FC2ブログ


KOUGA studied with the magazine

Category: 作文1  

いつものように、ちょっとだけ未来の、何気ない、ある日の冴島家の午後・・・ です。
どうぞ・・・ いってらっしゃいませ。 (^^ゞ




 
   ・・・ KOUGA studied with the magazine ・・・
                                    <8.30.2012>

「あ、おかえりなさいませ、鋼牙様」

「ただいま。
 ・・・?・・・ ゴンザ、カオルは?」

「それが、午前中に予約を入れていた定期検診に行ったのですが、
 病院で偶然西辻様にお会いしまして。
 なんでも今日のお仕事は午前中終わり、つまりお昼までなのだそうでして、
 それを聞いたカオル様が、昼食をご一緒して、おはなしがしたい、とおっしゃられまして」

脱いだコートを渡しながらゴンザの言うことを聞いていたが、たぶん今頃カオルが楽しそうに話をしているだろう様子が頭に浮かんで、思わず口元が緩む。
つい最近まで悪阻の間中、体調が悪くて一日中家の中ばかりだったからな。
まあ、カオル一人で街をうろうろするわけでもなし、彼女といるなら大丈夫だろう。

「ふっ・・ そうか。
 それで、帰りは?」

「はい、西辻様が駅までご一緒して下さるそうで、
 電車に乗る前に、着く時間を連絡をしてくる、とおっしゃられておりました。
 ですので、連絡が来ましたら、私がすぐに迎えに行ってまいります」

「ああ、頼む」

「はい。
 では鋼牙様、昼食をすぐに用意致しますので、もうしばらくお待ちくださいませ」

「わかった」


洗面にいった後、リビングのソファーに座る。

『鋼牙、お前も今日は珍しく昼から空いていたのにな。
 カオルがいなくて残念だったな』

「別に、カオルとは毎日一緒なんだから、残念というほどのことでもないだろう。
 それに・・ ここ最近、悪阻の間は出歩ける状態でもなかったんだ。
 たまには気の合う女同士で話でもすれば気分転換になるだろう」

『それはそうかもしれないが・・・
 女同士の話は長いから、カオルのやつ、確実に夕方まで帰って来ないぜ。
 ふふ・・ なかなか上手くいかないもんだな~』

「そうだな」

「お待たせしました、鋼牙様、用意が出来ました」

「ああ、今行く」


ダイニングへ行くと、カオルの席のテーブル上に、赤ん坊の写真が載った雑誌が数冊置いてある。

「ゴンザ、これは?」

「ああ、その雑誌でございますか?
 妊娠、出産ともに知らない事だらけだからと、
 待合でお話をされた経産婦の方に教えてもらったお勧めの本と雑誌だそうで、
 勉強のためにと、カオル様がお求めになったものでございます」

「・・・・・・」

「よろしければ、鋼牙様もお時間がある時にお読みになってはいかがですか?
 私も見せて頂いたんですが、けっこういろいろなことが書かれておりましたよ。
 お医者様のアドバイスや、便利グッズの紹介、読者の方々の体験談など、
 詳しく載っていまして、なかなかのものでございます」

『鋼牙、ちょうど昼から空いてるじゃないか』

「そうだな・・ 俺も一応目を通しておくか」

「おや、お珍しいですな、鋼牙様、午後からお時間が空いたのでございますか?」

『そうだぜ、ゴンザ。
 カオルのために、って昼から空けたのに、肝心の本人に残念ながら振られたんだよな~』

「ザルバ、いい加減なことを言うな。
 べつに・・ 俺はわざわざ時間を作ったわけでも、振られたわけでもない。
 今日はたまたま昼から時間ができた、ただそれだけのことだ」

「はっはっは・・ そうですか、ではそういうことにしておきましょう」

「ゴンザ!」

『くっくっくっ・・』
「ははははは・・」

「・・・・・・」


昼飯を食べ終わると、テーブルの上にあった雑誌を持ってリビングに行き、ソファーに座ってページを捲り始める。
中には、実にいろいろな事が書かれている。
妊娠してから、出産するまでの1ヶ月ごとの身体の変化を、身体の中を縦切りにした断面図のような図解が載っていて、妊娠週で該当ページを見れば、現在の自分と胎児がどんな状態なのか一目でわかるようになっていて、その頃に気をつけることや、した方が良いことなども書き添えてある。
仕事柄、人混みの中を歩き回ることも多いから、大きなお腹をした妊婦を見かけることも多々あるが、それはただ視界に入っている、というだけで、あの膨らんだ腹の中に赤ん坊とはいえ人一人が入っていて、こんなふうになっているとは想像もつかなかった。

