同じ23日の夜にコンサートがあるから、
 もしよかったら鋼牙と二人でまた聴きに来ませんか? って誘われたの。
 ね、もしその日に何も無かったら・・・ その時はまた一緒に行ってくれる?」

「そうだな、何もなければな」

「うふ、ありがと。
 じゃ、西辻さんに返事しとくね。
 よ~し、わたし、何も起こりませんようにって、祈っておくからね」

「・・・?・・・ いったい何に祈るつもりなんだ?」

「え? 流れ星にだよ~
 去年鋼牙が観に連れて行ってくれた、あのふたご座流星群が明日の夜なんだよね」

そうか、もうそんな時期なのか・・・

「すまないカオル、最近忙しくて全然かまってやれなくて」

「ううん、鋼牙は仕事が忙しいんだもん、気にしなくていいんだよ。
 わたしだって絵を描き始めたら、悪いけど鋼牙のことも忘れてること、あるもの。
 それにね、こうやって鋼牙と一緒にご飯食べて話して傍に居れるだけで十分なんだよ」

「・・・・・・」

「あ、それでね、鋼牙にもうひとつ訊きたいことと話があるんだけど・」

「鋼牙様、カオル様、お話し中申し訳ございません、実は今・・・」

本当に申し訳なさそうに声を掛けてきたゴンザの手に持つトレイの上には、見慣れたあの赤い・・・

「指令書・・・」

「カオル、すまないが話の続きは仕事が終わってからまた聞かせてくれ」

立ち上がり、トレイの上の赤い指令書を手に取って火を点け、浮かび上がった指令を読む。

『おい鋼牙、こいつはやっかいな・・・』

「ああ、わかってる」

「鋼牙?」

「ゴンザ、すぐに出掛ける、準備を頼む」

「はい、ただいま」

「鋼牙・・ 気をつけてね」

「ああ。
 カオル、今夜はもう待たずに先に寝ていろ、いいな」

「鋼・・牙」

「いつもと同じだ、大丈夫だからそんな顔をするな」

「・・・うん」

「行ってくる」

もしかすると俺の周りの空気がいつもとは少し違うのかもしれない。
心配そうに見つめるカオルを残し、ゴンザの待つ玄関に向かう。

「ゴンザ、たぶん当分の間戻れない。
 すまないがあとのことは頼む」

「はい、カオル様の事でしたらお任せください。
 鋼牙様、お気をつけて」

「ああ」

「いってらっしゃいませ」

ゴンザに見送られ外に出ると、冬の日暮れに加え新月の今夜は辺りを照らすわずかな月灯りさえ乏しくて、すでに周りのほとんどが暗い闇に覆われていた。

カオルはさっき、あの後いったい何を俺に言おうとしていたんだろう・・・

『鋼牙~ いいか、今度の相手は久しぶりの超大物だ、かなり手強いぞ~』

歩きながらカオルのことを思い出していた俺は、左手から聞こえてきたザルバの声に足を止め、左手を目の前に持ち上げる。

「そんなこと、言われなくてもわかっている」

『ふ~ん・・ それならいいんだがな~』

まるで俺の胸の内を見透かしたようなザルバのことばに、無言のまま頭を切り替え気を引き締め直すと、行く手に広がる暗闇の先に視線を据えて、前だけを見つめ再び歩き始めた。


「ねぇゴンザさん、鋼牙、今夜は帰って来ないのかな・・・」

「さあ、それは私には・・・
 でもカオル様、鋼牙様なら心配しなくても大丈夫でございますよ」

「わたしも、そうは思うんだけど・・・」

「カオル様、今夜はかなり冷えてきております。
 風邪などひかないようにお風呂に入りましたらよ~く温まって、
 もう何も考えず早目にお休みになってはいかがですか?」

「そうですね・・・ そうします」


昨夜は、鋼牙に言われたとおり帰りを待たずに先に寝て、そのぶん今朝はいつもよりかなり早く起きてゴンザさんのところに行ってみたけど、鋼牙はまだ帰っていなくて。
鋼牙のことが気にはなるけど、今日は絵本の打ち合わせをしにポート・シティまで行かなくちゃいけなくて、朝ごはんを食べた後は、駅までゴンザさんに送ってもらって電車に乗って出掛ける。

一時間ほどで打ち合わせを終えて出版社の建物を出ると・・・

「お疲れ様、カオルちゃん」

「あ、零君」

「どうしたの? そんな驚いたような顔をして。
 今日はお昼を一緒に食べようって約束してたんじゃなかったっけ?」

「うん、そうなんだけど・・ ごめん、ちょっと考え事してたからびっくりしただけ」

「そお?
 あのさ、お昼のランチタイムにはまだ早いから、画材屋さんの方に先に行く?」

「そうだね、うん、そうする」

「よ~し、じゃ行こうか」

零君と一緒に通い慣れた画材屋へ行くと、すぐに持って帰る必要のある欲しかった色と足りなくなった色の絵具だけを持ち帰るようにしてもらって、キャンバスや紙のような大きかったり特に今すぐ急いで必要でないものは、後で送ってもらうように頼む。
学生時代から通い慣れたこのお店は、美大に近いという場所柄もあってこのあたりではどこよりも品数が一番豊富だし、顔馴染みでいろいろと融通をきかせてくれることもあって、北のお屋敷に住むようになった今でも、打ち合わせとかでこっちに来る度に寄る、という感じの付き合い方がずっと続いている。
買いものが終わると、零君が見つけて今日連れて行ってくれるというお店のランチタイムにちょうどいい時間になっていて、案内されるままについていく。

「これから行くお店って、秋頃見つけたお店なんだけどさ、
 めっちゃ美味いフランスの家庭料理を食べさせてくれるんだ。
 そうだな~ この時期のイチオシは、やっぱ冬だしポトフかな~」

「ポトフ?」

「うん、そうだよ。
 夫婦二人でやってる小さめのお店なんだけどさ、コックやってる旦那さんが向こうの人でね。
 本場の味っていうか・・・
 まあ、百聞は一見にしかず? 俺が言うよりも自分で食べてみたほうが早いかな」

