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The dream 2012 of the night of midsummer

去年はカオルの絵が仕上がらなくて行けなかった夏祭り。
『祭りと絵と線香花火』
そして、カオルを盛り上げようとやって来た零も一緒にした花火の夜。
『零、花火を持参する』

なにかと忙しさに追われている間に今年はもう夏休みも終わったし、いろいろ思うところもあって、夏祭りのおはなしは辞めようかな~ と、途中で放置、ポイしようとしていたんですが、なぜだか作業復活、UPすることに。
う~ん 例の、某♪ライブを見て、いろいろと連想されている方、多いんですね。
鋼牙の浴衣姿を是非に! そして某♪ライブの時の彼の人の姿再び~ というリクエストをいくつも頂きました。
では、鋼牙とカオルの真夏の夜の夢を、少しだけ・・・
Let’s become invisible man and go!




   ・・・The dream 2012 of the night of midsummer・・・
                                        <8.26.2012>

   

昼食後のお茶を飲んでいると、いつもなら片付けをし始めているはずのゴンザが、脇に立ったまま俺に何か言いたげにしている。

「どうした、ゴンザ、何かあるのか?」

「はい、実は・・・」

「・・・?・・・
 なんだ、そんなに言いあぐねるほどのことなのか?」

「いえ、そうではございません。
 鋼牙様・・」

「いいから、言ってみろ」

「鋼牙様、先ほどお聞きした時に 『昼からは特に何も予定は無い』
 そう、おっしゃられましたね?」

「ああ・・ それがどうかしたのか?」

「では、1時間ばかりこのゴンザにお付き合い願えますでしょうか?」

「それはべつにかまわないが、いったい何をするんだ?」

「それは、言うよりも実際にした方が早いと思いますので、
 申し訳ございませんが、お茶を飲み終わりましたら、
 私の部屋までお出で願えますでしょうか?」

「わかった・・ では、行こうか」

残りをぐいと飲み干し、湯のみをテーブルの上に置くと、椅子をひいて立ち上がる。

「ありがとうございます」

礼を言うと向きを変え、先に歩き始めた後を黙ったままついて行き、ゴンザのプライベートな部屋に入る。
親父がまだ生きていた頃、俺が小さかった頃はよくゴンザの部屋にも行ったりしていたものだったが、あの親父のことがあってからというもの、大きくなるとともにだんだんと足も遠のき、最近では、ゴンザが腰を痛めた時に入るぐらいで、まず普段に入ることは、ほぼない。

「ささ、鋼牙様、こちらの畳の上に上がって頂いて、
 申し訳ありませんが、一旦服を脱いで、下着だけになっていただけますか?」

もともと屋敷の外見と同じように、部屋の中も洋風の造りになっているんだが、北の管轄に越してきた最初の冬だったか、ゴンザのたっての希望で、こたつを置くための置き畳のコーナーを、この部屋の一角にしつらえてある。
今は夏だから、畳だけが敷かれているそのコーナーに上がり、服を脱いで下着だけになれ、とゴンザが言うが・・・

「ゴンザ?」

「カオル様は、今日は夕方帰って来ると申されてお出掛けになりましたが、
 いつまた早くお戻りになるやもしれません。
 ですから、理由はこの後、しながらお話ししますので、今はとにかく・・」

「わかった、脱げばいいんだな?」

「はい、申し訳ございません」

何をするのか全く分からないが、カオル絡みであるのには違いないらしい。
胸の留め具に手を掛け、さっさと脱ぎ始める。

「ゴンザ、脱いだぞ、これでいいのか?」

「はい。
 では、鋼牙様、これを着てくださいませ」

俺の足元の畳の上、ゴンザが奥から持ってきた、たとう紙の紐を解き、開いた中から出てきたものは・・・

「これは・・ 浴衣か?」

「はい。
 鋼牙様、去年夏祭りの時、カオル様の絵の仕上がりが間に合わず、
 行けなくてずいぶんがっかりなさっていたのを覚えておいでですか?」

「ああ、覚えてる。
 ゴンザに作ってもらった浴衣を着て行きたかった、と言っていたな」

「はい。
 そのカオル様の浴衣を選びに呉服屋へ参りました時に、
 展示されていた男物の浴衣を見ていたカオル様が、
『鋼牙の浴衣姿、カッコいいだろうな~ 絶対似合うと思うんだよね。
 一緒に着て、普通に並んで歩きたいけど・・・
 あ、でも、鋼牙はたぶん・・ 浴衣なんて俺は着ない、って言うんだろうな~』
 と、諦め顔で寂しそうに仰られまして。
 そこでこのゴンザ、勝手ながらカオル様の願いを叶えるべく、
 今年は鋼牙様の浴衣を作らせて頂きました」

