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A thing sweeter than chocolate ! ~チョコレートよりも甘いもの~

category: 作文1  

零にありがたい忠告をされて、どうしようかと悩んでいた鋼牙・・・
今年のバレンタインは、いったい?



 
  ・・・ A thing sweeter than chocolate ! ・・・
         ~チョコレートより甘いもの~
                                 <2.14.2012>

あと1週間ほどか・・・

数日前の節分の日、昼のお茶をしにきた零に、帰り際、こっそりと耳打ちされた言葉。

「おい、鋼牙、14日のバレンタインだけどさ・・・
 お前、カオルちゃんに手作りだけはやめるように言っとけよ。
 そうしないと、いくらお前でもさ・・・
 な、この意味、言わなくてもわかるよな?」

たしかにそうなんだが、どうしたものか・・・ 

風呂の湯船につかりながら零に言われた言葉を反芻する。
カオルに言うにしても、言葉とタイミングをよくよく選ばないと、傷つけて泣かれたり、逆に怒らせることになる。
ホラー狩りに疲れた身体をゆっくりと温めほぐしながら、目を瞑り考えをめぐらせる。

風呂から上がり、いつものように水のペットボトルを持って階段を上がった俺の目の前で、カオルの部屋のドアがいきなり開く。

「あれ? おかえり、鋼牙、帰って来てたの? っていうか、もう、お風呂も入って来たんだね」

「ただいま、カオル。
 さっき帰って来て、そのまますぐに風呂に入ったからな・・
 それよりどうした? 今夜は絵を描くんじゃなかったのか?」

「う~~ん それがね、下絵を書いてたんだけど、どうしても気分が乗らなくて。
 ちょっと気分転換に何か飲もうかな? って思ったんだけど・・
 でも、鋼牙がこんなに早く帰って来たんだったら、
 急ぐ仕事でもないし、今夜はもうやめよっかな~
 ね、鋼牙、お風呂入ってきたら、鋼牙の部屋、行ってもいい?」

「それはかまわないが・・・」

「やった! 
 じゃあ、今夜はもう描くのやめてお風呂に入って来る。
 あとで、鋼牙の部屋行くね」

「あ、ああ・・」

部屋にすぐ引き返し、着替えを持って階段を駆け下りていくカオル。
最近、お互いに忙しくてゆっくり話しも出来ていなかったから、絵を切り上げて俺の部屋にくるというカオルに、ドアを開けて部屋の中に入りつつ、自然と口元が綻ぶ。

部屋に入り、ベッドに腰掛けてペットボトルの水を飲む。
はぁ――・・・
今夜のホラーは、あまり時間もかからず倒すことができたから早く帰ることができたんだが、最近の忙しさが積み重なったせいだろう。
カオルがもうすぐここに来るのがわかっているのに・・ 久しぶりに話ができるというのに・・
座っているだけで、自然と瞼が落ちてきそうになる。
ペットボトルをサイドテーブルの上に置いて、カオルが上がって来るまでのつもりで、上掛けを捲りベッドの上に身体を横たえた。


「鋼牙~ お待たせ!」

「・・・・・」

あれ? 

「こ・・う・が・・・?」

勢いよく開けたドアをゆっくりと閉めて部屋の中を見まわしてみると・・・

あ、いた!

ベッドの上で、片膝だけを立てて、腕を目の上に当てたまま、何も掛けずに・・眠っていた。

「鋼牙・・・」

ここのところ、ずっと昼間も忙しくしていたようだし、ホラー狩りだって、今夜もだけど、最近多かったような気がする。
鋼牙、疲れてたんだよね。

顔の上に載せられていた腕をそっと持ち上げて脇に下ろし、立てられていた足も起こさないよう静かに真直ぐ伸ばす。
自分の部屋に戻って寝ようかどうしようか迷ったけど、最近、話しすらする時間がなかなか持てなくて、寂しくて・・
だから、部屋の灯りを落としてから靴を脱ぐと、起さないように細心の注意を払いながら、上がりがけの方に寝ている鋼牙の足元の方からベッドの上に上がって、そっと跨いでベッドの奥側の方に寄り添うように寝転んで、上掛けを被る。
腕にそっと手を掛けて顔を肩口に寄せれば、大好きな鋼牙の匂い・・・

ここで寝させてね。
おやすみ、鋼牙。

鋼牙の匂いに包まれて、規則正しい寝息を聞きながら、わたしはそっと目を閉じた。


ん? 布団? 灯りが、消え・・てる?
なぜ、こんな時間に目が覚めたんだ? 俺は・・・
ぼんやりと天井を見つめていると、腕のあたりに・・・何か?
顔を向けて見ると、すぐ横にカオルが。

は? 
なんで、カオルがここで、寝てる?