「零君のお薦めだもん、美味しいんだろうな~ すごく楽しみ~」


お店に着いてみると、表通りから一本入ったようなところにある見た目は喫茶店のようなお店で、零君が言ったように席も少なくて小さめのお店だけど、でもなんだかあったかい雰囲気で。
ランチメニューの中から選んだプチ・コースは、零君のお薦めのポトフ、季節野菜いっぱいの気まぐれサラダ、サーモンのカルパッチョ、チーズの盛り合わせ、それとデザートに、零君はガト―ショコラと追加でタルトタタンで、わたしはクレムブリュレ。
零君が言っていたとおり、すっご~く美味しかった。
平日で席も空いていたから、最後の紅茶を飲みながらゆっくり話しをする。

「零君、少し訊いてもいい?」

「いいけど何? まあ、俺の答えられるようなことならなんでもかまわないよ」

「今度、クリスマスの前の22日に鋼牙も会ったことのあるお友達と一緒にね、
 ずっと病気で入院している子供たちのところへボランティアで行くんだけど・・・」

「うん」

「一昨年のクリスマスの時のこと、零君はよく知ってるから訊くんだけど、
 鋼牙が、サンタの格好してわたしのところに来てくれたのを覚えてる?」

「あ~ あれね、そりゃ覚えてるよ。
 だってあの格好で行けばいいよ、って言って勧めたのは俺だもん。
 でも、それがその病院行くのとなんの関係があるわけ?」

「心臓病や白血病、腎臓病みたいなずっと長いこと病院に入院してる子供達のところに、
 クリスマスだからみんなでサンタさんやトナカイさんとかの格好で仮装をして?
 プレゼントを渡しに行くんだけど・・・」

「ま、まさかとは思うけどカオルちゃん・・・
 鋼牙にあの時のサンタの格好をして一緒に行って、とかって頼むつもり?」

「それってやっぱり無理かな~」

「いくらカオルちゃんの頼みでも、それは無理なんじゃないかな?
 あの時は鋼牙も精神的に相当追い詰められてたからあんな格好したけどさ~
 ふだんのあいつだったら、まずあんな格好はしないと思うんだよね。
 カオルちゃんもそう思わない?」

「やっぱりそうか~ そうだよね~」

「ん~~ じゃあさ、ダメ元で一度だけ頼んでみる、ってゆ~か訊いてみたら?
 それで即ダメだったり機嫌が悪くなりそうだったら・・・
 その時は潔く早々に話しを切り上げて終わりにすればいいんじゃないかな」

「うん、そうだね」

「でさ、もしだめだったら俺に連絡して」
 
「・・・?・・・」

「あの時のサンタの衣装はたぶんゴンザさんがどっかに持ってると思うんだ。
 それを用意さえしてくれれば、俺がサンタの格好して一緒に行ってあげる。
 鋼牙も俺もそんなに体格は変わらないはずだから、たぶん俺でも着れると思うんだ」

「でも零君」

「病気の子供たちのためのボランティアなんでしょ? 
 俺ならサンタの格好も全然平気だから遠慮せず連絡して」

「ごめんね、でも零君、ありがとう」

「どういたしまして」

その後、詳しいボランティアのことや、最近すごく忙しそうな鋼牙が昨夜も出掛けたまま今朝になっても帰って来なかったこととか話しをした後は、駅まで送ってもらって電車で帰途につく。
電車の中からゴンザさんにメールで時間を連絡して駅まで迎えに来てもらう。
屋敷に戻りすがらゴンザさんに訊いたら、鋼牙はまだ帰ってきていないらしい。


「鋼牙様のことなら大丈夫でございますよカオル様。
 お仕事が終わり次第、すぐにお戻りになられます」

一人で食べる晩ご飯が全然捗らないのを見て、ゴンザさんはいつものように優しい顔でそう言ってくれる。
そうだよね、今までだって仕事でふいっと出掛けたまま何日も戻らないことはよくあることだったもの。


「鋼牙・・・ 今頃どこにいるの? ねえ、大丈夫だよね・・・」 

人前では絶対口にしない、そう決めてるけど。 
でも、一人で鋼牙の広いベッドに寝ていると、鋼牙の残り香こそするけど、当たり前に隣にあるはずの温もりも、腕枕の向こうから聞こえてくる耳に馴染む鼓動も、息遣いも、優しいおやすみのキスも当然何も無くて。
だから・・ チェストの上に飾ってある鋼牙の絵を見ていると、つい呟いてしまう。

「鋼・・牙・・・」

今夜、寝る前に一人見た流星群の流れ星に、頑張って二つお願いをした。
コンサートに二人一緒に行けますように・・・ 
鋼牙が無事に早く帰って来れますように・・・
二つとも叶うといいな。
そんなことを考えているうちにやがて瞼はゆっくりと閉じていき、自分でも知らぬ間に横向きに小さく丸まったまま、静かに眠りに就いていた。


あれから3日経ったけど、鋼牙はまだ帰って来ない。
わたしは、今年最後の仕事を仕上げなければいけないこともあって、あれからずっと1日のほとんどを自分の部屋で絵を描いて過ごしている。

「絵のお仕事の方はいかがですか? カオル様」

「ん~~ もうほとんど出来あがりに近いかな~
 たぶん今日の夕方ぐらいには終わると思います」

「そうですか、それはよろしゅうございました。
 たしか納品の期限は・・・」

「え~と、明後日の火曜日までに、って依頼主の人には言われてたんだけど、
 出来上がったらさっさと明日にでも持って行こうかなって思ってるんです。
 そうすれば今度病院に行く時のための準備も早く始められるんで」

「ああ、前に言っておられた西辻様とご一緒に行かれる慰問の準備ですね」

「そうなんです。
 プレゼントに添えるカードには毎年名前だけ書くらしいんですけど、
 せっかくだからわたしも何かできることをしたいな~って思って。
 それでデッサン風になんだけど、カードに子供たちの似顔絵を描くことにしたんです」