『お~ お~ お~ ゴンザ、さすがだな~
 カオルのこととなったら、ぬかりはないな』

「当然でございます」

「ゴンザ、浴衣を作ったいきさつはわかった。
 で? 着るのはいいとして、それがなぜ今なんだ?
 たしか夏祭りは、10日ほど先だったはずだが」

「鋼牙様、お忘れですか?
 祭り当日、ゴンザは昨年同様、朝からゲートボール同好会の屋台でございます。
 ということは、カオル様に内緒で準備したこの浴衣を、鋼牙様は一人で着ねばなりません。
 着かた、帯の結び方などをこれからお教えいたしますので、覚えてくださいませ」

必死の形相で見上げながらそう言うゴンザに、俺の返す言葉はもうひとつしかなく。

「・・・わかった、教えてくれ」

『おい鋼牙、これは祭り前は相当気合入れて浄化をやっとかないとまずいぜ。
 カオルがOKなのに、お前がホラーとデートなんてことにでもなったら、
 さすがに笑い話にもならないからな』

「ああ・・ ザルバ、頼むぞ」

「ザルバ様、ゴンザからもよろしくお願いいたします」

『しょうがないな~ カオルのためだ、頑張ってやるよ』

「よろしくお願いいたします、なにとぞ・」

『ゴンザ、わかったって言っただろ? 
 それよりも鋼牙にちゃ~んと教えておけよ、俺は手伝えないんだからな』

「それはもう! さあ、鋼牙様」

覚えるのにたいして時間はかからなかったが、とにかくゴンザの納得がいくまで、しっかりと着かたや帯の結び方を練習させられる。


ようやくゴンザの部屋から解放された後、リビングで本を読んでいると、
「ただいま~ わぁ~ お昼のお茶に間にあった~」 
笑顔でそう言いながら、夕方帰って来るはずのカオルが、ゴンザの危惧したとおり、昼のお茶の前に早めに帰って来て、二人一緒にお茶をしたんだが・・・
早く帰ってきたカオルを見て、内緒で準備した、と言っていたゴンザがホッとした顔をしていたのは言うまでもない。


祭りの日の前日・・ 2~3日前から、カオルがなんとなくそわそわしているのには気がついてはいたが、俺はあえて自分からは何も訊かず、知らん顔を決め込んでいる。
ゴンザは、そんな俺を見て意味ありげな笑みを時々浮かべていたが、よほどカオルを驚かせ喜ばせたいんだろう。
たぶんいつも通り、祭りのこともカオルに相談も受けているはずだが、これまた見事に知らん顔を通しているようだ。

夕食後、食卓でコーヒーを飲んでいると、隣に座っているカオルが、俺の様子をうかがいながらも、やっと、翌日の祭りのことを話し始める。

ふふ・・ よく、今まで何も言わずに我慢したな、カオル。

「ねぇ、鋼牙・・・」

「なんだ」

「明日・・ね、夏祭り・・なんだけど・・・ 鋼牙、知ってる?」

「ああ、街で貼られているポスターを何回か見た」

「それでね、鋼牙、最近忙しそうだから言おうかどうしようか迷ったんだけど・・・
 明日、もしも、もしもだよ?
 夕方になって、行けそうだったらでいいから、そのね・・」