急に上がってきた心拍と体温。
すぅ――っと醒めてきた頭で、寝る前のことを思い出してみる。

そうか、カオルが上がってくるのを待っていて俺は・・・

カオルの方に身体の向きを変え、頭を静かに少しだけ持ち上げておいて腕を差し込み、頬にかかった髪を指先で梳き流して払ってやりながら、額にキスをする。

カオル・・・

そっと。
なんだか額だけでは物足りなくて、俺の唇が覚えている柔らかいカオルの唇に触れたくて、合わせるだけのキスをした、つもりだったのに。

ん――・・・ 

鼻にかかった寝息を漏らして、カオルがうっすらとだが意識の無い瞼を開ける。
最近すれ違ってばかりだったからなのか・・ それとも、夜中に目が覚めた時、目の前にカオルがいたのがうれしかったからなのか・・
そのまま放っておけば寝てしまうだろうはずのカオルに、俺は、自分でもよくわからないまま、ただ我慢できず、抱え込んでいた腕に少しだけ力を込めながら口づけた。

合わせた唇を優しくゆっくりと食みながら、差し込んでいない方の手でカオルの首筋をそっと撫で続ける。
やがて少しずつ意識が浮上してくるカオルの口の中に舌を忍び込ませ、歯列をゆっくりと撫ぜていく。

んん~~・・・

抱え込んだ俺の腕の中、無意識に胸元あたりに伸びてきたカオルの手。
それと、俺の舌を求めて彷徨い出てきたカオルの舌。
起こしてすまない、という気持ちよりも応えてくれてうれしい、という気持ちがどうしても、勝ってしまう。
口蓋をこすり撫でて刺激を与え続けている間も、時々熱い息を洩らしながら、追いかけようとしてくるカオルとさんざんお互いの舌を絡ませ合い、吸い上げて、そっと顔を離す。