『ふ~ん そんなふうになっているのか・・ 絵とはいってもなかなかリアルだな~』

「そうだな」

カオルは・・ そろそろ4か月が終わって5カ月に入るころだと、言っていたな。
と、いうことは・・ 今、腹の中はこんな感じなのか。 
そう思いながら本の中の図に見入っていた俺に、ザルバがまた話しかけてくる。

『おい鋼牙、カオルは今、それぐらいなのか?』

「ああ、たぶん・・」

『で? 説明のところにはなんて書いてあるんだ?』

「そうだな・・
 妊娠中期、安定期に入る。
 胎児は人間らしい体になり、手足が少しずつ動き始める。
 頭の大きさはピンポン玉ぐらいで、そろそろ男か女かの区別がつくようになる。
 そう、書いてある」

『ほ~ 男か女かが、もうわかるのか・・
 鋼牙、お前は? 赤ん坊がどっちなのか早く知りたいか?』

「いや、カオルにも訊かれて答えたが、別に急いで知りたいとは思わない。
 いずれ産まれればわかることだし、男でも女でも、俺とカオルの子供には変わりはない。
 カオルも前の検診の時、医者に知りたいかどうか訊かれて、教えないでほしいと言ったらしい」

『ふ~ん』

「もっとも、ゴンザだけは大真面目な顔をして、
『産まれるのは絶対に男の子でございます!』 
 と、妊娠がわかった時から言い張っているようだがな」

『くっくっく・・ ゴンザらしいな』

「まあな。
 だが俺は、カオルも赤ん坊も二人とも元気で、無事に産まれてくれさえすれば、
 男だろうが女だろうがどっちでもいい、そう思ってる」

『たしかに・・
 まあ、カオルも最近はずいぶん顔色もよくなってきたみたいだし、
 もともと元気のいいやつなんだ、たぶん大丈夫だろうぜ』

「ああ、俺もそう思うし、願っている」


その後も、ゴンザが持ってきたお茶を飲みながら、普段見慣れない本にひと通り目を通して過ごす。
読み終わった後は、カオルが置いていた元の場所、ダイニングテーブルの上に本を戻しておく。

夕方、カオルからの連絡が来た後はゴンザが迎えに行き、カオルを連れて屋敷に戻ってきたのは、そろそろ宵闇も暗くなるような時間帯、今日はもう何も無いな、とザルバと話している時だった。

「ただいま~ 鋼牙」

「ああ、おかえり、カオル」

「ごめんね~ 帰りが遅くなっちゃって。
 でもね、鋼牙、今日は楽しかったんだよ~
 病院で偶然西辻さんと会ったんだけど、すっごい久しぶりだったから、
 病院近くの評判のお店でランチ食べて、マタニティーとベビーの服を見に行って、
 それで、喫茶店にも行ってね、季節のケーキセットを食べて・」

『おいおい、大騒ぎだな~ 
 要は楽しかったってことだろ? な? カ・オ・ル』

「もう! ザルバってば~
 そんなふうに言ったらひとことで終わっちゃうじゃないのよ~
 わたし、すっごくいろいろ、もう~ 話したいことが山ほどあるんだからね。
 ね、鋼牙、鋼牙は全部聞いてくれるよね?」

「聞くのはいいが、少し落ち着いたらどうだ?
 それに、まずは先に俺に言うことがあるんじゃないのか」

「あ、ごめん、そうだった。
 え~とね、定期検診は異常無し! 悪阻ももう大丈夫だって言われた。
 それで、今までの反動で食べ過ぎて急に太らないように気をつけなさいって・」