「それはそれは、皆さんお喜びになると思いますよ」

「そうかな? うふふ、そうならいいんですけどね。
 じゃ、そろそろラストスパートで頑張ってきます。
 ゴンザさん、ごちそうさまでした」

「どういたしまして。 
 それではカオル様、3時のお茶はお部屋の方へお持ちいたします」

「ありがとう、ゴンザさん」


絵が仕上がるまで少し待ってもらったから、晩ご飯がいつもより遅くなったけど、でもなんとか今年最後の仕事の絵が完成した。
一人でゴンザさんの作ってくれた晩ご飯を食べると、お風呂に入ったあとはすぐにベッドに入り横になって、絵の納品が終わった後描く予定の子供たちの写真を見ていたんだけど・・・
昼間一生懸命描いていて疲れたからかな? なんだか急に眠くなってくる。
サイド・テーブルに写真を置くと、絵の中の鋼牙に 「おやすみ」 を言って。
そうして目を閉じ眠りに就いた。


あんまりにもずっと鋼牙のことばかり考えているからなのかな?
夜中、なんだかベッドが揺れたような・・・
耳元で鋼牙が 「カオル」 とか 「ただいま」 って言ってるような・・・
朝目が覚めたら、なんだか久しぶりにすごくよく眠れたような、そんな気持ちのいい目覚めで。
あ~・・ いい夢だったな~

「ゴンザさん、おはようございます」

「おはようございます、カオル様」

すぐに用意してくれた朝ごはんを食べながら、思ったことをふとつぶやく。

「なんでかな・・・ わたし最近あまりよく眠れてなかったんですけど、
 今朝は妙に頭がすっきりして、すごく気持ちいいんですよね。
 う~ん、これって・・・ 昨日の夜夢の中だけど鋼牙に会えたからかな?」

「はて、夢の中・・で鋼牙様に会われたのでございますか?」

「うん、そう。
 鋼牙に名前呼ばれたり 『ただいま』 って言われたんだよね~ たしか」

「はははははは・・・ カオル様、それは夢ではございませんよ」

「・・・へ?」

「昨夜、そうですね・・ 3時前頃だったでしょうか、お戻りになられましたよ」

「ぇえ~! 鋼牙が?!」

思わず飲みかけのカップを手に持ったまま立ち上がってしまう。

「はい、お風呂に入られた後はすぐにお部屋のほうに上がられました」

「じゃ、じゃあ~ あれって、ただいま、って言ってたのって夢じゃなくて」

「はい、現実でございます」

「なんで鋼牙、きちんとわたしを起こしてくれなかったのかな~
 っていうか、ゴンザさん、鋼牙はどこ? まさかもう・・・」

「何日も空けていたので今日は管轄内をくまなく視まわって、番犬所にも寄るから、
 お戻りは夕方遅くなるだろう、そう言われて朝早くにお出掛けになりました」

「そんなぁ~~ せっかく帰ってきたばかりなのになんで~」

立ち上がっていた足の力が抜けて、椅子に座りこむ。

「よろしいではございませんか、カオル様。
 無事にお戻りになられたのですし、カオル様もこれからお出掛けなのでございましょう?
 今夜ゆっくりとお話しをしてお過ごしになればよろしいではありませんか。
 私も今夜はお二人のために腕をふるいますから」

「そうですよね・・・ 鋼牙、帰ってきたんだもん。
 今夜ゆっくりと話しをしながら過ごせばいいんですよね」

「はい、さようでごさいます」

「それなら、さっそく絵を納めに行ってきます。
 あ、お昼は西辻さんと打ち合わせをしながら食べてくるので今日はいいです」

「そうですか。
 ではカオル様、あとで駅までお送りいたしましょう」

「ありがとうゴンザさん、お願いします」
 
少し雪の積もった道をゴンザさんに送ってもらって駅に着くと、電車に乗って依頼主の人のところへ納めに行き、昼上がりで仕事が終わるという西辻さんと落ちあって、お昼を食べながら今度のボランティアのための最後の打ち合わせをする。
そうして、5日後に・・ と言って別れた後は、ずっと考えていた鋼牙とゴンザさん、零君への3人のプレゼントを探して、ラッピングしてもらって家路につく。

うふふ・・ 思ってたようなプレゼントが見つかってよかった。


鋼牙とももうすぐ会えるし、思ったような買い物もできて、なんだかうきうき気分で屋敷まで歩いて帰ったんだけど。

「ただいま~」

「おかえりなさいませ、カオル様」

「ゴンザさん、鋼牙は? あ、まだ帰ってないか~ 遅くなるって言ってたもんね」

「カオル様、それが・・・」

「なに? どうかしたの?」

「1時間ほど前、一度鋼牙様がお戻りになったんですが・・・」

「・・・?・・・」

「番犬所に報告に行ったら、次のお仕事を申しつけられたとおっしゃいまして」

「え、もしかして鋼牙、また出掛けたの?」

「はい・・・ それで、鋼牙様からカオル様へと、お手紙を預かっております」

そう言いながらゴンザさんから差し出された二つ折りにされた便箋を受け取って開いてみる。


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   カオルへ

   帰ったばかりだが、これからすぐ仕事で出掛ける。
   たぶん、一週間は戻れないだろう。
   この前お前が言っていたコンサート、
   一緒に行きたかったが、どうやら行けそうにない。
   カオル、楽しみにしていたのに約束を守れなくてすまない。
   いつもお前にかまってやれなくてすまない。
   行ってくる。

                        鋼牙

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「・・・鋼・・牙・・・」

「カオル様・・・」

「しかたないよね、鋼牙、仕事だもん。
 大丈夫ですよゴンザさん、わたしなら大丈夫。
 クリスマスまでにまだまだやることもいっぱいあるし、わたし平気です」

「ですが・・」

「わたし、久しぶりに駅から雪の積もった道を歩いて帰って来たから、
 もうお腹がぺっこぺこに、すいてるんです。
 ゴンザさんの作った美味しい晩ご飯、食べさせて下さい」