「ああ、わかってる。
 去年行けなかったからな、あの時の約束通り、もし何も無かったら一緒に行こう」

「ほんと?」

「ああ、ただし、いつも言ってるように何も無かったら、だからな?」

「うん、わかってる、よ~くわかってるよ。
 う・・わぁあ~~ ゴンザさ~ん、よかった~ 鋼牙、空いてたら明日行ってくれるって~」

「それはそれは、ようございましたね、カオル様」

「うん、今年こそは浴衣着て、鋼牙と一緒にゴンザさんの焼きそば、食べにいくからね」

「はい、お待ちしておりますよ、カオル様」

カオルは、自分のと俺の、二つの飲み終わったカップを持って、テーブルを拭き終わったゴンザと一緒に、楽しそうに明日のはなしをしながらキッチンに行ってしまった。

『ゴンザのやつ、なかなかの役者だな~』

「ふっ・・ そうだな」

『準備といい、おとぼけといい、さすが、年季の入った冴島家の執事なだけのことはあるぜ。
 おい、こうなったら明日になって、やっぱり行けません、とは絶対に言えないぜ?』

「ああ」

『鋼牙、明日は早めに出て徹底的にやるぜ、いいな?』

「承知」


翌日、夏祭り当日の朝、いつもよりかなり早く屋敷を出る。

『くっくっく・・・』

屋敷からの下っていく道すがら、突然ザルバの笑い声が左手から聞こえてくる。

「なんだ、何が可笑しい」

『いや、今に始まったことじゃあないがな、
 ゴンザのやつ、ほんとうにカオルのことが可愛いみたいだな~ と思ってな』

「ふっ・・ そうだな、ありがたいほどにな」

『よ~し鋼牙、始めるぞ、まずは・・・』



昼をかなり過ぎ、もうほとんどお茶の時間という頃に、ザルバが見つけられる限りの全てを浄化し終え、屋敷に戻ってくる。

「おかえり~ 鋼牙、遅かったね」

ドアを開けると、すぐに奥からパタパタと足音をさせながらカオルが出てくる。

「ただいま」

「鋼牙、お昼は? ねえ、まだだよね?
 ゴンザさんがわたしでもできるようにって、ピザを用意してくれてるの。
 オーブンに入れて焼くだけだから、すぐにできるよ~」

そう言いながらニコニコと笑顔で出迎えてくれるのを見ていると、自然と顔が綻んでくる。

「ああ。
 カオルは? 先に食べたのか?」

「ううん、まだ。
 鋼牙、すごく朝早く出掛けたって、ゴンザさんが言ってたから、
 いくらなんでも夕方まで帰って来ないなんてことないだろうな~って思って」

「そうか・・・ だがカオル、べつに先に食べていてもよかったんだぞ」

「え~ だって~ 一人で食べるのも、なんだか嫌だったし~」

「わかった、一緒に食べよう」

「うん、すぐだからね」

『カオル~ 気をつけろよ~ 炭にするなよ~』

「もう、ザルバってば~ ちゃんとゴンザさんに焼き時間を聞いてるから大丈夫だよ」

そう言いながら、今度はキッチンの方へ駆けて行った。
俺は、コートを片付け、洗面に寄ってからキッチンに行ってみる。

「どうだ? カオル」

「ん~ もうちょっとかな? 
 あ、鋼牙、飲み物はオレンジジュースでいい?」

「ああ、それでいい」

「じゃあ、入れるね。
 あ、出来たみたい・・ よっこらしょっ と・・
 ん~~ いい匂~い うわっ あちちち」

「おいっ カオル、指を火傷しなかったか?」

「ごめん、ありがと鋼牙、大丈夫大丈夫、少し熱かっただけ。
 はい、できた! さ、鋼牙、食べよう!」

「ああ」

遅めの昼飯を一緒に食べ終わると、朝が早かった俺は、ソファーに座り深く凭れ目を閉じているうち、カオルの片づけを待っている間に、いつの間にか寝てしまったようだった。


「鋼牙、ねえ鋼牙・・」

「ん・・・ カオル?」

「ごめんね、気持ち良さそうに寝てるの起こしちゃって。
 でもね、そろそろ日が暮れてきたから、だから・・・」

「もう、そんな時間なのか・・」

『これはもう、今日は何も来ないな。
 カオル、さっさと浴衣に着替えてきたらどうだ~?』

