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After 'that'

酔い潰れたカオルと、そのカオルを迎えに来た鋼牙、2人に遭遇した人達の、ちょこっと? の、おまけ話です。
ほんと、おまけ、ですよ、おまけ。


   ・・・ After ’that’ ・・・


     ★ Episode.1 ★ 高木君 ★                
                                  <4.5.2012>

亜佐美が言っていた、長身の、 ”すっごいお金持ちで、信じられないくらい超イケメンの彼氏” に抱えられて帰って行ったカオルちゃんを、カウンターから放心したまま見つめていた僕の背中から、話しかけるマスターの声がした。

「高木君、残念だったね」

「え?・・」

「高木君、学生の頃からカオルちゃんのこと、好きだったんでしょ?」

「・・・・・・うん、そう・・・だね・・・
 あの頃も、今も・・・ たぶん、ずっとね・・・
 でもさ、マスター カオルちゃんはそういうこと、全然疎くて・・・」

「なんでもっと早くに告白しなかったんだい?
 俺はね、高木君は卒業する時?
 てっきりカオルちゃんに告白するもんだとばかり思ってたんだよ」

「そうだね、もしかしたらあの頃、そうすれば良かったのかもしれない。
 でもカオルちゃん、僕が告白するかどうか迷ってた頃、
 あれって、卒業制作をしてる時だったんだけど、僕に言ったんだ。

『わたしね、絶対、絶対に画家になりたいんだ。
 お父さん以上の画家になって、う~んと有名になりたいの。
 だからね、これから卒業したらその夢に向かって死に物狂いで頑張るんだ~』

 なんかさ、一生懸命な顔してそんなこと言われたら・・・
 僕、結局何も言えないまま卒業しちゃって。
 だから、今回教授のパーティーでカオルちゃんに会えるって思ったら・・

 でもさ、カオルちゃん、いい子だもん、いつまでも一人でいるわけないか。
 こればかりはしょうがないよな」

「高木君・・・」

「マスター ウイスキーくれる?」

「・・・・・・はい、どうぞ。
 時間は人を大人にするんだね。
 それにしても、亜佐美ちゃんが言ってた以上に、すっごいイケメン君だったね、
 カオルちゃんの彼氏」

「ほんと、男の僕でもドキッとした」

「まあ、でもカオルちゃんは顔で選んだんじゃないと思うけどね」

「そっかな・・・」

「高木君、いずれ現れるよ」

「え? 何が?」

「高木君と赤い糸で繋がっている相手さ。
 まだ生まれてないほど年下でさえなけりゃ、
 もう、この世のどこかで君との出会いを待ってるはず。
 だから、あまりガックリせずに前向きにね。
 さ、今夜は飲んで」

「マスター 今夜の払い、俺なんだけど?」

「どうもありがとうございます」

「・・・ぷっ はははは・・・」

「ふふふ・・・ おかわりは?」

「もちろん、もらいます。
 はい・・・」


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     ★ Episode.2 ★ 亜佐美 ★                 
                                  <4.5.2012>

「亜佐美~ カオルちゃん、帰ったか?
 亜佐美?  おい、亜佐美・・・」

「遭っちゃった・・・」

「亜佐美?
 おい、遭っちゃった、って? 誰とさ?」

「わかんない、名前がわかんない」

「わかんないって、そんなの・・・」

「カオルを迎えに来たカオルの彼氏の友達だと思うんだけど・・・
 全身黒ずくめで・・ 長身で・・ イケメンさんで・・・
 でも、スルってかわされちゃった。
 名前も訊けなかったし・・・
 たぶん、私は相手にしてもらえないんだろうな~」

「亜佐美?」

「はぁ― 望み薄の人なんて気にしたってしょうがないか。
 ね、高木君、飲も!
 私、早く帰っちゃったカオルの分まで今夜はしっかり飲むわよ~!
 ねえ、マスター このお店で高くて美味しいお酒をちょうだい!」