「・・・はい、カオル様」


ご飯を食べている時にゴンザさんに訳を言ってサンタの衣装のことを尋ねると、 「あの衣装でしたらちゃんとしまってありますよ」 と、零君が言っていたとおりの返事が返ってきて、前の日までに用意を頼んでおく。
零君への連絡は昼間にした方がいいはず。
そう思ったら鋼牙もいないし、もう今日は何もすることは特になくて、お風呂に入ってよ~く温まった後は早々とゴンザさんにおやすみを言って、部屋へ上がってベッドの布団の中に潜りこむ。

夢だと思った昨日の夜、隣には鋼牙がいたなんて。
寂しいよ・・・ もう一週間も鋼牙に会えないなんて・・・
わたし、どうして昨日の夜起きれなかったんだろう。
わたしの名前を呼んで、それに 「ただいま」 って言ってくれてたのに・・・
鋼牙、ごめんね。
起きて 「おかえり」 って言ってあげられなくて。
やっと帰ってきたのに、言ってほしかったよね・・・

「・・・ごめんね」

その夜、わたしは鋼牙の枕を抱えたまま・・・ 目を閉じ、眠りに就いた。


まことに勝手で申し訳ないのですが、今夜はもうここらが限界、これ以上は眠気に勝てそうにない状況です。 (だって時計は2時半過ぎてる~)
頭の中にある、おはなしの全体予想からすると、まだやっと半分に届いたかどうか・・・
できればこのあとの続きは、まずは明日の夜に、持ち越しさせてくださいませ。
詳しい時間は、こちらか、つぶやきにて、ということで。
では、速攻寝ま~す、おやすみなさい。
            ↓
昨夜は途中でバタンキューでおやすみなさい、して失礼しました。
つぶやきで書いたとおり 「書き抜けナイト」 2日目の今夜は、11時スタートでお願いします。
あ~ 今夜もまだ眠い、大丈夫かな・・・ 
            ↓
あと数分ですが、始める前にひとこと。
明日も4時起きのため、遅くても一応1時あたり? キリのいいところで今夜は店じまいの予定です。
ご了承くださいませ。
では、ぼちぼちと始めます。



ボランティアで病院に行く22日までの4日間はあっという間に過ぎた。
夜、一人で寝る時はさすがに寂しくなるけど、昼間はカードに似顔絵を描いているとけっこう忙しくて時間の過ぎていくのが早い。
デジカメで写した写真を渡されて、それを見ながら描いていくんだけど、長い入院生活のせいなのか、やはり中にはどこか寂しそうだったり、表情の乏しい子もいて。
西辻さんから言われた訳じゃないけど、そういう表情をしている子を描く時は、笑った時の顔を想像しながらなるべく明るい表情に描くようにする。
プレゼントだけじゃなくて、わたしが描いたカードも見て笑ってよろこんでくれたならいいな・・・
そう思いを込めながら頑張っていると、本当に22日までの4日間という時間は、あっという間、だった。


22日当日の朝、朝食の後、わたしは自分の部屋でサンタの衣装に着替えると、コートを手に持ち、ゴンザさんの待つダイニングに行く。

「カオル様、そのお衣裳は?」

「あ~ これ? これ、鋼牙と出逢った頃だったから何年前になるのかな~
 ケーキ屋さんのお店の前でクリスマス・ケーキを売るバイトをしたんだけど、
 クリーニングをして返しに来てください、って言われてたのに、
 次のバイトが忙しくてついつい返しそびれちゃったっていうか見事に忘れちゃって、
 1年後のクリスマスの前に思い出して返しに行ったら・・・」

「・・・?・・・」

「あはは・・ そのケーキ屋さんは無くなっちゃってて。
 それでずっとそのまま持ってたんですけど、
 今回ちょうどいいんで着ようかなって思って。
 あ、あと、お揃いの手袋と帽子もあるんですけど・・・
 ゴンザさん、どこか変ですか? わたし、似合ってないですか?」

「いいえ、似合わないだなんて、とんでもございません!
 カオル様は色が白うございますから赤い服がとてもよく似合っておいでです。
 縁にファーの白いふわふわが付いているのもまた可愛いですし、
 ミニ丈のスカートとロングの白い編み上げブーツがこれまたカオル様にぴったりで。
 お姿を見た小さい子供たちはさぞや皆喜ぶと思いますよ。
 もしも皆様と写真を撮る機会があございましたら、ぜひあとで見せてくださいませ」

「あ~ それならデジカメを持って行くんで大丈夫、
 子供達もですけど、西辻さんも零君もみんな、写してきます。
 ゴンザさんのクッキーを貰って喜ぶ子供達の顔もちゃ~んと撮ってきますね」


昨日ゴンザさんが焼いて準備してくれたクッキーの詰め合わせ。
子供たち + 小児科の看護師さんとお医者さん + 今日参加のボランティア の合計人数分のすごい数のクッキーを 「私にできるのはこんなことぐらいですから・・・」 ゴンザさんはそう言って1日がかりで全てを一人で準備してくれた。
わたしは、衣装の上にコートを着込むと、クッキーと似顔絵を描いたカード、あとは零君が着るサンタの衣装を持って、駅までゴンザさんに送ってもらい、そこで待っていた西辻さんと一緒に零君と待ち合わせをしている病院のある駅まで電車で向かう。