「鋼牙・・」

「ああ、着替えてこい。
 俺も・・ いや、俺はここで待っているから」

「うん!
 ゴンザさんに教えてもらったけど、帯がちょっと大変なんだよね・・
 ね、鋼牙、少し時間かかるけど・」

「ここで待ってる」

「うん、着替えてくる!」

ドアを開けたまま、締めるのも忘れて自分の部屋へ走って行った。

『予想通りの反応だったな』

「ああ」

『今夜、俺様は留守番なんだろう?
 お前も浴衣に着替えてさっさと祭りにでもどこにでも行って来い』

「ああ、そうさせてもらう」

ザルバの言葉に苦笑しながら立ち上がると、自分も浴衣に着替えるため、ゴンザの部屋へと向かう。

カオル、俺も浴衣を着たのを見たら、お前はどんな反応をするんだろうな・・・


掃き出し窓の側に立ち、外の色が夕暮れから宵闇、やがて黒い闇色へと変わるのを眺めていると、パタパタという足音がだんだんと近づいてきて、カオルの声と一緒に勢いよくドアが開かれる。

「鋼牙~~ ごめんね~ やっと着れたよ~ 帯が・・」

『くっくっく・・・ 鋼牙、俺様はもういいぜ。
 カオルの浴衣も、驚いた顔も見れたからな』

「わかった」

「こ、こ、こ、鋼牙!? なんで~? え? ぇえ~~! 浴衣~~!」

テーブルの上の箱にザルバをしまい顔を上げると、すごく驚いた顔をしたカオルが戸口で立ったまま茫然としている。

「似合わないか? 気にいらないならいつもの格好に・」

「似合う! 似合ってる! 鋼牙、すごいステキ! かっこいい!」

「そうか?」

「うん!」

カオルのところに歩いて行く。 

「カオル、お前もよく似合ってる」

「ほんと?」

「ああ・・ さあ、行こうか」

「うん、今年こそゴンザさんのところに行かなくっちゃね」

「そうだな」


祭り会場への道すがら、手を繋いで歩いていると、カオルが何度も俺を見上げるばかりしてくる。

「カオル、下駄を履いているんだから、前を向いて歩かないと転ぶぞ?」

「だって・・ 鋼牙の浴衣姿見れるなんて思ってなかったんだもの。
 カッコ良くて見たくなっちゃうよ~」

「それは、ゴンザの選んだ浴衣がよかったんだろうな。
 ふっ・・ ここにゴンザがいたら、たぶんこの前の俺に言ったように言うだろうな」

「え、ゴンザさん、なんて言ってたの?」

「たしか、こう言っていたな。
『これは、しじら織と申しまして、生地に後からプリントをするのではなく、
 先に染め上げた糸で、縦糸と横糸との組み合わせによる張力差を利用して、
 織り上げた生地でございます。
 汗をかいても肌にはりつかず、さらりと肌触りが良く、
 軽くて、涼しくて快適でございますれば、なかなかの品でございます。
 帯は、笹波手組紐という角帯でございまして、奈良時代から続く、
 伊賀組紐の逸品でございますれば、V字型の矢羽根模様が特徴で、
 組み目が寄せ返す小波を思わせることからこの名がついたそうでございます。
 ちなみにこのお色は ”煤竹” と申しまして粋な色でございましょう?
 それと、鋼牙様は背が高くていらっしゃるので、桐の下駄でもよいのですが、
 雪駄の方を用意させて頂きました』
 こんな感じだったか・・・」

「ぷっ ぷぷっ 鋼牙、よく覚えてるね、っていうかゴンザさんの口調にそっくり。
 でも、さすがゴンザさんだよね。
 鋼牙にすごく似合うのを用意してあるな、って思うもの。
 白っぽい浴衣に、煤竹だっけ? ベージュの角帯がぴったり。
 雪駄もいいよね~」

「そうか・・
 カオルも紺色にピンクの百合の模様がよく似合ってる」

「ん・・ うれしい、ありがと」

「足元、気をつけろ」

「うん」


祭りの夜店をカオルとひやかしながら歩く。
俺は、正月にカオルと初詣に参った時、初めてこういうところへ行ったが、今夜はあの時とは比べることができないほどの多くの店が出ているし、人も多い。
だから、カオルとはぐれないよう、しっかりと手を繋いで歩く。

