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On the back side of the smile

category: 作文1  

鋼牙とザルバ・・・
ソウルメタル製の指輪に封印されたホラーであるザルバが魔戒騎士の鋼牙に協力する対価として、鋼牙がザルバに 「1ヶ月に1日分の命を与える」 という契約。
そのために、毎月1日だけ鋼牙は自室で死んで 「仮死状態」 になるわけなんですが、長く一緒に暮しているカオルがそのことを全く知らないでい続けるわけもないよね? と思うのは、管理人だけではないはず。
ということで、今回いくぶん暗めモードなんですが、ザルバの心のつぶやきと共にお送りいたしまする。



 
   ・・・ On the back side of the smile ・・・

                                 <11.26.2013>

俺様は今・・・ 所謂、月に一度の食事中だ。
で、いったい何を食っているのかって言うと、こいつ・・・ 俺様と契約している鋼牙の一日分の命、なわけなんだが、さすがこいつは魔戒騎士の最高位、牙狼のことだけあってその味はなかなかのものだ。
ちなみに俺様が 「食ってる」 間の鋼牙は仮死状態なわけなんだが、まあ仮死とはいえ 「死んでる」 わけで、食事中の一日間は当然鋼牙の意識は無いし心臓も止まっていて、身体はもちろん氷のように冷たくなってる。
つまり、しついこいようだがベッドの上に横たわっている鋼牙は、今日一日 「死体」 っていうわけだ。

死体の鋼牙の胸の上、組んだ手の指に嵌まったまま、ずっと閉じていた目を静かに開けてみる。
すると、ベッドの横に寄せた椅子にカオルが座っているのが目に入る。
部屋に入って来て、たぶんもうそろそろ小一時間は経つはずだが、カオルは入った時からずっと無言のまま、生気の無い 「死体の鋼牙」 を、いつもそうするようにただじっと見つめ続けている。


『おい、カオル~』

「ザルバ・・・ なぁに?」

『月に一度の契約の日・・・
 お前さん、家に居れば必ずこうして鋼牙を見に来ているようだが、
 鋼牙はこのことを知っているのか?』

「さあ、どうなんだろう?
 今までわたしから言ったことは無いけど・・・
 ザルバは? 鋼牙に言ったの?」

『いや、俺様が特にこいつに言った覚えはないな・・・』

「そっか・・・ じゃあいくら勘がいい鋼牙でも知らないかも、ね。
 ねぇ、ザルバ」

『・・・・・・』

「わたしが鋼牙のこんな姿を初めて見た時、すごく驚いて大騒ぎしちゃったの、覚えてる?」

『ああ、あの時のことなら覚えてるぜ。
 お前さん、鋼牙にすがって揺すったり、泣いたり、叫んだり。
 ほんと大騒ぎだったよな~』

「うん。
 だって、呼んでも返事してくれないし、触ったら氷みたいに身体が冷たいんだもん。
 まさか鋼牙、死んじゃったの? って、それしか思いつかなくて。
 わたし、パニック起こしちゃったんだよね・・・」


カオルが、鋼牙と俺様のこんな一日を初めて目にしたのはいつ頃のことだっただろうか。
ずいぶん前のことだし、一度失くなった、というか忘れていた記憶も全部が全部思い出せたわけじゃないから、もう今となってはいつということははっきりとは思い出せないが・・・
意図的に鋼牙がカオルに隠していたわけではないにしろ、ほんとうに偶然、鋼牙の部屋に入ってきたカオルに見つかって。
ショックを受けて泣き叫ぶカオルにしかたなく俺様がどうして鋼牙がこうなっているのかを説明してやって、それでやっとどうにか落ち着いたってことだけは覚えてる。

それでもさすがカオルだ、一度納得してしまうと最初の頃はただ単に珍しかったんだろうが鋼牙がじっとしているからって、スケッチブックを持ちこんで寝ている鋼牙の姿を絵に描いてみたり、顔や身体を突いてみたり。
ふだんこいつが起きていると絶対に出来ないようなことをいろいろとやっていたんだが。
それがやがて、いつの頃からかただ黙って傍に座り、もの言わぬ死人の鋼牙をじっと眺め、見つめているだけになって。

カオルは、ふだんは絵を描いている時を除けばたいがいいつも賑やかで笑顔な事がほとんどだ。
極端な話、絵を描いてる以外の時は喋ってるか食ってるかしかしないくせに、こうしてここに来て座っている時は、たぶん鋼牙もゴンザも知らない、俺様しか見たことのない悟りきったような静かな顔をしている。