「カオルちゃ~ん、ここだよ、こっちこっち」

「あ、零君」

「そのおっきな荷物貸して、俺が持ってあげる。
 あ、はじめまして、俺、 涼邑零です」

「はじめまして、西辻です。
 今日はお手伝いをありがとうございます、凉邑さん」

「あ~ 凉邑さんでもいいけど、カオルちゃんみたいに零君でいいよ、そう呼んで」

「あ、じゃ、今日はよろしくお願いします・・・ 零・・さん」

「零さんか~ まあ、それでもいいけどね。 
 よし、それじゃ行きますか? カオルちゃんと・・ ふみよちゃん?」

「え! は、はい」

「そうだね、時間もあるしね」 


病院には、約束の集合時刻の少し前のちょうどいい時間に着いて、全員揃ったところで会議室を二つ借りて、男女それぞれ今日扮する格好に着替えて準備する。

「カ~オ~ルちゃん、見て見て~」

「うわっ 零君似合ってる~ かっこいい~」

「ほんと? でも俺よりもカオルちゃんの方がさ~」

「え? どこか変かな?」

「ううん、違うって、ミニスカ・サンタが超かわいいって言おうとしたんだよ」

「ほんと?」

「うん。 それと・・・ ふみよちゃんもかわいいよ~」

「で、でも私は、ミニスカートじゃなくてただのズボンですよ?」

「ズボンだけど、ちっちゃい身体にその少しダボダボっとしたサンタ服がね~」

「やっぱり身体に合ってないから変ですよね・・・」

「ちがうちがう、そこがかわいいんだってば」

「え、でも・・・ 私なんて・・・」

「いいかい? 俺は似合っててかわいいって思うから素直にそのまま言ってるんだよ?
 だから・・・ 私なんて、とか絶対言っちゃだめだからね、わかった?」

「そうだよ西辻さん、零君は絶対嘘は言わないし、それに本当にかわいいよ~」

「は・・・ はい」

「OK~ そうだ、すいませ~ん、3人の写真を撮ってもらってもいいですか~」

記念に、他の人に頼んで3人で写真を撮ってもらう。
それと、零君が二人で撮りたいって言うから並んで西辻さんに撮ってもらったんだけど、零君てばニコニコ顔で、腕をまわしてわたしの肩を抱き抱えるようにぴったり寄り添って並んで撮って・・・
う~ん あれ、なんだったんだろう?

今日のメンバー、8人揃って病院の中にある、院内学級の教室で待っている子供たちのところへ向かう。
サンタさんに、スノーマン、トナカイさんに、なぜか白クマ君。
服に、着ぐるみに、カチューシャに付いた角だけを頭につけて鼻の頭を赤く塗っている人もいて、全員がそんな格好でプレゼントの入った白い袋を持ったり背負っったり。
廊下を愉快なクリスマスの一団体が行進していく。

うふふ・・ 子供たちみんなが、笑って喜んで、楽しんでくれたらいいなぁ~

「メリー・クリスマ~ス!」 そう口々に言いながら教室に入って行くと、「きゃぁあ~」 「うわあ~」 っていう歓声を上げている子に混ざって、口をポカンと開けたままメンバーの格好に驚いて目が点になっている子もいる。
でも、お医者様にOKの許可を貰ったゴンザさんが用意してくれたクッキー、クリスマスカード、それとその子その子に合ったおもちゃが入ったプレゼントの袋を、名前を呼びながら渡してあげると、みんなのすごくうれしそうなニコニコ笑顔であたりが満開になる。
隣の大きい子が 「ありがとう」 って言うのを真似て、語尾だけを一生懸命 「とう~」 って言うすごく小さな子もいたりして・・・
2歳ぐらいかな~ 横に付き添っているお母さんも一緒になって喜んでくれる。
子供だから当然なんだけど、プレゼントとクッキーばかりを見て喜んでいる子供達に、お医者さんが優しい声で 「みんな~ 一緒に貰ったカードも開けて見てごらん」 そう言ってくれると、一斉に不思議そうな顔をしながら封筒に入った二つ折りのカードを取り出して・・・

あ・・・ 気にいってくれるかな~

ドキドキしながら見ていると、開いた時はお母さんも子供たちも一瞬驚いたような顔をしていたけど、すぐに嬉しそうな顔に変わっていって、きゃあきゃあ言ったり、笑いあったり。

わぁ~~ 良かった~~

「ね、あれってカオルちゃんが描いたんだよね?」

「え? う、うん。 
 零君、良かった~ 気にいってくれたみたいで~
 わたしね、昨日からもう気になって気になってドッキドキだったんだよ~
 あ~ もうなんだかすごくホッとしたぁ~」

「カオルちゃん、よかったね」

「うん!」

「カオルさん、ステキ~ さすが画家さんですね~ みんな、すごく喜んでますよ」

「西辻さ~ん、よかった~」

西辻さんと喜びあっているわたしを笑顔で見ながら、零君は看護師さんやお医者さんにもクッキーを配っていく。

「はい、どうぞ~ このクッキーすご~く美味しいですよ~」
「え~ 私達も頂いてもいいんですか~?」
「もちろんですよ~ 白衣の天使さんにサンタさんからプレゼントで~す」
「ほんとに~? サンタさん、ありがとう~」

零君ってほんとすごいな~
もし鋼牙が来てくれたとしても、たぶん零君みたいにはいかなかっただろうな~

子供達の時間は、最後にメンバー全員でクリスマス・ソングを歌って終わったんだけど、その最後まで零君はずっと子供たちの人気の的だった。
はじめは、車いすの女の子をひょいっとお姫様だっこしたのがきっかけだったみたいなんだけど、結局全員からだっこだの肩車だのを、してして~ とせがまれて、次々するたびに看護師さんやお母さん方がカメラで写真を撮ったりしてて。
で、その間やっぱり零君はずっとニコニコ笑顔のまま。
すごいよね、零君。

ありがとうの声に送られて教室をあとにすると、着替える前に談話室で用意してもらったお茶を飲みながらデジカメで撮った画像をチェックしてみる。
見てみると、写っている子供たちみんなが楽しそうないい顔で笑っていて、やった! と、メンバー全員で上手くいったのをハイタッチして喜び合う。
病院を出ると、3人でそのままデジカメの画像を写真にしに行き、ファミレスに寄って、子供達の分、メンバーの分、と、それぞれに分ける。
病院とメンバーに渡す分は西辻さんに預かってもらう。