「鋼牙、ゴンザさんがやきそばしてるって言ってたの、あの辺みたいだよ。
 ほら、去年と同じ黄色のTシャツ着てるって言ってたから、どこかな・・・」

周りより少しだけ視点の高い俺は、ゴンザが屋台で働いているのをすぐに見つけられた。

「カオル、こっちだ」

人にぶつからないよう、繋いだ手を引きながら、見つけたゴンザの屋台の前までカオルの手を引いて行く。

「あ、ほんとだ、ゴンザさんだ。
 ゴンザさぁ~ん・・・」

繋いだ手を緩めてやると、カオルは鉄板の前で腕をふるっているゴンザの元に早足で近づいていく。
俺もゆっくりとカオルの後から近づいて行くと、首からタオルを掛け、真っ赤な顔をして焼きそばを混ぜていたゴンザが笑顔で声をかけてくる。

「これはカオル様、鋼牙様も、いらっしゃいませ。
 焼きそばをすぐにお包みしますのでしばらくお待ちください」

「は~い。
 ゴンザさん、いい匂い~ すごく美味しそうですね」

「美味しそう、ではなく、美味しいですよ」

「そうですね」

「ゴンザ・・」

「あ、鋼牙様、無事来れてよろしゅうございました。
 おお、浴衣の方もお二人ともバッチリでございますな。
 はい、どうぞ、これをお持ちください」

「ああ、すまない」

「あ、鋼牙様、カオル様・・」

「・・・?・・・」
「・・・?・・・」

「今夜は去年同様、打ち上げがありますので、戸締りをよろしくお願いいたします」

意味ありげな笑顔でそう言った後は、目の前の焼きそばに視線を戻してしまったゴンザのことばに、カオルと顔を見合わせて・・・

「他の店を見るか?」

「・・・うん」

「ほら・・・」

またカオルと手を繋いで、出店を見ながら一緒に歩いて行く。
楽しそうに笑いながら買ったり、遊んでいるカオルを見ていると、俺まで楽しい、という気になってくる。
屋敷への帰り道、途中から花火が始まり、公園にある長椅子にカオルと座り、見てから帰ることにする。

「うわぁ~ きれい~ ね、鋼牙、花火ってきれいだよね~
 今夜はいろいろ遊んだし、それに、すぐ食べたのとは別に、こんなに買っちゃった。
 リンゴ飴、さつまいもフライ、綿菓子、ヨーヨー、花火。
 ねえ鋼牙、花火見ながらゴンザさんにもらった焼きそば食べようよ」

「ああ」

「はい、おはしと、鋼牙の分。
 ゴンザさん、ありがとう、いただきま~す。

 あ、美味しい~ ちょっと冷めちゃってるけど、でも、美味しいよね?」

「そうだな」

食べ終わってもそのまま、二人並んで花火を見る。

「うわぁあ~ きれいだね~ 鋼牙、見た? 今の花火。
 パン っていった後、ピンクと黄色のがパチパチいいながら・・」

たしかに花火もキレイだが・・・

「・・・・・」

「・・・?・・・ 鋼・牙?」

並んで座った長椅子、カオルの後ろ、背もたれの上に手をまわして置いていた俺は・・・

「きゃっ」

その手でカオルの肩を抱き寄せると、どうしたの? という顔をして、俺の顔を見上げたカオルの顎に、もう一方の手を添え、花火の輝きが映るカオルの目を見ながら、そっと顔を寄せる。
舌を絡め、吸い上げ、何度も向きを変え、口づけあう。

