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Momentary time

Category: 作文1  

鋼牙とカオル、時々、零。
よくある日常の、何気ない、取りとめのない、会話中心の軽いおはなしです。
それでもよろしければ、どうぞ束の間、遊んでいって下さいませ。



 
   ・・・ Momentary time ・・・
                               <6.15.2012>

「あ、カオルちゃん、そう言えばさ・・・」

「え、何かな? 零君」

「いや、もうだいぶ経つけどさ・・ 鋼牙の誕生日、何かあげたか、してあげたの?」

「え、鋼牙の誕生日?」

「うん、そうそう、誕生日。
 あいつってたしか・・ 3月、いや、2月だったっけ?」

「うん、2月だよ」

「で? 何かあげたの? それとも、してあげたの?」

「ん――・・  それがね、な~んにもあげてないし、特にしてあげてもないかな~?」

「え? マジで?」

「うん。
 それがね、2月に入ってからわたし、絵の仕事がめちゃくちゃ忙しかったんだよね。
 もうね、毎日髪なんかぼっさぼさで目の下は隈が出来ちゃって、さいって~な感じ?
 そんなわたしを鋼牙、ただ黙って見守っててくれてたんだけど・・・
 やっと仕事が一段落したのが、たしか誕生日の2日前だったかな~?
 疲れた顔したままでふらふらしながら、どうしよう、何あげよう、って
 わたしが焦って悩んでたのを鋼牙、自分の事だなんて思いもしないから・・・」

「あ~ あいつなら、自分の誕生日自体忘れてたりして?」

「さあ~ それはわからないけど、ただわたしが悩んでるのを心配して訊かれたの。
『おい、何を悩んでいるんだ?』 ってね」

「で? カオルちゃん、原因を言ったわけ?」

「う~ん・・ 言うつもりなかったんだけどね、隠すの無理、言わされちゃった」

「鋼牙の誕生日プレゼントが決まらないから悩んでる、って?」

「うん・・・
 ほんとは言いたくなかったのにね」

「鋼牙は? どう言ったの?」

「『何もしなくても誕生日は過ぎるし、歳はとる。
 だから、その日にゴンザがたぶん用意する飯を一緒に食べれればそれでいい。
 お前がいるだけでいい』」

「はは・・ 鋼牙らしいね。
 でも、それって結構ストレートな言葉だよね。
 逆に言われて嬉しかったでしょ? カオルちゃん」

「うん、そうなんだけどね・・・ 
 でも、やっぱり少しぐらい我儘言って欲しかったよね~
 わたしとしては」

「ふ~ん・・・ そうだったんだ・・・」

今日は、どうしても欲しい画材を仕入れに、ポートシティまで遠出して馴染みの画材屋さんに寄ったんだけど・・
前にもおんなじことがあったけど、すぐ近くにあるケーキ屋さんに行こうとしていた零君がお店の前を通っていて偶然遇って。
屋敷に帰る前にそのケーキ屋さんで一緒にお茶をしながら久しぶりに話しに花を咲かせていた。

「零君、最近あまり遊びに来ないね」

「う~ん、最近ちょっと忙しかったからなぁ~
 俺達ってさ、本来は管轄越えて勝手にうろうろするのってダメなんだよね」

「え~ そうだったの?」

「うん、そう。
 まあ、俺はあんまし気にしてないから、また手土産持って鋼牙ん家行くよ」

「うん、零君また来てね」

「オッケ~」


辺りが暗くなった頃、電車を乗り継いで駅に着いたら、連絡したゴンザさんの車が見当たらない。

・・・もしかして?

駅前の道の向こう側、正面の木の下に目を向けると、見慣れた白コートの鋼牙がいるのが目に入った。

鋼牙!

歩行者信号が青に変わると同時に道の向こうに駆けだす。

「鋼牙ぁ~」

「おかえり、カオル」

「ただいま、鋼牙。
 ねぇ、ゴンザさん、どうしたの? なんで、鋼牙が?」

「カオルの帰りが、朝聞いていたより遅くなったから、晩飯の準備と重なって手が離せないらしい。
 俺がソファーでうたた寝をしていたら、お前を迎えに行くよう頼まれた」

「え、そうなんだ・・ ごめんね、鋼牙」

「別に謝られるほどの事じゃない。
 ほら、その袋を貸せ、持ってやる」

「あ、ありがと」

大きくはないけど、けっこう重い荷物を渡して持ってもらうと、屋敷に向かって歩き始める。

「どうした?
 昼のお茶までには帰ると言っていたのに一向に帰って来ないから、ゴンザが心配していたぞ?」

「あ~ それがね、画材屋さんにいたら、お店の前を通った零君とばったり遇っちゃって。
 それで、零君が行く途中だったケーキ屋さんに一緒に行って、お茶しながらいろいろ?
 話しこんでたらこんなに遅くなっちゃったの。
 ごめんね、今度から遅くなる時にはちゃんと連絡するようにする」

「そうしろ。
 ゴンザが心配するからな」

「うん」
 
「・・・その・・・」

「なあに?」

「零とは何をそんなに話しこんでいたんだ?」

「え~とね・・ 最初はケーキの話かな?
 零君、いつものようにお店のケーキをずら~って注文してテーブル一杯並べて食べるんだよね~
 で、どれがどう美味しい、とかね。
 あとは、絵の仕事の話とか、ゴンザさんのこととか?
 もちろん、鋼牙のことも話しをしたよ~」

「俺の事?」

「うん。
 零君にね、鋼牙の誕生日に何をプレゼントしたの?って訊かれて。
 だから、鋼牙、特に何もしなくていい、って言ったことを教えてあげたんだけど・・・
 言っちゃいけなかったかな?」

