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It is invited to KOUGA and LIVE ~鋼牙LIVEに招かれる~

2012.04.21(00:00)

「DVD鑑賞をした時にナレーションをしていたRYOSEIさんと
 二人が出会ったらどんな話になるんでしょう?
 きっと鋼牙とは顔もそっくりだろうし(笑)」


1周年記念の募集リクエスト、管理人No.8です。
MAKAISENKIで2人が観劇していた 「化粧」 を見た時、私も一瞬、RYOSEIさん(ごめんなさい~ なんて安易なネーミング?!)のLIVEか舞台に2人を行かせてみたいなぁ~ と、頭の隅をチラッと過ることは過ったんですけど・・・
でも、いくらなんでもそこまで書くのはな・・ やりすぎだよな・・ と、考えなかったことにしていた、んですが。
う~ん、まさかまさか、リクエストで来るとは夢にも思いませんでした。 
ほんと、名前と声だけのちょこっと出のRYOSEIさんの存在を、よくも覚えていてくれたなぁ~ と、感心しきりです。
今回は、正直なところ、番外編のおはなしです。
ほんの少しでも楽しんでもらえればいいんですけど。

DVD観賞した時のおはなしはこちら → 「二人で観賞ナイト」

<おまけ> 上山竜司さんのブログ、2011年9月14日に、面白い記事が載ってます。


   ・・・It is invited to KOUGA  and LIVE・・・
                                  <4.14.2012>

それは・・・ 
突然で、偶然の出会い。

初めて出会ったのは、東の管轄にいた頃。
一緒に暮してはいたが、まだ、カオルと付き合う以前の頃のこと。


指令書が来て、とても狡猾なホラーに、幾晩か探索し、ようやく見つけ出して。 
今朝がたようやく倒すことができた。

『なかなか手のかかる奴だったな』

「ああ」

『おい鋼牙、もしかしたら、あのカオルのやつ・・
 お前が帰って来ないのを今頃心配してるんじゃあないか?』

「そう、だろうか・・ いや、そんなことはないだろう」

『そうか? ・・・おい、この先に誰か人がいるぜ』

「こんな時間にか?
 まだやっと夜が明け始めたばかりだし、それにここは・・」

『ああ、近くに民家など見あたらないような海辺の公園。
 それもかなり奥まったあたりだ』

たしかに、ここは住宅街からはけっこう離れたところにある、港近くの海にも面している大きな公園だ。
いったいどんな人間が今頃、こんなところに?

普通ならこういう場合、一般の人間と距離を置くはずの魔戒騎士は、なるべく接触を避け迂回して、その場を立ち去るのが定石で、俺ももちろん今までそうしてきたし、この時もまたそうするべきだった。
だが、何故だろう・・・
今になって思い出してもよくわからないが、俺は、公園内に通っている道をそのまま歩き続けた。

『おい、鋼牙、このまま行くと・・』

「わかってる。
 大丈夫だ、ただ歩いて通り過ぎるだけだ」

大きな木々が植えられた中を通っている曲がりくねった散歩道を歩いて行くと、白み始めたばかりの朝の光の中、道の脇に置かれた大きめのベンチに、一人の若い男がゆったりと凭れて座っているのが見えた。
さらに歩いて近付いていくと、その男は、だんだんと明るさを増していく朝日に向かって目を細めながら、のんびりとしているように見てとれた。

たしかに珍しいが、日の出前から散歩でもしていただけか・・・

俺は、そう判断して、視線を合わさずそのまま前を通り過ぎようとした。

「おはようございます」

声を掛けられ、反射的に思わず足を止めた。
ゆっくりと視線を声のした方に移すと、人懐っこい笑顔で更に話しかけられた。

「あの~ よかったらちょっとだけでも座っていきませんか? 
 ここ、朝日が気持ちいいですよ~」

どうしてそのまま、その男の言う通りベンチに座ったりなんかしたんだろう?
迂回せずそのまま通ったことでさえ普段ならしないはずなのに、声を掛けられ、まさか言われたとおり横に座るなど。