はぁぁ~~・・・

目を伏せたまま、熱い溜息を洩らすカオルの唇をそっと舐めとり、頬を合わせるように抱きしめる。

「カオル、ふたつ、謝る」

「・・・?・・・」

「待つって言ったのに、お前が上がって来る前に寝てしまって悪かった」

「え? でも、鋼牙疲れてたんだから仕方ないよ・・」

「それと、せっかく寝ていたのに起こして悪かった。
 すまない」

「べつに・・・ いいよ、鋼牙。
 そんなことで謝らないで、ね」

「謝りついでに、カオル・・・
 いや、やっぱりいい、もう、寝よう、本当にすまなかった。
 おやすみ、カオル」

「・・・・・」

「カオル?」

「言いかけはやめて、って・・ 前にも言ったよね、鋼牙」

「いや、たいしたことじゃないんだ、気にするな」

「気にする! 気になる! 鋼牙、言ってよ。
 最後まで言ってくれないと、気になって寝れないよ」

「・・・・・カオル」

「ね、言ってよ」

「久しぶりにこうやって、傍にいて、一緒に寝てるんだ。
 だから・・・
 聞いても怒るなよ? 
 俺は、夜中に言い合いなんかしたくない」

「う~~ 絶対怒らないから、言って!」

「俺は甘いものが得意じゃないこと、カオルは知ってるよな?」

「うん、もちろん。
 零君のケーキ全然食べないし、コーヒーだってブラックしか飲まないもんね」

「もうすぐバレンタインだが・・・
 カオルはあ~ゆ~の、好きだから、俺にと、何か考えているんじゃあないか?」

「もちろん、考えてるよ。
 でも、ブラックのチョコもあるし・・・
 だからね、鋼・」

必死な顔で続きを喋ろうとするカオルの口を、チュッとキスをして、黙らせる。

「鋼牙・・・」

「カオル、頼むから、俺にチョコはやめてくれないか?」

「でも・」

「そのかわり!
 カオル・・・ 俺の好きな、大好きな甘いもの、14日の夜に俺にくれ」

「え? それって・・・」

「指令書が来るか来ないか、1週間も先のことだから、まだわからないがな。
 14日の夜、チョコの代わりに・・・
 俺の唯一好きな甘いもの。
 カオル、お前のキスを俺に。
 たくさん、たくさんくれないか? 
 それじゃあ、だめか?」

「鋼牙・・・ 
 うん、いいよ、いっぱいあげる。
 嫌って言ってもいっぱいあげるからね」

「嫌なんて言わない、言うわけない」

「うん。
 でも・・・」

「・・・?・・・」

「作ろうと思って、失敗した時の事も考えて、わたし・・・
 たくさんのチョコ、もう買っちゃってるんだけど、あれ、どうしよう~?」

「カオル、そっちの甘いもの好きがちょうどいるだろう?」

「それって、もしかしなくても、零君?」

「他に誰がいる?」

「そうだね、じゃあ、あのチョコは、何か作って零君に上げることにする。
 でも、鋼牙・・」

「なんだ?」

「零君に上げたからって、不機嫌にならないでよね」

「大丈夫だ、ならないさ。
 俺はチョコは苦手なんだから」

「そうだね、じゃあ、明日から零君のために頑張って作るね」

「ああ、頑張れ。
 よし、寝よう、カオル」

「うん、おやすみ、鋼牙」

「おやすみ、カオル」

俺の胸元に頭を押し付けるようにして目を閉じるカオルに、上掛けを掛け直してやって、もう一度髪の上からキスをすると、頬を押し当てるようにして、俺もまた目を閉じた。




1週間後の14日、バレンタイン・デー
ケーキ持参で鋼牙の様子を見に来た零がどうなったかは・・・


『それはな・・ くっくっく・・・ 聞かない方が、お前のためだぜ!』








2012_02_14

Comments

miro様、はじめまして 

ようこそ、いらっしゃいませ。
今回は零君があまりにも不憫! 可哀相~ なんとか零君を救済してくださいね、とのコメをかなりの数で頂いておりまして・・・ 
う~ん、予想外の大反響(苦笑)
そうですね、出来ればホワイトデーかどっかで、どうにか救済したいと考えてます。
ぜひ、miro様の希望もどうにか反映できれば、と思います。
3月上旬までは、どうにも動きが取れないので、気長~に待っててくださいね。
どうも、コメント、ありがとうございました。
なな  URL   2012-02-19 22:28  

ひっふみさ~ん! 

久しぶりに、親切にしてるのに、いつも報われない役専門の零君登場です。 (苦笑)
でもま、流れ的にそうなっただけで、鋼牙に悪気があったわけじゃあないと、信じたい! 信じてる! 信じる時! 信じよう!  
ということで、いよいよ次はバースデーですな、お代官様・・・
それでは、こちらこそ楽しみにしておりまする。
なな  URL   2012-02-16 01:58  

りのん様、こんばんは 

うっふっふ~~
偶然とはいえ、たしかに鋼牙の危機回避能力はすごいです。
でも、代わりに零くんが・・・  
♪チ~ン (南無阿弥陀仏)
真実を知った時の零くん、怒ったのか、いじけたのか、お腹を壊したのか、どうだったんでしょうね。
あ、ちなみに管理人は、眠いだけの、何もない2月14日でしたよ。
なな  URL   2012-02-16 01:48  

みゆ様、こんばんは 

今回のお話しのサブタイトル、~零、恩をあだで返される~ ですか? なるほど・・・
管理人的には、 Im’ sorry. ~鋼牙、成り行きで零を犠牲にする~ でしょうか。
鋼牙は確信犯ぽいけど、今回はただの天然だと思ってるんですが。
違うのかな~~?
そこまで考えてなかったです。
なな  URL   2012-02-15 23:58  

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