「別に・・ それぐらいならいいだろ」

「だよね。
 でも、鋼牙、こんなに経ってもう一度訊くのも変だけど、何か欲しいもの無かったの?
 別に今言ってくれてもいいよ。
 ねえ、何かある? あったら言って?」

「別に特には・・・」

「そっか~ 無いんだ」

「・・・なら、今夜・・」

「・・・?・・・」

「今夜、カオルに何も予定が無いのなら・・・
 最近、お互い忙しかったからな。
 今夜久しぶりにゆっくりと一緒に過ごさないか?
 ただし、忙しいのならはっきりとそう言ってく・」

「大丈夫!
 今夜は何も無いから!」

「カオル・・・」

『よかったな~ 鋼牙。
 今夜は、のんびり、ゆっくり、まったり? いろいろとできそうだぞ~
 あ~んなことや、こ~んなことや・・』

「ザルバ!」

「ね、鋼牙、早く帰ろ?
 それで、晩ご飯食べてお風呂入って、久しぶりに話し、いっぱいしようよ」

「ああ、そうだな」

持っていた荷物を右手から左手に持ち替えて、空いた右手をカオルに差し出し手を繋ぐと、とりとめのない話をしながら家路を歩く。
時々、俺の顔を見上げるカオルの笑顔に、俺も少しは笑顔を返せているだろうか・・・

カオル、お前は気がついているんだろうか?
お前がこうしてずっと俺の傍にいてその優しい笑顔を向けてくれていることが、俺にとっての最高のプレゼント、毎日が誕生日のようなものなんだ、ということを。

「ねえ、ちょっと、鋼牙~ わたしの話聞いてる? っていうか、なに~?
 わたしの顔、何か付いてる? 変?」

「いや、なんでもない。
 カオル・・・」

「え?」

屋敷前の緩い坂、木々に囲まれた道で。
荷物を持った左手、ザルバを背後に廻し、繋いだ手で引き寄せて、不思議そうな顔をしたカオルに・・・
腰を屈め、顔を寄せると、ただ触れるだけのキスを落とす。

「・・・鋼牙?」

目の前の、よくわからない、といった表情のカオル。
そんなカオルに、姿勢を戻し手を引っ張りながら・・・

「さあ、晩飯を食べるぞ、カオル」

「うん・・」


 2012_06_16

Comments

りのん様、ありがとう 

たとえどんな小さな幸せでも、感じることさえできていれば、いつも笑顔になれるし、なんにでも優しくなれるし、そうしていればいつかはおっきな幸せに巡りあうことができるんじゃないかな・・・ 
なぁ~んて、ね。 (*^_^*)
そんな風に毎日を過ごしていきたいものです。
なな  URL   2012-06-22 02:28  

こちらこそ、はじめまして 

はじめまして、かなまま様、コメントメッセージありがとうございます。
こんなしがない作文サイトに遊びに来て頂いてありがとうございます。
ご希望については、たしかに承りました。
なるべく意に沿うようにしたいと思いますが、まだその場面までにはあといくつか書きたい場面がありまして、もうしばらく先になるかと思いますので、今しばらく待っていてくだされば、と思います。
それでは、よろしければ、またコメント、送ってくださいませ。
楽しみに待っていますので。

なな  URL   2012-06-19 13:54  

Re: やさしい気持ちに・・・ 

> 幸せって、自分で気づいてないだけで、ホントはとっても幸せなのかもしれない。

hannah様、そんな風に思ってもらえてうれしいです。
失くしてから気付くのではなくて、日々、少しづつ、優しい気持ちを持って過ごしたいものですね~

で、手始めに、今日はおあつらえむきに、「父の日」
ぜひぜひ、優し~くしてあげてくださいませ。 \(^o^)/

なな  URL   2012-06-17 14:08  

のんびり、ゆっくり、まったり?  

あ~んど、いちゃいちゃ、ですね。 
ははは・・ ザルバの言う通り、ありです、ありです。
(*^_^*)
日々、戦いにの中に身を置く鋼牙だからこそ、普通の人が気がつくことのない幸せが感じ取れるんだよね、と思ってしまうのは、私だけでしょうか・・・
hitori様、感想、ありがとうございます。
なな  URL   2012-06-16 18:40  

かる☆みん様、 こんにちは 

>日常の何気ない事にこそ幸せがあるんだよね~♪(*´艸`)ウフ

そうですよね~ ほんと、そう思います。
いつもコメントありがとうございます、かる☆みん様。 (^o^)丿
なな  URL   2012-06-16 13:30  

なんだかね・・・ 

普段生活していて、あの二人だったらどんな風に過ごすんだろう? よく、そう考えてしまいます。
映像化されている内容は、やはり非日常的、っていうか、時間の制約上、事件が起こる事の方が多いわけですが・・・
でも、そこはそれ、鋼牙もやはり普段は当たり前の生活を送っている部分も絶対にあるわけで?
とまあ、そういう感じで、「よくあるありふれた日常の二人」のおはなしが、ついつい頭の中を過るので、ついつい今回みたいにカキカキされるわけです。 
(*^_^*)
いつも当たり前と思ってる普段の生活の中に、どれだけの数のかけがえのない幸せな出来事が隠されているのか・・ 
失ってから気付くのではなくて、今、ひとつでも多く気付ければ、みんなお互いにもっともっと優しくなれるんでしょうね。
一二三さん、私はなんだか、そんな気がします。
なな  URL   2012-06-16 13:24  

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