「あ~ 夜明けっていうか、日の出って気持ちいいですよね?
 空気は澄んでるし、周りがゆっくりと明るくなっていって、
 全てのモノが目覚め始める、って感じ。
 これから今日一日、自分も頑張ろう!
 なんだかそんな風に思えてきますよね?」

夜明けが気持ちいい?
俺は・・・ 
ここ何日か手こずったホラーを夜通しかけてやっと倒したばかりで、けっこう疲れていて。
もう夜明けだし、できれば早く家に戻り、朝食を食べて、その後はすぐに今日の浄化の仕事にも向かわないといけないんだが・・・

「・・・・・」

言われたことに返事もせず、頭の中でそんなことをただ考えていると・・

「あ、すいません、勝手に喋っちゃって。
 あの~ あなたも散歩ですか?」

のほほんとした感じで、続けてそう問いかけられて、反射的にひとこと、返事を返していた。

「いや、違います」

「あれ? 違うんですか? 俺、てっきりそうだとばかり。
 それなら、あの、急いでいたかもしれないのに、
 俺、無理矢理呼びとめたりしてすいませんでした」

「いや、別にそこまでひどく急いでいるわけでは・・」

さっさと立ち去ればいいものを。
なぜ俺は、ここに座ってこの男と会話とも言えないような会話を続けているんだろう。
少し俯き、膝の上に置いた手を見つめながら、そんなことを考えている俺の目の前に、突然小さな菓子の袋のようなモノが差しだされた。

「時間がまだいいのなら食べませんか? 
 意外に美味いんですよ、これ。
 身体にもいいし、よかったら、どうぞ~ 俺のイチオシです」

俺は顔を上げ、マイペースでそう話しかけてきた男を、その時やっとじっくり、見てみた。
髪はけっこう長めで、だからといって伸びっ放しという訳でもなく、きちんと手入れされている。
顔は、10人いれば、たぶん上位に位置することだろう。
同性の男の俺の目から見ても、世間でよく言う、カッコイイ、というようにも見てとれるし、端正な、とか、綺麗な、と言うことばが過言ではない、そんな感じの整った端正な顔立ちをしている。
服装は、モノトーンな無地の服に、穿き慣れた感じのスリムなジーンズを嫌みなく、さらりと着こなしている。
座った目線の高さがほぼ同じということは、たぶん背格好も俺とあまり変わらないはず。
年齢も、もしかしたら俺と同じくらいだろうか?
そんな大の大人の男が、本当に無邪気な人懐っこい笑顔で、俺の目の前に袋を差し出している。

「どうぞ、ほんと少しだけでも味見してみませんか?」

「・・・・・」

その、小さな子供のように無邪気な笑顔につられて、差し出された袋に手を差し込み、つまんだ指の先には・・・

「小魚の干物っていうか、なんていうか~
 少し味が付いてて、素朴な味が美味いんです。
 さあ、どうぞ」

「・・・・・」

煮干し? というより、以前ゴンザが見せてくれたイリコのようなものか?
まあ、小魚には違いなさそうだが。

少し首をかしげて・・ 食べた後の俺がどんな反応をするのか、楽しみで楽しみでたまらない、そんなわくわくした目の無邪気な顔に見られながら、俺は口の中に小魚を頬り込み、噛んで味わってみる。

「どうですか?」

ふだんは菓子のようなたぐいのモノはほとんど口にしないし、こういうものも今までほとんど食べた記憶のない俺だが、噛んでいると、たしかに言われた通り、小魚の素朴な味わいが口に広がり、それが不思議と自然に味覚に馴染んで・・・

「美味い、ですね」

「そうでしょう? けっこうイケルでしょう? 
 俺って、こういうのが好きなんですよ。
 人には、見た目に似合わないなぁ~ とかよく言われるんですけどね。
 外見に似合うとかどうとか、そんなこと関係ないですよね。
 美味いもんは、美味いんですよ~」

「ふっ・・ そうですね」

小魚の袋を握りしめながら力説するその様子がなんだか可笑しくて、たぶん、疲れて覇気のない顔をしているはずの自分の顔が思わず緩むのを感じる。

「あ、すいません、勝手に呼びとめた上に喋るばかりして。
 俺って、いつもこんな感じだから、仕事の仲間なんかにもよく、
 見た目と中身のギャップが~ とか、
 仲の言い友達には、お前ってバカだよな、ってよく言われてしまうんですよ。
 あ、もうちょっと食べません?」