「ねえ、零君はほんとにそれだけでいいの? 他にもあるよ?」

わたしと並んだのと、子供達に囲まれて一緒に撮ったの、あとはメンバーみんなで最後に撮った写真の3枚だけをポケットにしまうのを見て訊いてみる。

「うん、全部ここに入ってるからこの3枚で十分かな」

そう言って自分の胸を押さえてみせる。

「そうなんだ・・・」

零君とは送ってもらった駅で別れたんだけど、その時そっと耳打ちされる。

「あのさ、鋼牙が帰って来なかったら明日の昼過ぎにでも連絡して。
 俺が鋼牙の代わりに一緒に行ってあげるから」

「零君・・・」

「じゃあね、カオルちゃん」

乗る駅で笑顔で見送ってくれた零君と西辻さんに手を振って別れ、電車の途中にメールで連絡を入れたゴンザさんにいつもの駅まで迎えに来てもらう。
屋敷に帰ると、出来あがった写真を全部見せながら、その日の様子をゴンザさんに詳しく話してあげる。
みんなが、ゴンザさんのクッキーをすごく喜んでいたことと、お礼を言っていたことを伝えると、写真を見ながら静かに微笑んで喜んでくれる。

「カオル様、この1枚を頂いてもよろしいでしょうか?」

そう言われて指差されたのは、クッキーを齧りながら嬉しそうに笑っているあの小さな男の子の写真。
それを手に取り、ゴンザさんに差し出す。

「ゴンザさん」

「はい?」

「クッキー、ほんとにありがとう」

「カオル様・・・」

その日の夜は、さすがに疲れたのと、無事終わってホッとしたおかげでベッドに入って鋼牙の絵を見たところまでは覚えてはいるけど、その後はもう寂しさを感じる暇も無くすぐに寝てしまった。


翌朝、少し遅めに目が覚めてダイニングに下りる。
朝食を食べながらゴンザさんに訊いてはみるけど、やっぱりまだ鋼牙は帰ってきていない。

「鋼牙、やっぱり今夜のコンサートには間に合わないんだろうな・・・」

「カオル様・・・」

「あ、ごめんなさいゴンザさん、わたし平気だから。
 それに零君もわたしのこと心配してくれて、鋼牙が帰らなかったその時は、
 今夜のコンサートに代わりに一緒に行ってくれるんだって」

「そうですか、それなら安心でございますね。
 私は鋼牙様が帰ってきた時のためにここに居なければなりませんから、
 カオル様が夜一人でのお出掛けが心配だったんです」

「心配だなんてそんな~」

「いえいえ、冗談ではございませんよ。
 鋼牙様のお留守にカオル様に何かあったりしては困りますから」

そんなことを言ったりしていたんだけど・・・
鋼牙は、残した手紙に書いてあった通り、夕方近くになってもやっぱりまだ帰って来なくて。

「じゃ、ゴンザさん、行ってきます」

「はい、行ってらっしゃいませ。
 西辻様にもよろしくお伝えください」

「はい」


昨日と同じように零君と駅で落ち合うと、二人で早めの軽い夕食を食べてから、去年は鋼牙と行ったあの建物に行く。
中に入ると、黒のスーツを着た西辻さんがホールの受付にいるのを見つける。

「西辻さ~ん」

「あ、カオルさん、それに零さん、昨日はどうもありがとうございました」

「いえいえどういたしまして、俺の方こそ昨日は楽しかったよ」

「あの、今夜のコンサート、楽しんでくださいね」

「うん、ありがとう」

中に入ると、零君の希望で、去年鋼牙と来た時と同じように後ろの端の方の席に座る。
零君のは黒いコートだから、服としたら鋼牙の白いコートほどは目立たないけど、でも高い身長やタイプは違うけどかっこいいところとか、あとは雰囲気なのかな? どうしても知らないうちに周りの視線を集めてしまう。
ただ当の本人達は、自分に集まる多くの視線をまるで気にしていないっていうか、無視しているっていうか、二人とも同じように知らん顔して座っているのが、不思議というかすごいんだよね。

「こんなとこにコンサートに来るのって、俺、初めてだよ」

周りを確かめるように見渡している零君の口からそんな言葉が漏れてくる。

「そうなの?」

「うん、昔はね、いろんな曲とか周りによく流れていたんだけど、
 俺が自分から聴こうと思ってたわけじゃなかったしね。
 まあ、あの頃はこういう外との接触ってほとんどしなかったっていうか無かったからね」

「零君?」

「あ、ごめんごめん、カオルちゃんには関係ない話だったね。
 今言ったことは忘れて」

あまり待つこともなく司会者が現れ、挨拶が終わると去年同様学生たちによるハンドベルの演奏が始まる。
去年は高校生で今年は中学生が演奏する、という説明があったけど、そう言われれば演奏している学生達の顔には、たしかにどこかまだ幼い感じが残っているように見える。
メドレーも含めて6曲が演奏され、そのあと、小休憩が入る。

「すごいね、カオルちゃん。
 鋼牙の代わりに来たけど、俺、来れてよかった~
 もう、感動しちゃったよ。
 すっげ~ きれいな音」

「そうでしょ? 去年ね、ザルバも一緒に鋼牙と来てたんだけど、
 あのザルバも良かった、って言ってたんだよ」

「そっか~ ふ~ん」

後半は約80人の聖歌隊の歌。
ピアノの伴奏だけであとは人の声だけ。
指揮者に合わせてたくさんの声がひとつに重なり紡がれていく。
はじめの方は教会に通わないわたしには馴染みのない曲だったけど、終わりに向かうにつれてクリスマス・シーズンになるとどこかしらで耳にしたことのある曲が続いて、会場の人の気持ちを盛り上げていく。
ジングル・ベル、ホワイト・クリスマス、クリスマス・ブレイズ。
ほとんどの人が聖歌隊と一緒に手拍子を叩いたり身体を揺すったり、中には一緒に口ずさんでいる人もいる。

わぁ~~ すごい、うきうきして楽しい!