カタン・・・

『カオル、行くのか?』

「・・・うん」

『もう、いいのか?』

「うん、ザルバ、じゃましてごめんね。
 あ、鋼牙には・・・」

『わかってる。
 心配するな、このことは俺からは鋼牙に何も言わない』

「ん、ありがと。
 じゃ、またあとでね」

・・・パタン

カオルがドアを閉めると、足音が遠くなっていき。
俺はゆっくりと目を閉じる。



そういえば・・・ 

『カオル~ お前さん、よくもまぁ鋼牙ばかりそんなに描いて飽きないもんだな~』

「え~ だって~ 鋼牙は・・・ 鋼牙だから・・だもん」

『・・・ふぅ~ん・・・』

「ねぇザルバ、ひとつ訊いてもいい?」

『なんだ?』

「魔戒騎士って・・・」

『・・・?・・・』

「魔戒騎士を辞めることって・・・ あるのかな?」

『辞める?』

「うん、そう。
 普通の人が会社に勤めて定年がくるみたいに。
 その・・ 歳をとって辞める、みたいなのは?」

『さあな~ あるのかもしれないが、たいがいの魔戒騎士ってのは短命だからな~』

「・・短・・命・・」

『ああ、戦いの中で命を落として終わり、ってのが普通だと思うぜ?』

「それって・・・」

『ああ、お前さんの想像通り、ズバリそう言う意味さ。
 黄金騎士と言われようが鋼牙だって魔戒騎士、例外じゃあない。
 強敵が現れるとも限らんし不運な事もあるだろう。
 それに人はいずれ歳をとり体力も衰えていく。
 それでも魔戒騎士は、鋼牙は・・・
 自分からその生き方を投げ出したりはしないだろうさ』

「そう・・・だよね」

『カオル?』

「・・・・・・」

『いつのことかはわからないが、鋼牙にもしもの事があった場合・・・』

「・・・・・・・」

『どんな見た目でも身体が戻ってくればいい方で、最悪は・・・』

「・・・・・・」

『喰われて何も戻って来ない可能性も・・・ある』

「そんな・・・」

『ふっ お前さんはホラーがどんなので、
 こいつがいつも命を張って戦ってるのを知ってるだろう?』

「・・・うん」

『カオル・・ つまりは、そういうことなんだ』

「そうだね・・ そうだったね・・・」

『・・・カオル?』

「ん・・ 大丈夫だよザルバ、わたし、強いんだから」

『・・・・・・』

「それにね、鋼牙は強いし・・・
 絶対わたしのところに帰って来てくれるの。
 約束してるもん」

『・・・ああ、そうだな』

「そうだよ、鋼牙は牙狼だもん」


カオルがスケッチをせず、鋼牙をただじっと見つめるようにだけなったのはあんな話をした後からだったか。
鋼牙の前では見せないカオルの・・・

いいさ、俺様だけの秘密にしてやるよ、カオル。
だからお前さんは鋼牙の前ではいつでも笑顔でいろ。

そう・・ 最期まで・・な。

2013_11_27

Comments

Sousou様 

>じっとした鋼牙を見つめる静謐なカオル
うん、ずっとずっと以前から管理人の頭の中に浮かび続けているワン・シーン。
まさにそんな感じです。

雷牙のちょい画像を見たらね~ 牙狼ファン鋼牙ファンなら 「鋼牙どうなった?!」 となっちゃいますよね~
ほんと、どうなったんだろう・・・ (-_-;)

なな  URL   2013-12-28 21:25  

強いなぁ~ 

カオルちゃん、強いですね。
鋼牙の'死'の姿を目の前にして、ザルバから魔戒騎士の'死'の話を聞くなんて。

そして…
雷牙牙狼の発表の後、この話を書かれたなな様も強い方だな~と思ったりして。
鋼牙の将来の姿を静かに見据えてる印象を受けて、カオルちゃんとなな様がダブって見えました。

いやはや、強いなぁ~
selfish  URL   2013-12-01 14:21  

カオル・・・! 

どわああああああ!!!(号泣)

なな様。。。しんみり来てしまいました。
次に怒涛のように悲しみが襲ってまいりました。

雷牙の復活が騒がれて、目下「鋼牙はどうなった」でてんやわんやの周囲でございます。雷牙が牙狼なら・・・鋼牙は。。。色々考えてしまいます。それこそ、じっとした鋼牙を見つめる静謐なカオルを想像すると耐えられない程に胸がしめつけられます。。。
Sousou  URL   2013-12-01 01:25  

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