「いただきます。
 それにしてもなぜ、こんな時間にここへ?」

「あ―― ははは・・ そうですよね~ やっぱり変ですよね~
 こんなところに、こんな大きな男が一人でいるなんて。
 俺、役者っていうか、俳優っていうか、う~ん・・
 他にもたまに? 歌とかも歌ったりするんですけど、
 そんな感じの仕事してるんです。
 この街もお芝居の舞台公演で来てるんですけど、
 今日はたまたまお休みの日で。
 実は俺・・ 趣味が散歩なんです。
 周りを見ながら、のんびりとただ歩くのがすごく好きで。
 でも、なかなかそういうの、わかってくれる人、いなくて。
 今朝は、なぜか夜明け前に、それもかなり前に目が覚めちゃって、
 泊まってたところから海の方に向かって、ふらふら~っとね。
 それで、ここに座って、ぼんやりしてたんです。
 はは・・ やっぱ、ばかですよね、俺」

「いや、そんなことは・・」

「俺、朝飯を食べ損ねちゃうと困るんで、そろそろ戻ります。
 すいませんでした、無理やり足止めして勝手に喋りまくっちゃって。
 それじゃ」

「・・・・・」

それだけいうと立ち上がり、小魚の袋を尻ポケットに突っ込みながら笑顔で会釈して、歩き去って行った。

『裏表の無さそうな、人畜無害な感じの男だったな』

「ザルバ、少しはことばを選べ。
 それを言うなら、子供のような感じの素直な男、だろう?」

『ま、そうとも言うか』

「よし、俺もさっさと帰って、朝飯を食べるとするか。
 さっきの小魚を食べたせいか、なんだか急に腹が減ってきた」

『やれやれ・・』

役者、もしくは俳優、時々、歌手、か。
仕事の上のこととはいえ、自分以外の人間になる、それはいったいどういう感覚なんだろう?
知らない多くの人の前で歌を歌う、それはどんな気持ちなんだろう?
椅子から立ち上がると、らしくもないそんなことを考えながら、俺は、家族とも呼ぶべき大事な存在の待つ家へと、早足で歩き始めた。



そして、北の管轄・・・
やはり、突然で、偶然の再会。


いつもの朝の浄化の仕事を終え、家に戻るため公園の中を通り抜けようと歩いていた俺は、行き手の先の横にあるジャングル・ジム、その一番上に座り、手に持った本のようなモノを読んでいる一人の若い男を見つけた。

ん? あの男・・・

『鋼牙、どうした?』

歩く速さが少し落ちた俺に、左手に嵌まる相棒が問いかけてくる。

「いや、あのジャングル・ジムの上に座っている男なんだが・・」

『放っておけ、この世の中、時々変な奴もいる』

「ああ、それはそうなんだが・・」

あの横顔、たしか、どこかで・・・
 
『・・・?・・・ 鋼牙?』

「・・・・・」

ザルバの言う通り気のせいだったか、そう思いなおして再び元の調子で歩き始めかけたその時。

「あ――っ!」

頭上から、大きい叫び声が。
声のする方に顔を向け、もう一度見あげて見ると、ジャングル・ジムの上の男がこっちを向いたまま手を振っている。

「また、逢いましたね~ あの、俺のこと、覚えてますか~?」

そう言うと、するすると降りて、俺の方に歩いてきた。
たしか以前、東の管轄にいた頃、海辺の公園で一度だけ会った、あの・・・?