「亜佐美~~」

「もう、高木君、小金持ちなんだからケチケチしないの!
 じゃ、ゴチになりま~す!」

ん~~ それにしても・・・
カオルってば、なんであんなイケメンばっかに囲まれてるのかな~~
はぁ~ そんなこと考えても仕方がないか。

カオル、あんた、幸せになんなさいよ・・・

「マスター、おかわり!」 


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     ★ Episode.3 ★ 零 ★                 
                                  <4.3.2012>

『ゼロ、今夜は何を食べるつもりなの?』

「そうだなぁ~ 何食べよっかなぁ~~」

今夜は、指令書も来なかったしな~ 何食べて帰ろう・・・
お洒落なお店もいいけど、たまには定食屋さんみたいなお店で焼き魚におイモの煮っ転がしなんかもいいよなぁ~
そんなことを考えながら大きい道に出て歩道を歩いていると、向こうから見慣れない感じの白っぽい車がこっちに向かってゆっくりと徐行してくるのが見えた。

え! うっわぁ~ あれって、トヨタ2000GTじゃん、かっけぇ~
う~ん、車は超カッコいいけどさ、降りてきたら案外似あわないような奴が乗ってたりしてね。
さぁ~て、どんな奴が乗ってるんだろうな~ って・・・
え~ うそ! あれって、鋼牙じゃんよ~
おいおい、ちょっと・・・ 
マジ? っていうよりも、おっどろいた~
鋼牙って免許持ってたんだ。

「あっれ~ 鋼牙じゃん。
 こんな時間に、こんなところで、しかも車なんかに乗っちゃって・・
 いったいまたどうしたのさ?」

ほんと、どしたのさ、鋼牙。
ん? なんか、気のせい? お前・・ 慌ててねぇ?

「零・・・
 カオルが酔い潰れて寝ているという連絡が来た。
 だから、迎えに来たんだ」

「カオルちゃんが~?  それって、大変じゃんよ」

おいおい、それでかよ~
でも、まだ宵の口だぜ?
それなのに、酔い潰れて寝てる~?
鋼牙、家からここまで迎えに来たわけだろ?
カオルちゃんてば、いったい何時からどんくらい飲んだんだよ~

「すまん、とりあえずそこの店らしいんで、迎えに行って来る」

おいおいおい、なんか、俺、ちょ~気になるんですけど・・・

「俺も行こうか?」

「いや、いい」

鋼牙~ 即答かよ。
ま、そう言うとは思ってたけどさ。

「あ、そ。
 んじゃ、行ってらっしゃい」

しょうがね~な~ でもま、ここにいればすぐに戻って来るよな。

『ゼロ? まさかここで待ってるつもり?』

「ん~~ だってさ、カオルちゃんのこと、気になるじゃん。
 ま、そんなに時間かからないと思うし、それに・・・」

『それに? なんなの?』

「あいつ、顔はあんなでもけっこう慌ててるみたいだ。
 車の鍵も掛けずに行っちゃった。
 シルヴァにはわかんないかもしんないけど、この車・・・ 
 今じゃ幻の名車なんだ。
 周りに変な奴らが車目当てに集まってきてるみたいだし。
 車番のためにもさ、もう少し俺がここにいた方がいいみたいだ」

『そう、それならしかたないわね』

俺は、いつでも鋼牙がカオルちゃんを連れて戻ってきてもいいように助手席の背もたれを倒すと、ドアのところに凭れてしばらくの間、遠巻きに見てる連中が寄って来ないような雰囲気を漂わせて、鋼牙の入って行った店のドアを見つめて待っていた。

10分ぐらい経った頃。

お? 鋼牙、出てきた。
あ~あ、カオルちゃん、ほんとに酔い潰れちゃってるよ。
さてと・・・

「白いコートの王子様、酔い潰れたピンク姫をどうぞ」

カオルちゃんを座らせられるように、車の助手席のドアを開けてやる。

「零、すまない」

鋼牙? 
カオルちゃんが酔い潰れたからってわけじゃあないと思うけど・・・
お前、なんか雰囲気おかしくないかぁ?