「・・・はぁぁ・・・」

ゆっくりと顔を離すと、カオルの開いたままの口から、甘い吐息が吐きだされる。

「・・・カオル」

「う・・ん? なぁに? 鋼牙」

「お前、ソースの味がする」

「・・・・・・」

「しかも、間近で見たら・・・」

「・・・?・・・」

「唇に・・ 青のりがついてる」

「・・・え! ちょっと、鋼牙? なんで~? なんで今そんなこと言うのよ~」

「さあ、帰るぞ」

「え?」

さっさと立ち上がった俺に、むっとしていたカオルも慌てて立ち上がる。

「もう~ 鋼牙ってば、どうしてあんなことあんな時に言うのかな~~
 青のりついてる、だなんて、ムードぶちこわしなんだから・・・」

そう言いながら、横で口を拭おうとしているカオルの手を掴み、そのまま繋いで歩き始める。

「ちょっ、鋼牙・・」

「拭くな、そのままにしておけ」

「だって・・」

「後で俺がきれいにしてやるから・・」

「・・・え?」

「ゴンザが帰って来るのは明日の朝だ。
 カオル、戸締りがすんだら、俺がきれいにしてやる」

それきり恥ずかしそうに黙ってしまったカオルと、手を繋いだまま二人で屋敷への道を歩いて行く。

カオル、去年お前が言っていたとおりだった。
お前の浴衣姿、すごくかわいくて、びっくりした。
そして、そんなお前を見た今夜の俺は・・・

作文1 | コメント(11) | トラックバック(0) | 2012/09/08 00:00
コメント
今更の…(Part2)
まぁ、そんなにコメントを喜んでもらえるなんて…
今更遅いかな~と思って、遠慮しなくてよかったです!

それでですねぇ
ココで言うのもなんですが、「現場検証」やめにしませんか? (笑)

あっ、返信不要でいいです。
ダメモトで、ちょっと言ってみたかっただけですから…
褒めすぎですよん 
こんばんは、selfish様。
もう~~ 参った・・・
こんな風に言われるのって、滅多にないので、ダメ、顔が・・・
ふだんから、良い悪い関係なく、コメントって、もらえるのはとてもありがたいしうれしいことなんですけど、こ、今回のは、かなりうれしい!
まさに、チョ~イイネ! な気分にさせて頂きました。
ありがとうございました。



今更の…
すいません、今更コメントしてもいいですか?
以前アップされたときにすぐに読んでたんですけど、やっぱりコメントはきちんと書きたいなぁってそのときに書かなかったら、ずるずると今日になってしまいました。

では、改めまして…

オレンジジュースを飲む鋼牙  (かわい~い)
カオルの浴衣姿をほめる鋼牙 (いやん、こっちが照れるぅ)
キスがソースの味とか、青海苔がついてるとか言う鋼牙 (もう、意地悪なんだからぁ)

どうしてこう、なな様の鋼牙はカオルちゃんを(というか読者を)引きつけるんでしょうね?
強引なとこもあるけど優しくって、そうかと思ったらちょっと意地悪で。
カオルちゃんもかわいいんだ、これが。
いやぁ、またいいもの読ませていただきました。
ありがとうございました!

べに様、ども、です (*^_^*)
こんにちは。
そんなに喜んでもらえたとは・・・ 管理人、もうめっちゃ、うれしいです。
実は、最初書きかけてた方が、ゴンザとカオルと一緒に呉服屋さんに行って選んで、という流れのおはなしで、
書き直した方が今回の、内緒でゴンザが、というおはなしでした。
> そして終わりの方!俺がきれいにしてやるからって、どれだけカオルちゃんにキスするつもりなんですかw 
あっはっは (^◇^) そうですね~ 
でも、どれだけ? じゃなくてもすぐにきれいになるかも・・・ですよ?
さて、その方法とは?
どうぞ、べに様、存分にご想像くださいませ~
わーい!
なな様の浴衣話キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
お蔵入りなんておっしゃらずに、とつっついた甲斐がありました。眼福です。カオルに内緒で浴衣を着た鋼牙をみたカオル嬢の驚きといったらないでしょうね。某ライブでの中の人の浴衣姿、めちゃ似合ってましたものねえ。
そして終わりの方!俺がきれいにしてやるからって、どれだけカオルちゃんにキスするつもりなんですかw っていうか、きれいにするの唇だけじゃすまないのではないかと余計な心配をせざるを得ない私です。“そんなお前を見た今夜の俺は・・・”→狼の尻尾が生えてそうw
なな様、左腕、お大事になさってくださいね。それではノシ
Re: タイトルなし
hitori様、要らぬ心配をおかけしてすいません。
どんくさいもので、しくじってしまいました。
変な力の掛かり方をしたせいで、左肩がちょっと・・・
今、腕がね、ほとんど上がらないし、手先がず~っと痺れてまして。
パソコンする時は、それ以上上がらないので、椅子に座った膝の上に置いてる状態です。
たぶん1週間ぐらい大人しくしていれば元に戻るかな~? と、湿布をべたべた貼っています。
こうしてキーボードを打つのも右手だけなので、不便だし、もう、捗らないのなんの。
と、まあ、そ~ゆ~感じです。
それよりも、なによりも、後遺症?!
こっちより、hitori様のフライパン握れない方が大変じゃないですか。
はぁ~ ケガだけはほんとに気をつけたいですよね・・・ 
なんですとぉ@@!
お怪我でしょうか。もしかして腱鞘炎とか!?
一日も早く治りますように。
お大事にしてくださいね~~~。