「こんなところで、また会うなんて。
 俺のこと、覚えてますか? っていうか、思い出してくれました?」

「今、思い出しました。
 たしか、役者、俳優、時々歌手、と言っていた人ですね?」

「あ~~ うれしいなぁ 覚えていてくれたんですね」

「ええ、まあ・・ 今日も仕事でこちらへ?」

「はい、今回は歌手、というか、初のCDを出させてもらったんでそれで。
 明日の昼と夜に2回、ステージ・ライブやるんです」

「そうですか」

「あ、そうだ、いきなりなんですけど、明日の昼とか空いてますか?」

「昼ですか? まあ、時間にもよりますが」

「ライブ、12時半開場の、1時開演で、1時間半ぐらいなんですけど」

「なら、たぶん大丈夫でしょう」

「じゃあ、あの、2枚あるので、もしよかったら観に来てくれませんか?」

「いや、でも・・ 頂くなんて、悪いです」

「あ~ 気にしないでいいです。
 友達が観に来ることになってたんですけど、急に都合が悪くなって。
 だから、嫌でなければ是非!
 会場に空席を作らないよう協力をお願いします」

「そうですか? では、お言葉に甘えて」

「よかった~
 あの、終わったあと、できれば感想を聞かせてもらえませんか?
 控室の方に来てもらって構いませんから」

「わかりました、お伺いします」

「あの、スタッフの人に言っておくので、名前だけお聞きしてもいいですか?」

「冴島です」

「冴島さんですね、じゃあ、お待ちしています。
 それじゃ、また明日」

そう言って、本に挟んであったらしいチケットを俺に渡すと、頭を下げ、手を振りながら歩き去って行った。

『やっと思い出したぞ、鋼牙。
 いつぞやの小魚好きの男・・ だな?』

「ああ」

『明日、行くのか?』

「チケットを貰ったんだ、行かねばなるまい」

『やれやれ・・・』

俺は、貰ったチケットをそのままポケットにしまうと、家に向かって再び歩き始めた。


「ただいま」

「おかえりなさいませ、鋼牙様」

「おかえり~ 鋼牙。
 ねえねえ、鋼牙、今日のお昼ご飯はね~ 菜の花が入った春野菜の・」

「カオル、明日の昼間だが、空いてるか?」

「え? 別に、空いてるけど、いきなりどうしたの?」

「チケットを貰った」

「チケット? なんの?」

「たしか歌だと・・ ほら、これだ」

「え、なになに・・・ 
 え、ぇええ――っ! 鋼牙! これ~! このチケット、どうしたの?」

「さっき、それに出るという本人に会って、それで、貰った」

「え? 鋼牙が会ったのって、この人、本人なの~?!」

「名前は知らないが本人だろう? たしかCDを出したとかなんとか・・」

「え――! 本人だ、本人だ~ すごい、すごい、すごい~~」

「カオル、何をそんなに慌ててる?」

「きゃぁあ~~ だってRYOSEIさんだよ、RYOSEIさん!」

「あの男、そういう名前なのか・・」

「鋼牙、覚えてない? 
 前にわたしと一緒に夜通し絵のDVD観たでしょう?」

「ああ、観たな」

「あの時に、ナレーターしてる人、わたし好きなんだ~ 
 そう言ってたの、覚えてる?」

「そういえば、たしかそんなこと、言っていたな」

「あの時のナレーターしてたのがRYOSEIさんで、このチケットくれた人だよ。
 声とか、少しハスキーなところとか、見た目も鋼牙にけっこう似てるよね」

「・・・そうなのか?」

「そうだよ~~ 
 え~ このチケット、人気ですぐに完売しちゃったんだよ~
 やだやだやだ、どうしよ、超うれしい~~
 わたしもほんとは観に行きたかったんだ~
 鋼牙、ゴンザさん、明日はわたし何着て行こう? ねえ、どうしよう?」

「カオル様、それでは昼食のあと、さっそく対策を考えましょう」

「ゴンザさん、そうだよね、そうします~
 あの、手伝って貰えます?」

「もちろんですとも」

『鋼牙、今は観終わった後のことは言わない方がいいぞ。
 今言ったら、確実に昼飯を食べるのが遅れる』

「そうだな、行くだけでもこの調子だしな。
 続きは昼飯の後にでも、カオルが少し落ち着いてから言うことにしよう」

『ああ、そうしろ』

昼飯を食べ終わりお茶を飲んでいる時、カオルに観終わった後に控室へ行くことを告げると、驚き過ぎたのか、それとも喜び過ぎたのか、声も出さずに目をまん丸にしていたが、ゴンザもザルバも傍にいるのに、いきなり俺にギュッと抱きついてきて・・・