本当に最後は、去年と同じように終わりの挨拶を聞いた後に会場も一緒になって 「きよしこの夜」 を全員で歌う。
そうして、聖歌隊の学生がお客さんを見送るために、先に会場の外に出て行く。

「今年も楽しかった~ 零君、ステキだったね~」

「そうだね、カオルちゃん。
 俺も鋼牙の代理だったけどさ、昨日今日と二日間、すごく楽しかったよ」

「・・・零君?」

あれ? 零君、どうしたのかな・・・ 楽しいはずなのに・・・
顔は笑っているのにどうしてそんな目をしてるの?

「ね、カオルちゃん、そのまま・・ 黙って後ろを、そっと振り返ってごらん」

「え、何? どうかしたの?」

徐々に周りの人が立ちあがって帰っていく中、零君に言われたとおりゆっくりと後ろを振り向いてみる。
と、そこには・・・・
ずっと会いたかった、見慣れた白いコートで、壁に凭れて立ってこっちを見ている鋼牙の姿。

「うそ、こ・・・が・・」

「鋼牙の代役はそろそろお終い。
 俺は先に帰るから・・・ カオルちゃん、またね」

静かに立ち上がって、視線が鋼牙にくぎづけになったままのわたしの肩をぽんぽんと叩くと、零君は多くの帰る人の波の中へと紛れていってしまう。

鋼牙・・・

コートを持ったまま席から立ち上がり、帰る零君に頷き返す鋼牙の元へと近付いていく。

「鋼牙・・・」

「すまないカオル、間に合わなかったな」

優しい目の、でもすまなさそうな顔をした鋼牙が、わたしに謝る。

遅れたけど、でも・・・

鋼牙を見上げたまま何も言うことができないないわたしは、ただもう首を横に振ることしかできない。
鋼牙は、そんなわたしを黙って見ていたけど、でも、いつまでもここにじっとしているわけにもいかなくて。

「カオル、出よう・・・ ほら、外は寒いからコートを着ろ」

「うん」

人混みに押され、ホールの向こうの方で手を振る西辻さんに小さく手を振り返して建物の外に出る。
玄関の外で学生たちが歌いながら見送ってくれるのも、募金箱を持って立っているのも、そして無造作にポケットから掴みだしたお金を、金額の確認もロクにせずに募金箱の中へと入れてしまう鋼牙も、全部去年と同じ。

「鋼牙、ね、今年はいくら募金したの?」

「さあ・・・ チャリティーだしな、手に触っただけ全部を入れた。
 今夜はゴンザがクリスマス用の飯を作って待ってるそうだから、もう金は要らないだろ?」

「帰るのに電車代がいるよ?」

「車で来たから要らないと思うが・・・」

「でも鋼牙、駐車料金は? 持ってる? それとも要らないの?」

「・・・!・・・」

「ねえ、どうやって車を出すつもりなの?」

「・・・すまないカオル、あとで返すから貸してくれ」

「ぷぷっ! べつにいいよ、駐車代ぐらい返さなくても」

「・・・・・・」

「鋼牙?」

「カオル、帰るぞ」

「うん」


鋼牙について行き、車に乗ってゴンザさんの待つ屋敷に戻る。
帰りの車の中、喋りたいことは山ほどあるはずなのに、隣に鋼牙がいるだけで嬉しくて、なんだか運転している横顔を黙って見つめ続けてしまう。

屋敷に着くと、鋼牙の言った通り、ゴンザさんがクリスマス仕様の美味しい晩ご飯を用意して待っててくれて。
久しぶりに一人じゃない、楽しい晩ご飯を食べる。
その後は、鋼牙に言われたとおり先にお風呂に入って二階に上がって待っていると、鋼牙も入った後、今夜は珍しくトレイの上にワインとグラス、それにチーズを載せて部屋に入ってくる。
テーブルの上にトレイを置くと、わたしの隣に座って黙ったままボトルの封を開け、グラスに注いで・・・

「ほら」

「ん、ありがと。
 鋼牙、ちょっと早いけど・・・ メリ―・クリスマス」

「ああ、メリー・クリスマス」

ワインを飲みながら、まるで堰を切ったように急に話し始めたわたしの話が一段落するまで、相槌を打ちながら鋼牙はずっと聞いていてくれた、んだけど・・・
ほろ酔い加減で鋼牙に凭れたままぼんやりしているわたしに、鋼牙が・・・

「カオル、これ・・・ お前が風呂に入っている時にたまたま見つけたんだが・・・」

「ん~~?」

なんだろう~?

なんだか急に雰囲気が変わったかのような鋼牙の低い声に、顔を動かしてテーブルの上に置かれたモノをよく見てみる。
と、そこには・・・
リビングの机の上に置いたままにして忘れていた、昨日サンタに仮装して零君に肩を抱かれて二人一緒に仲良く笑いながら写っているあの写真!

「なぜサンタの格好をしているのかは今聞いてだいたいわかったが、
 だがなぜこんな風に・・・ 零と一緒に嬉しそうな顔をして写真に写ってるんだ?」

「え、だってそれは零君が一緒に撮ってって・」

「しかも、このスカート」

「ね、それってかわいくない? 
 零君も、西辻さんも、ゴンザさんも着たの見てかわいい、って言ってくれたんだよ?」

「すごく・・・短い」

「だから鋼牙、それは何年か前にバイトでね・」

「・・・・・・」

このスカート、と言ったあたりから一段と声が低く、おまけに・・・

「ねぇ、鋼牙・・・」

「零は見たんだな」

鋼牙の顔を覗き込むと、なんだか目が・・・据わってる? 
え~と、たしか鋼牙ってアルコールはザルっていうか底抜けのはずじゃなかったっけ?
ってことは・・・

「鋼牙・・・ 今すぐその服、着て見せようか? サンタさん」

「ああ」

そう短く返事する鋼牙の口元が微かに笑っているように見えたのは・・・ わたしの気のせい?