それにしても手が使えないのって本当に不自由ですよね(>_<)

私も夏の怪我の後遺症で 未だにフライパンが握れません(T_T)
日常生活にはもう殆ど影響ないのですが 重みが加わると途端に疼痛が走ります。
なな様、しっかり治してくださいね!



かなまま様、こんばんは
およよ~?
もしかして、かなまま様も続編希望なのでしょうか。(苦笑)
あ、大阪は、管理人もなんとかして行きますよ~!
むふふ❤ チケットが無事ゲットできるといいなぁ~ (*^_^*)
ただ今、絶賛神頼み、ザルバ様頼み中の管理人なので~す。

ありゃりゃ? \(◎o◎)/
hitori様・・・
後から、誤字チェックしていた時になって、これってもしかしたら突っ込みを入れられるかも? と、気がついたといいますか、思いましたが・・・ 
やはり、入れられてしまいましたか。 (苦笑)
正直 「つづく」 の予定は、もともと無いんですけど? っていうか、なぁ~んにも考えてなかったんですよ。
う~んう~ん・・・ 他に希望も来てないし、予定は未定でわかりません、とだけ。
それにちょっとね、まずいことに当分の間、ちょっと左手が不自由? あまり使えそうにないのですよ、hitori様。
やんややんや♪
拍手喝采~♪

そうそう! こーゆーの。 こーゆーのをイメージしてました。
某ライブからの浴衣リクなら絶対コレだよね。
いったい どこでどー間違って ノーパンde後ろ回し蹴りになっちゃったんだか(爆)
あ~ ちゃんとしたのが読めて良かった♪ 良かった♪

なな様 脱字のお知らせです。

>お前の浴衣姿、すごくかわいくて、びっくりした。
そして、そんなお前を見た今夜の俺は・・・

の後に 「つづく」 が抜けていますよぉぉぉぉぉぉ←

大切な「つづく」を抜かしちゃダメですよぉぉぉぉぉ。
ゴンザさんは朝まで帰ってこないし
カオル嬢は唇に青ノリ(ちょっと間抜けで可愛い♪)
ザルバは既に 魔界でお寝んね。
はい、条件は整いました!

ではではm(__)m まだまだ暑さが残っております。
お身体をご自愛くださいね。

はて・・ 糖分多めでしたか?
ははは・・ 心太様、いつも通りのはずだったんですけど、甘かったでしょうか? 
ウチでは毎度お馴染み、カオルちゃん好きーなゴンザさんに、もともと刷り込みでゴンザさんに逆らいにくい&カオルちゃん好きーな鋼牙、状況判断(雰囲気を読む)がナイスなザルバ、の、冴島トリオでいい仕事をしてもらって、去年は行けなかったお祭りに今年は行ってもらいました。
あ、管理人的には男の人の浴衣、甚平は、基本、渋紺色系が好きですけど・・・ 
まあね、今回の鋼牙の浴衣姿は、あまりにも希望が多かったので、某♪ライブのイメージでほぼ合ってるような感じに仕上げてみました。 
あ、心太様のコメのおかげで、管理人はほんわか和みました。
ありがとうございます。 (*^_^*)


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