鋼牙は、カオルちゃんを座席に座らせてシートベルトを締めたら、自分のコートを脱いで掛け、起こさないようドアを静かにそっと閉めた。

「冴島さん、これ・・」

鋼牙の後ろから一緒に店から出てきた彼女。
鋼牙がカオルちゃんを車に載せてる間、二人の様子を見ながら、それでも気になるのかな? 時々俺のことをチラ見していたみたいだったけど。
カオルちゃんのらしいバッグを鋼牙に渡すと、礼を言われた後も、そのまま車の横に立っている。

鋼牙のやつ、たしかにもともと愛想がいいというタイプじゃあないけど。
う~ん、挨拶とかはなんかちゃんとやってるんだけど、妙に余裕が無いっていうか、よそよそしいっていうか・・・
運転席に廻って乗りこむと、さっさとエンジンを掛けちゃって・・・
こりゃ、カオルちゃん絡みでなんかあったのか? っていう気がするなぁ~

「おい鋼牙、何があったか知らね~けどさ、お前、目が据わってるぜ、冷静にな~」

少しの間、暖気運転をやってる車の運転席側に廻って、叩いたらガラスを下げた窓から覗きこんで、ウインクしながらちょっと鎌掛けて言ってみたんだけど。

「そんなことわかってる、じゃあな」

なんだよ、その返事。
おい、やっぱビンゴかよ、鋼牙。

「おやすみ~~」

ほんと、目が据わってるぜ、あいつ。
あ~あ、大丈夫かな、カオルちゃん。
ま、鋼牙、カオルちゃんにだけは弱いからな、たぶん大丈夫か・・・
う~ん、何があったのか、めっちゃ気になるところだけど。
ま、いっか・・・ それはまたおいおい聞くことにして。
さぁ~て、どっかで晩ご飯食べて帰るとするか。


「あの・・・」

あれ、そういや、まだ居たんだ、この人。

「はい? なんですか?」

「冴島さんの・・ お友達なんですか?」

「友達? ま、そんな感じかな~ それが何か?」

「あの、この後どうされるんですか?」

う~ん・・ なんかカオルちゃんの知りあいみたいだけど・・・
この人、けっこう肉食系の夜遊びタイプみたいだよな~
こういうタイプ、捕まっちゃうと、あとあと厄介そうだし・・
こりゃ、早々に煙にまいて退散あるのみ! だな。

「さあ・・・ どうするんでしょうね~」

「よかったら、この後・」

「あ! 俺ね、人見知りがめっちゃ激しいんですよ。
 だから、初対面の人と遊びにとか、食事には行かないんです。
 ということで、御誘いは遠慮しときます。
 じゃ、これで・・・ 
 バイバイ」

神妙な顔してそれだけ言うと、最初行こうとしていた方に向き直ってさっさと歩き始めた。

『今の女の、ゼロを見ていた目!
 鋼牙の女もあまり好きではないけど、今の女はもっと全然好かないわね』

「シルヴァ、そんなこと言わないの。
 彼女、どうもカオルちゃんのお友達みたいなんだからさ」

『ふん! まあいいわ、どうせゼロが相手するはずないんだし』

「はいはい、たぶんそのご期待には100%添えると思うよ。
 もう会うことも無いはずだし、それに、俺の好みのタイプじゃないしね。
 さ~て、寄り道しちゃったけど、ほんとに何食べよっかな~
 あ~ 腹減った」

俺は、そう言いながらネオンが目立ってきた道を晩ご飯をどこにするか考えながら、歩き続けた。


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     ★ Episode.4 ★ カオル ★                 
                                  <4.6.2012>