「・・・・・・」

「カオル?」

「今すぐ着てくるからちょっと待ってて」

慌ててグラスをテーブルに置いて、わたしはサンタの服に着替えるため自分の部屋へと急いで駆けた。





あ~~ あと1時間欲しかったなぁ~
すいませんが、そろそろタイムオーバーです。
この後の続きがノーマル方向になるのか、どっぷり大人の作文に向かうのか・・・
皆様はどっちがいいのかわからないけど、とりあえず両方の映像は頭の中でぷかぷかしてるので、お正月になって落ち着いてからどっちにするか考えてみます。
では、おやすみなさいませ



参考にしたコンサート会場です。

コンサート会場
作文1 | コメント(12) | トラックバック(0) | 2012/12/24 00:00
コメント
hannah様
いよいよ今年も明日で終わり、仕事も一段落です。
今年はなにかと忙しくて、長かったような短かったような不思議な一年でした。
サイトも気付けばけっこう長く続いてたり? な感じで。
う~ん、来年はどんな年になるんでしょうかね~
ま、まずは新年会がてら、寒いけどいつもの場所でパフェかケーキセットでもご一緒に。
じゃ。 


selfish様
きゃぁあ~~ ありがとう~ \(^o^)/
>私なんて…って言う西辻さんにダメだよって言う零くんが好きだ~っ!
そんな風に言ってもらえてうれしい~ 超うれしいです。
続きですか・・・ は、はい、なるべく早めに頑張らせていただきます。
かる☆みん様
かる☆みん様のご希望、聞かせていただきました。
ですが・・・ こればっかりはその時の気分次第、指任せなので管理人もその時になるまではわからない、っていうのが本当のところです。
今のところ頭の中では、途中ラインはおおまかに2通り、なのにラストの場面だけが4個ほどぷかぷか浮かんでまして。
う~ん どうなるのかな~~  
かなまま様
御期待の 「零君と鋼牙とカオルの3人の絡み」 はどうだったでしょうか?
管理人は、鋼牙はもちろんのこと零君がすごく好きでついつい御出演いただくんですが。
もしかしたらラストあたりにまた登場してくれるのかな~ と思いつつ、頭の中でいろいろ喋ってくれている皆様方、そんな感じです。
年越えますが、クリスマスのおはなしを今しばらく・・・ お待ちくださいませ。
ちゃーみーママ様
あははは・・・ たしかに。
「いい感じ」 だったのに 「路線が変わってしまった」 と言われてもしかたがないですね。
カキコ2日目の最後あたりは半分頭が寝かけてましたからね・・・
マジ次の日だったか、お昼ご飯を食べながら携帯で見て、うわぁあ~~ (>_<)  って思いました。
あ~ どうなるんだろう、この後。
でも、できるなら〇〇〇き路線は避けたいなぁ~~
心太様
他所のサイト様がきっちりステキなおはなしを書かれているというのに、なんとも中途半端で投げ出し状態のまま・・・ 心太様だけでなく、皆様に申し訳ないです。 
それなのに、嬉しい、なんて・・・ 
心太様、そう言ってもらえることの方がもっと嬉しいです、ありがとうございます。
時間が出来次第なんとかその言葉に報いたいな~ と思ってますので、少しぐっすり目に(目が自然に開くまで)寝させてください。 (苦笑)
元旦になるか、2日になるかはわかりませんが頭がすっきりして、どのパターンで行くか決めたら、一気に仕上げます。
では、今しばらく・・・
 
かなまま様
どうも、コメントありがとうございます。
まだまだこれでも全体の半分以下、3分の1強、ぐらいでしょうか・・・
といっても、ラスト3ん分の1は、大人タイムなので、UPするかどうかは謎だし、もしするにしてもお正月過ぎになりそうですがね。
という訳で、この後はノーマルバージョンのラストまで? まだ迷っている、2パターンのうちのどっちのパターンに進むのか・・・
それは、指先だけが知っている? です。
それではまた。
心太様
こちらこそメリークリスマ~ス! です❤
今夜もお休みなのになぜかバタバタしている管理人です。
ああ、〇ンタッキーが食べたかった・・・
今夜の時間を空けるために、ただいまコメントしながら家事を並行してやっつけています。
う~ん、今すぐでなくていいからほんと、何かいいことあるといいなぁ~
来年の舞台挨拶で前の方の席とか、握手チャ~ンス、とかね。
心太様からの優し~いクリスマス・プレゼント、ありがとうございました。
是空様
今回も優しい零君に(いろんな意味で)活躍していただく予定です。
皆様全員に謝りたいんですが、いつも遅い時間のUPですいません。
(本当はもっと早い時間UPの方がいいんでしょうが、家事や仕事で忙しくなくても本来管理人の頭が冴えるのって、ベスト・タイムは夜中の1時~朝6時くらいで、あまり早い時間だと指が動かないんです。)
今夜第2夜はもう少し早い時間にしようと思っているので、よろしければまた遊びにいらして下さいませ。
それでは。 (*^_^*)

ki-様
どうも、楽しみにして頂いたみたいで、ありがとうございます。
年賀状は書き終わりましたでしょうか?
ああ・・・ そんなに楽しみにされても期待にこたえられるかどうか。 (?_?)
とりあえずできる範囲で頑張ります。
ちゃーみーママ様
おおお! ニコ生のガロ放送でそんな手落ちがあったんですか!
あの振り返り様の剣をビシーッ は、無くてはならないものなのに・・・
だめじゃん、関係者! 
さて、始まる前から、カキコ途中、あとは寝た後まで、と、オンライン・コメントありがとうございまする。
コメントってほんと、書く側の人にとっては元気の源、パワーの元、力が出ます! 嬉しいです!
ありがとうで~す❤ (*^_^*)
Mie様
今回はさすがの鋼牙も、ザルバを叱咤激励しながら・・・という訳にはいかない雰囲気のようです。
さあ~て、この後どうなることやら? 
お楽しみいただければいいんですけど。

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