『ふ~ん で、言われてすぐ後で、思い切り食べたわけだ。
 な、カオル?』

「あ~ だって、今日はしょうがないんだもん、久しぶりに・」

「食べたものはもういい、カオル、それで?」

「えっとね、次は1ヶ月後に来てね、って言われた。
 あとは・・ もうすぐ5か月になるから腹帯をね・・」

「ああ、妊娠5ヶ月目に入った最初の戌の日に巻くってやつか」

「え? 鋼牙、なんで知ってるの?」

「いや、ちょっとな・・」

「カオル様、それでしたら、もう腹帯は用意してありますので、
 次の戌の日に巻くことに致しましょう」

「わ、さすがゴンザさんだ~
 でも、ゴンザさんが用意してくれたのって、グルグル巻きつける晒しのかな?
 あの、待合で二人目や三人目だっていう人に、サポーターっていうか、腹巻みたいな感じの?
 最近の簡単なのが案外いいですよ~ って教えてもらったんだけど・・」

「それでは、お店の売り場でカオル様のお好きなのを、買い求めることにいたしましょう。
 とりあえずは、安産祈願にお参りしましたおりに、
 祈願済みの印を押してもらったものをいただいておりますので、
 それでもよろしいですか?」

「はい」

『妊婦もいろいろと大変なんだな~ な、鋼牙』

「そうだな」


夕食の準備のため、ゴンザがキッチンに消えたあと、晩飯をはさんで風呂に入るまで、昼からの事を、順番にカオルが楽しそうに話すのを、聞いてやる。

カオルを先に風呂に入らせ、俺がその後入って出てきた頃には、たぶん久しぶりのことにはしゃぎすぎて疲れたんだろう、ソファーでうつらうつら、半分船を漕いだような状態になっていた。

「おい、カオル・・」

「あ、鋼牙、お風呂出たんだ」

「ああ。
 おい、もう上がろう。
 お前、ほとんど寝かけてるぞ」

「ふぅあ~い。
 やばっ ほんとすごく眠い、そろそろ限界な気がする~」

「・・・ほら」

手を差し出して、ソファーから起き上がるのを手伝ってやり、立った後も、そのまま手を繋いで、階段を上っていく。

「いいか、風邪をひくから、うたた寝はするなよ」

「うん、気をつける。
 さっきのは、鋼牙が出てくるのを待ってただけだからね、違うからね」

「ああ、わかった」

寝室に入ると、カオルはベッドに上がったまま、寝転ぼうともせずなぜか座り込んで、俺は端に腰かけて持って上がった水をいつものように飲む。
マットが揺れて、カオルが俺の背後に這い寄ってきたと思ったら、後ろから俺の腹に腕を廻すようにして抱きつき、背中に身体と顔を押し付けてくる。

「カオル?」

「あ、あのね、鋼牙・・」

「どうした?」

「今日の検診でね、お医者さんに言われたの」

「・・・?・・・」

「悪阻もどうにか治まったみたいだし、そろそろ5か月の安定期に入るから。
 ・・・だから・・・」

「・・・?・・・」

廻した腕に力を入れ直して、カオルが恥ずかしそうに小さな声で続きの言葉を話し出す。

「え~とね、旦那さんと仲良くしてもいいですよ、って」

「それは・・ 俺の我慢は終わってもいいってことか?」

「・・・うん」

「そうか」

カオルの腕を外し、ペットボトルの水を置くと、身体の向きを変えながらベッドの上に上がる。
と、恥ずかしそうにしているカオルと視線が合う。

「カオル・・」

目の前でペタンと座ったままのカオルの肩を引き寄せて、チュッと音をさせながらカオルの唇を啄ばむ。

「あ、でもね、鋼牙・・ そのね、あの~ 仲良くするにはね・」

「無理をしない、激しくしない、清潔にする、それと・・ きちんと着けるんだったな」

「え? 鋼牙、なんで・・・?」

俺を見上げながら、驚いた顔でそう言ったままのカオルの顔。
どうにも合点がいかないようだ。
ふふ・・ まあ、隠す事でもないが。

先に寝転んで、いつものカオルの定位置、俺の横にくるよう、手でトントンと指し示してやると、ハッと我に返ったカオルが、上掛けを持って引っ張りながら、俺の腕を枕に寄りそってくる。