「カオル?」

「きゃぁあ~~ 鋼牙、うれし~い! うれし過ぎるよ~
 わたし、ずっと、ずっと、彼のファンだったんだよ~~ 
 わたし、今夜はうれし過ぎて、たぶん、寝られな~い」

 「・・・・・」

ふとしたことが縁で貰ったチケット。
カオルがこんなに喜ぶなんてな。
初めて逢った時も、今日遇った時も、人の良さそうな無邪気な感じの普通の男に見えたんだが・・・
明日のライブ、カオルほどではないが、少しだけ俺まで楽しみな気がしてきた。


翌日、いつもよりかなり早めに浄化の仕事に出掛け、カオルとの約束の時間ぎりぎりに、なんとか帰ってきた。

「おかえりなさいませ、鋼牙様」

「ただいま」

「おかえり、鋼牙。
 ねえねえ、今日はそのまま行くの? それとも着替えるの?」

そう言うカオルを見てみると、春色のワンピースにざっくりニットのカーディガンを羽織って、スカーフを巻いている。
昨日相談していたようだから、ゴンザにしてもらったのか、今日は髪もキレイに巻かれている。

「夕方までには帰れるはずだから、目立たないよう着替える。
 それより、カオル、お前・・」

「え、なあに?」

『えらく気合が入ってるな、カオル~』 

ザルバ、お前・・・

「え、そう? ザルバにもわかる?
 だって、今日は鋼牙と一緒にお出掛けだし、
 それに、あの憧れのRYOSEIさんのライブだもん、
 気合だって、入るってもんでしょ?」

「カオル様、とても可愛く仕上がっておいでですよ。
 鋼牙様、鋼牙様もそうお思いでございましょう?」

「ああ、そういうことにしておこう」

「鋼牙、そういうことにしておこう、ってどういう・」

「カオル、時間が無いから話は後だ。
 俺もとりあえず着替えてくる。
 ゴンザ、準備はいいか?」

「はい、食べる方も、車の方も準備はできております」

「カオル、昨日渡したチケットだけは忘れるなよ」

「うん、それは絶対に大丈夫」

コートをゴンザに預け、洗面に行くと、2階の部屋に上がって手早く着替える。
「ライブの会場なので、あまり堅苦しい格好でない方がよろしいのでは?」 
昨夜ゴンザがそう言っていたのを思い出し、ラフな格好に着替える。
下に降りて、軽い昼食を食べていると、先に済ませているカオルが隣で気味が悪いほどニコニコしている。

「カオル、俺の顔に何か付いているのか?」

「ううん 別に。
 ただね、鋼牙、滅多に着ないけど、そう言う格好、カッコいいな~ って。
 ねぇ、今日はう~んと楽しもうね、鋼牙」

「ああ、そうだな」


ゴンザに車で送ってもらい、会場の近くで降ろしてもらう。

「鋼牙、いよいよだよ~ 楽しみだね」

「ああ」

カオルによると、会場はライブ・ハウス? と言われるところで、入場の優先順が書かれているチケットの番号順に係の者に呼ばれ、入口でチケットを見せ、会場の中に入り好きな座席に座るらしい。
友達に渡すつもりだったと言っていたチケットは、印刷されていた番号が10番台で、待っているとすぐに呼ばれ会場内のかなり前の方に座ることができた。

「鋼牙、すごいね、こんなに前の席だよ~
 これで出てきたら、ほんともう、RYOSEIさん、目の前!
 わたし、すごいうれしい~」

「そうか、よかったな」

ほとんどが女の客のようだが、それにしても会場内のこの熱い雰囲気・・・
カオルも他の客と同じで、普段よりかなりのハイテンションのように見える。
なるほど、皆カオルと同じ、あの男の ”ファン” というものらしい。

「鋼牙、あそこで今度発売のCDを売ってるから買ってくるね」

「ああ、俺はここで座ってる」

席に座って少し高くなったステージを見あげてみる。
電子ピアノ(後日、 「それって ”キーボード” だよ」 と、カオルに訂正された)と、マイクが置かれている。
ここで、歌うのか・・・