「ねえ、亜佐美、わたし・・・ どうやって帰ったの?」

「え? カオル・・ 何も聞いてないの?」

「聞いてない、っていうか・・ 鋼牙、なんにも教えてくれなくて。
 だから亜佐美に訊いてるの。
 ねえ、教えてよ」

「う~~ん、どうしようっかなぁ~~」

「亜~佐~美~~」

「ねえ、カオル・・・
 カオルの彼氏の友達で、おんなじくらい背が高くて・・・
 黒い服着たイケメンの人、知ってる?」

「零君のこと?」

「ふ~ん、”零” って名前なんだ~ 彼・・・」

「亜佐美、なんで零君知ってるの? っていうか・・・
 もしかして、あの夜、零君に会ったの? 
 ねえ、亜佐美~!」

「カオル、あんた無事に家に帰ってたでしょ?」

「え~ そりゃ、帰るには帰ってたけど・・・
 でも、いくら鋼牙に訊いてもどうしてあ~なったのか、
 ほんとに 『さあな』 ばっかりで・・・
 なぁ~んにも教えてくれないんだもん」

「だったら、それはそれでいいんじゃない?
 彼氏も何も言いたくないから言わないんでしょ~
 ね、カオル。

 ふ~~ん、そっかぁ~ 彼、”零” っていうの・・・」

「亜佐美・・・」

もう、もう、も~う~~
なんで亜佐美が零君知ってるのよ~
まさか? 零君がわたしを連れて帰ってくれたって言うの~?
でもあのお店でわたし、潰れたはずで・・ お店はずっと貸し切りだったし・・・
いくら東の管轄だからって、零君が? 
やっぱりそれは無いよね、無い無い。
う~ん・・・ ってことは、やっぱり鋼牙よね。
でも、鋼牙が連れて帰ってくれてたとしても・・・ 
なんで? なんで、わたし、朝、あんなことなってたのに全然記憶がないんだろう?
鋼牙はやっぱり鋼牙だもん、意識が無いわたしに勝手にあんなこと絶対にするわけないし!

『そんなに思い出したいなら、思い出させてやらないでもないが・・ 
 どうする? カオル?』

頭抱えてたわたしに言った意味深の鋼牙あのことば。
ま、さ、か・・・
わたしが何か鋼牙にしでかしたとか?
ぅえ――・・・
気になる、気になる、気になる~~!
も~う~ なんで鋼牙も亜佐美も、何も教えてくれないのよ~~
もう、やだ――!


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     ★ Episode.5 ★ 鋼牙 ★                 
                                  <4.6.2012>

「そんなに思い出したいなら、思い出させてやらないでもないが・・ 
 どうする? カオル?」

どうやって家に帰って来て、朝起きたらああなっていたのか。
しつこく訊くカオルに昨日の夜、そう言ってやったら、赤い顔して黙ってしまった。
たぶん、もう訊いてはこないと思うが・・・

『鋼牙、お前が何を考えているか当ててやろうか?』

「・・・?・・・」

『 ”教えてくれ”  カオルがそう言って来るのも悪くない。
 そう、考えてるんだろ?』

「いや・・・
 ザルバ、なんでそう思う?」

『なんとなくな・・・  ま、俺様の、勘だ』

「じゃ、はずれだ」

『ふふ・・ まあいい、そういうことにしておいてやるよ』

ふん、図星だな。
お前がカオルにああ言った時、カオルは俯いていたから気がつかなかったろうが・・・
鋼牙、俺様には、なんだか悪い気がしないような顔して言ってるように見えたぜ。


作文1 | コメント(2) | トラックバック(0) | 2012/04/07 00:00
コメント
一二三さん、嬉しい~
おまけ話なのに、新鮮、と言っていただいて、うっれしぃ~です。
こういうショート話は、実はけっこうな数が没箱の中に捨てられてるんですけど・・・
ま、そんなことはさて置いて。
そ、ですね、同意見、私もカオルは真実を知らない方がいいと思います。 (苦笑)
りのん様、こんにちは
今回、ほんと、きれいなほど反応が無くて、う~ん、そうだよね・・・ って暗くなっていたので、そう言ってもらって、うれしかった、というか、正直ホッとしました。
ほんと、ありがとうです (*^_^*)

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