「鋼牙・・」

「カオル、テーブルの上にマタニティの雑誌を置いていただろう?
 あれを読んだ。
 いろいろ、俺の知らないことがたくさんあって、勉強になった」

「え~ 全部? いつ読んだの?」

「今日の昼間だ。
 今日は、珍しく午後からずっと空いていて何もすることが無かったんでな。
 ゴンザにも読めって言われたし、だからひととおり全部、読んでみた」

「そっか~ それでなんだ・・・」

やっと納得したらしいカオルの方に身体を横向きにして、お腹に手をそっと這わせる。

「絵で見たが、カオルのお腹の中、あんなふうになってるのか。
 ここに・・ 小さいが一人入ってるんだな」

「うん、そうだよ。
 
 鋼牙・・」

「ん? なんだ?」

「仲良く・・・ しないで・・いいの?」

「そうだな、したいが・・・ 今夜はやめておこう。
 カオル、今日は疲れているだろう?
 無理をしない方がいい。
 だから・・・ 明日以降でいい、今夜はもう寝よう」

「・・・うん。
 おやすみ、鋼牙」

「ああ、おやすみ」

おやすみのキスをして、顔に落ちかかっていた髪を撫で払いながら、ゆっくりと額にもキスを落とす。

俺がカオルを抱いているのか、それともカオルが俺を抱いているのか・・・
お互いの、人肌の優しい体温に包まれて、どちらともなく優しい夢の中へと落ちていった。


 2012_09_01

Comments

おっはようございます! 

かなまま様、ありがとうございます。
ほんわか、とか、ほのぼの、とか・・ オリジナルに反しているのは重々承知なのですが、感じてもらえたなら、うれしいです。
なな  URL   2012-09-02 09:42  

むふふ ❤ 

奇遇ですね~ 心太様。
そのツボは、管理人の今回の萌えポイント、1/2のひとつでございます。 (笑)
そこはですね、書くとして、3パターン考えられるんですけど、管理人としては、ど~うしてもそういうふうにしたかった、という・・ へんなこだわりポイントでして。
なんだか、共感してくれる人がいて、思わずにんまり、むふふ❤ となりました。
あ~あ、管理人もやってほしいよなぁ~ (無理だけどね)

PS.あ・・ 浴衣はね、くれぐれも過度の期待は厳禁ですよん。
なな  URL   2012-09-02 09:35  

hitori様、どうもです 

こんばんは~ です。
妊娠関係のおはなしも、これでもう5個目となりました。
出産はまだ~? の催促も今しばし、と待って頂いているわけなんですが・・・
そうですか? 勉強になるような内容だと思います?
もしそうなら、うれしいです。

さて、浴衣・・・ hitori様のところの、羽織って戦ってる鋼牙、かっこいいですよ~
もう、頭にリアルに風景が浮かびますもん。
では、ご希望の浴衣鋼牙、(いつかは、謎の)近日UPの予定?! ということで・・・
失礼いたしまする。

なな  URL   2012-09-01 21:12  

こんばんは、心太様 

悪阻って、程度も、期間も本当に個人差があるんですよね・・・
ほぼ2ヶ月近くの間、キュウリばかり食べていた人や、半年近くもご飯の匂いがだめで、食パンばかり食べていた人、食べ物は全然平気なのに、なぜか旦那さんの体臭だけに反応して吐き気を覚える人。
当時は深刻なことだったはずなのに、今となっては、友達同士、ただの笑い話になっています。
え~っと・・ さすがに、勝手に鋼牙のシリーズが終わってホッとしたのと、やはりね、そうそう書くばかりもどうかな? なので、今回はノーマルでのお届けです。 (苦笑)
二人の久しぶりの仲良しタイム、たぶん、優しい時間になるんだろうな・・・ そんな気がするんですけど、どうですかね・・・?
なな  URL   2012-09-01 20:51  

 管理者にだけ表示を許可する


03  « 2019_04 »  05

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -

カウンター

カレンダー

03 | 2019/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

プロフィール

なな

Author:なな
GAROと彼の人をこよなく愛しつつ、のんびりまったりと想像妄想した作文をUPしています。

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

最新トラックバック




pagetop