カオルが席に戻って来るまで、賑やかな会場内を見るともなく見ていたが・・ 皆、楽しそうだ。
なにやら、席が隣同士になっただけで、初対面のようなのに楽しそうに話をしていたり、あの男のCDを買ってきて開け、熱心に中の冊子を見ていたり・・・

「鋼牙、CD買ってきた。
 あ、入場の時に買ったドリンク券、何か飲み物と交換してくるけど、何がいい?
 あそこのドリンクコーナーに張ってあるメニュー、見える?
 あのメニューと、他にお水とか、ペットボトルもあるみたいだよ?」

ああ、それで・・・
ペットボトルや、コップを持った人がいるのか。

「すぐに始まるんだろう? コップは面倒だ。
 カオル、ペットボトルで何か貰ってきてくれ」

「わかった、貰ってくるね」

カオルが水のボトルを貰ってきて、後は席に座ったまま始まるのを待つ。


大きな音楽がかかるのと、客席のライトが消え、代わりにステージ上のライトが点いたのはほぼ同時。
かかる音楽に負けないくらいの黄色い声が上がる中、あの男がマイクを片手に舞台上に飛び出て来た。

「こんにちは、RYOSEIです!
 今日は皆さん一緒に楽しみましょう! さあ、立ち上がって!」

そう言われ周り中、一斉に皆席を立つ。
一人座っているわけにもいかなくて、少し遅れて立ち上がった俺を見るカオルは、曲に合わせて大きく手拍子しながら満面の笑顔だ。
新曲なんだろうか、俺が聴いたことのないアップテンポの曲を歌っている。
歌っている本人も、会場内にいる人もすごく楽しそうだ。
1曲歌い終わり、挨拶とか、いろいろ話している。

「あ、すいません、立たせたままで・・・
 どうぞ、座ってくださいね」

言われて、皆席に着く。
さっきカオルが買ってきたCDのことだろう。
しばらくの間、そのCDのことについて、発売になった経緯や、曲の紹介、自分がどんな想いを持って作ったのか、そんな話を静かに、だが熱く語る。

ん・・ この声だな。
以前、カオルと一緒に観た美術館のDVDで、流れていたナレーションの声だ。
耳に違和感なく入って来る、少しハスキーで、優しい、甘い声。
「最初声を聴いて好きになったんだ~ でもね、後で本人が載ってる雑誌を見て、すごくカッコイイ人だったから、わたし、すごくびっくりしたんだよ」 
カオルは、そう言っていたが・・・
前に逢った時も昨日遇った時も、たしかに綺麗な顔をした男だな、そう思ったが、どうやらここに来ている人達はそれだけがよくて来ているわけではなさそうだ。
ザルバも 『裏表の無さそうな・・』 と言っていたが、この男のそういうところも含めて、たぶん皆好きなんだろう。
顔なんて、見てくれがいいだけの男ならいくらでもいる。
だが、それだけに騙されるほど、皆が皆バカじゃない。

偶然の出会いと、再会。 
貰ったチケットに、なんとなくカオルと観に来てみた。
熱い話と、想いのこもった曲の数々を聴いた。
いいライブだった。
これも ”縁” なんだな・・ そう思えた。

ただ、曲は良かったんだが、後半、会場が総立ちになって、手を上げ、皆振るのには、さすがにまいった。
カオルは、場の雰囲気で一緒になってやっている俺を見て、しきりに笑っていたな。


ライブが終わると、皆、熱の醒めない夢のような表情のまま、スタッフの誘導で会場の外へ出て行く。
俺は、ほとんどの人が出て行ったころ、スタッフの人に名前を言った。
きちんと話が通っていたんだろう、出て行くのとは違うドアから案内されて、カオルと一緒に控室のようなところに案内された。
周りに他の人も数人いて、盛り上がっていたようだが、案内してくれたスタッフの声にこちらを振り向くと、すぐに俺たちの方にやってきた。

「来てくれたんですね!」

終わったばかりで、とてもテンションが上がっているように見える。

「ええ、とても楽しませていただきました。
 よい席のチケットを、ありがとうございました」

「いや~ こちらこそ、穴が空かなくてよかったですよ。
 ははは・・
 で、感想は? お連れの人も、どうでした? 楽しめました?」

カオルの目線に合わせて屈みこみ、顔を近づけて笑顔で訊いてくる。

「もちろん! 楽しめました!
 あ・・・ はじめまして、わたし、御月カオル、と言います。
 あの、わたし・・ その・・ 最初、声だけ聴いた時から好きで・・
 後で顔見たらすごくカッコイイ人で、もっと好きになって。
 えっと、RYOSEIさんがナレーターしてるDVDも持ってるし、
 さっきはCDも買いました。
 やっぱり本物も、カッコイイです。
 あの、たくさん、たくさん、何度でも聴きます!
 オリジナル曲もステキですけど、
 カバー曲や、今夜のリクエストの曲もじぃぃ~んとしました」

カオル? お前、なんだか舞い上がってないか? 

「うれしいなぁ~ どうもありがとうございます」

ほんとうにニコニコ笑顔で、カオルの感想を聞いて無邪気に喜んでいる。

「いいライブでした。
 歌にかけるあなたの想い、深く心に伝わりました。
 以前言っていた、役者のあなたはまだ知りませんが、
 お世辞抜きで、歌を歌うことはあなたの天職ですね。
 俺も、この後、CDをじっくりと聴かせてもらいます」

「ありがとうございます。
 男の人にそう言ってもらえるのって、すごくうれしいです。
 あ、でも、観月さんが言ってくれたのももちろんうれしいんですよ。
 ほんとに! ほんとですよ!」

「ふふ・・ はい、わかってます」

「あ~ よかった。
 すいません、俺って、普段はこんな感じなんですよ。
 あの、よかったら、今度はお芝居やミュージカルも観に来てください」

「はい」

「ええ、是非」

そうだな、カオルじゃないが、観に行ってもいい、そう思うな。

「観月さん、あの、CD・・ 良ければサインしましょうか?」

「いいんですか?」

「俺のサインで良ければ。
 え~っと、ペンペン・・・

 カ~オ~ル~さ~ん~へ~
 R~Y~O~S~E~I ❤
 あ~り~が~と~う~ご~ざ~い~ま~す~
 ビックリマーク、いっぱい書いちゃお~
 1!、2!、3!、4!、5!
 
 はい! できました! これでいいですか?」

書いてもらっているのを両手を合わせ、握りしめて見ていたカオル。

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます! うれしい! 大事にしますね」

「カオル、よかったな。
 さあ、悪いから、そろそろお暇しよう」

「そうだね。
 じゃあ、RYOSEIさん、今日はありがとうございました」

「いいえ、こちらこそ」

「それでは・・」

「はい、またお会いできるといいですね」

「ふっ・・ そうですね。
 "二度あることは三度ある" ・・ かもしれません」

「そうですね」

笑顔で見送られ、控室をあとにした。


バスに少し乗って、後は歩いて帰る。

「楽しかったぁ~ 夢のような時間だったなぁ~」

「そうだな・・」

カオルは、なんだか夢見たようにぼんやりしている。
まあ、しかたがないか・・
あのライブを見て、本人に会って、サインを貰って。
ふふ・・ ファンだと言うぐらいだし、カオルにはほんとうに夢のような時間だったんだろう。

「うわっ! 
 痛ぁ~~」

「おい、大丈夫か?」

「あ~ さっきの会った時のこと思い出してたら、転んじゃった。
 鋼牙ぁ 膝をすりむいちゃった。
 う―― 痛いよ~」

「まったく、お前は手間のかかる・・ ほら、手を出せ」

「ありがと、よいしょっと・・」

はぁ~ まったく・・・

「ほら、また転ぶと面倒だ、手を繋いでやる」

「ん・・ ありがと」

そのまま、手を繋いで、家までの道を歩いていたんだが・・

「鋼牙、今夜何も無かったら、なんだけど・・」

「ああ、何かあるのか?」

「CD・・ 一緒に聴かない?」

「ああ、そうだな、聴こうか」

「あと、さっき気が付いたんだけど・・ 今夜、教えてほしいんだよね」

「・・・?・・・」

「鋼牙とRYOSEIさん、どうして知り合いなのか。
 なんで、チケットなんて貰ったのか」

「そうか、そうだな・・ カオルにはまだ言ってなかったな。
 わかった、今夜何も無かったら、その時に教えてやる」

「それと、ひとつ、お願いしてもいい?」

「・・・?・・・」

「CDの歌、聴いて覚えたら・・ 鋼牙が歌うの、聴きたいな」

「なんだ? なんで俺が歌うんだ?」

「だって、声もルックスも中身も二人ともよく似てるし、カッコいいけど、
 でも、やっぱりわたしはね・・」

「・・・・・」

カオル・・・

「ね、ダメ?」

「・・・・・」

繋いだ手に力を入れ握り直すと、知らん顔をして、カオルに合わせていた歩調を俺の速さで歩き始める。

「ちょっ 鋼牙ぁ~ や、早いよ~~」

急に速く歩きだした俺に、もう一方の手も添えて足元を気にしながら必死で歩いているカオル。

よかった、顔を見られなくて。
ザルバがこの場に一緒にいたら、間違いなくあいつのことだ、すぐに突っ込まれていただろう。
『おい、鋼牙、なに顔を赤らめてるんだ~?』 とな。


突然で、偶然の出会い。
「二度あることは三度ある」
なんだか、本当に、そんな気がしてきた。


コメント
そうですか~? うふふ・・ 照れます。 (*^_^*)  
もうね、最近は開き直って、周りにもオープンで、ほ~んといい歳して、どっぷりと嵌まって浸かった生活をしています。
だ・か・ら、❤溢れていたでしょう?
え~と、リクエスト内容は、本当にバラエティーに富んでいまして、おおまかでも、まだあと7個は残ってます。
しかも、頭に浮かんだ順に仕上げているので、だんだんハードルが・・・
難しいですけど、無事全部クリアできるよう祈っててください。 (笑)
あ、みゆ様も、もし何か思いついたら、メールしてもらっても構いませんよ~
お待ちしていますので。



【2012/04/22 19:14】 | なな #- | [edit]
うわぁ~ やっぱりこれって 「まさかの出会い!夢の共演」 ですか?
う~ん・・ 私もファンの一人ですけど、全国のコニタン・ファンは、これ読んでどう思ってるんでしょうね・・・
なんだか、すごくすごく不安です。 (?_?)
えっと、ご指摘の鋼牙を見てざわつくファン?!は、最初は書く予定でした。
でも、これ、金曜の昼過ぎから夜までかかってほとんどを書きあげたんですけど、途中で時間的に無理だなぁ~と見切って、省いてしまいました。
ほんとは、もっとライブ中のこと、いろいろ書きたかったんですよぉ~! (悔涙)
もう1日あればなんとかなったと思うんですけどね、残念です。
そしてママ様、やはりママ様も二人にまた舞台に行ってほしいんですね・・・
・・・はい、頭の隅のどこかに留めておきますね。
【2012/04/22 17:00】 | なな #- | [edit]
あっはっは❤ 同感ですよ。
私も散歩(犬の散歩)中に声掛けられた~い! です。
私が大阪でほんとに偶然遭遇した時は、起きぬけ、とゆ~か、顔がまだ寝てましたけど(笑)、普段は普通っぽい、たぶんにこにこした感じのかっこいいお兄さんみたいなんだろうなぁ~と想像して、今回登場してもらいました。
うふふ・・ 大阪が懐かしいですね。
とにかく、楽しんでもらえてよかったです。
それが、一番の嬉しいことばでご褒美です。
ありがとう! りのんさん。


【2012/04/22 12:21】 | なな #- | [edit]
嬉しいです、一二三さん。
もうね、ドキドキで。
相変わらずの書きっ放しなのに、そんな風に言ってもらえて、ああ、よかったぁ~~ て、胸を撫でおろしてます。
三度目? 三度目の再会、ですか?
う~ん あるとしたら~?  
それは、 『only "God knows truth" it is .』 ですね。

【2012/04/22 11:54】 | なな #- | [edit]
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