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It is KOGA -surprise-glad and appreciates ~鋼牙驚き喜びそして感謝する~

2011.11.19(00:00)

かおるが妊娠中の話は書かれていましたが
 かおるの中に新しい命が芽生えていることを知った時の話や
 その命が誕生した時の喜びの話 
 こういうの機会があれば考えていただければ幸いです

そんなリクエストを頂きました。
以前、カオルが妊娠中のおはなしを書いた時、妊娠した事を鋼牙に話すシーンを想像したことがあります。
その時、すんなり頭にシーンが浮かんできて、なぜか、自分でもすごく嬉しかったのを、覚えています。
やはり、女性には、とても幸せな経験(記憶)ですもんね。
というわけで、いつかは、書こう、書きたいと思っていた、おはなしです。
書いてみよう、そんなきっかけをくれた、D様、ありがとうございます。
久しぶりに、休みなしで、一気に書き上げました。
読んだ後、D様はもちろん、皆さんがホッとできるような幸せな気持ちに、もしちょっとでもなれれば、管理人も、こんな幸せな事、ありません。



   ・・・・・鋼牙驚き喜びそして感謝する・・・・・
                            <11.17.2011>


『おい、鋼牙、今夜の奴はちと厄介だったな』

「ああ、そうだな」

『最近、頑張って起きて待ってるみたいだが、カオルはもう、さすがに寝てるだろうな』

「そうだといいんだがな。 
 帰りの時間のアテなんか無いんだから、いちいち待つな、とは言ってあるんだが・・・」

『それにしても、お前が身を固めるなんてな~~
 カオルに出会う前までは、数年先にこんなことになるなんて、
 これっぽっちも想像できなかったぜ』

「ふっ まあ、そうだろうな。
 この俺自身が、一番驚いているんだから」

『昔のお前に、今の状態を教えてやることができたとして・・・
 ”何ふざけたこと言ってる!”  とか言って睨んで、聞く耳さえ持たないだろうよ。
 まあ、今夜はもう結構な時間だし、とりあえず、明日も朝が早いんだ。
 いいかげんには、さっさと寝ろよ』

「ああ、わかってる。
 今夜は疲れた。
 お前が心配しなくても、風呂に入ったら、すぐに寝るさ」

・・・ふ~~ん、ほんとかな、鋼牙よ。  ふふふ


屋敷に戻り、玄関を開けると、日付なんかとっくの昔に替わって過ぎてしまっているというのに、ゴンザが当たり前のように、いつものように待っていた。

「おかえりなさいませ、鋼牙様。 
 カオル様は、待ってると言って頑張ってらっしゃったんですが、
 鋼牙様のお言いつけ通り、12時を過ぎた頃、寝室の方にお引き取り願いました」

脱いだコートと剣をゴンザに渡しながら、カオルが先に寝たことを聞いて、ひとまずホッとする。

夫婦になってからというもの、カオルは絵の仕事の無い夜、俺が出掛けると、何度言っても、起きて待っていようとする。
いつ帰れるかなんて、まったく予想もつかないんだから、時間の約束など出来るはずもない。
せっかく早く眠れる夜は、「画家」 という根をつめる仕事をしているカオルには、俺のことなど気にせず先に寝て、睡眠を少しでもとって欲しいんだが、当の本人であるカオルは、「はいそうですか」 と言うようには、そう簡単には割りきれないものらしい。
「普通、奥さんて、旦那さんが仕事から帰るのを起きて待ってるものでしょ?」
首をかしげながら、笑顔で、さも当然のようにそう言われても、俺の仕事は、世間一般で言うところの 「普通の仕事」 からは大きく外れているはずだ。
だが、今に思えば、出逢った最初の頃から、ホラーや魔戒騎士の存在すら、普通の人間ならイレギュラーのことのはずなのに、すんなりと違和感無く受け入れてしまったカオルだからこそ、そう言い切れるのかもしれないが。

「そうか、助かった。
 すまなかったな、ゴンザ、随分遅くなったが、もう、寝てくれ。
 俺も風呂に入ったら、すぐ寝る」

「かしこまりました。
 それでは、おやすみなさいませ、鋼牙様」

「ああ、おやすみ」

ゴンザが下がると、書斎に一旦行き、机の上に置いてある箱の中にザルバをしまって、浴室へと向かう。
時間も遅いから、素早く身体の汚れを落とし、少しだけ湯船の中で身体をのばす。
絵の仕事が無いということは、今夜は俺の部屋で寝ているということか・・・
僅かしか寝る時間がないとしても、カオルを腕に抱いて眠れる、ただそれだけのことで、優しい気持ちで眠ることができた。
だから、ベッドの中で、安心した寝顔で安らかな寝息を立てているだろうカオルを思い浮かべるだけで、顔が自然と綻んでくる。
さあ、出るか・・・
湯船から、身体を引きあげて、バスタオルで身体を拭き、パジャマを着て二階の俺の部屋へ向かう。
起こさないよう、そっとドアを開け中に入ると、さっき想像した通りの様子で、すやすやとカオルが眠っていた。


カオル、ただいま・・・
ずいぶん遅くなったが、今夜も傷一つなく、無事に帰って来たぞ。

胸の中でそっと呟きながら、起さないよう隣に静かに身を滑り込ませ、そっと腕を差し込んで、抱え込む。
すると、煩わしいような熱さでない、ホッとするような人肌の体温の温かさを、夜具とカオルから感じる。
俺は、自分が守るべき者のところへ帰ってきて、なぜか逆に自分が守られているような錯覚と、安心感を覚える。
そうだな・・・ ふと、昔カオルに言われた言葉を思い出し、そして、もう眠ろう、と、目を閉じ意識が薄れ始めかけたころ・・・

「んーーーー・・・ 」

たぶん寝返りしようとしたんだろう。
だが、俺が腕の中に抱え込んでいるせいで思うように身体が動かなくて・・・
カオルは、せっかく気持ちよく寝ていたのに、意識が浮上してしまったみたいだった。
ゆっくりと瞼を震わせながら、目を開けると、俺の腕の中に居ることに気がついて・・・

「あ、れ・・・?」

「カオル・・ すまない、起こしたか?」

「鋼牙・・・ 帰ったんだね。 おかえり」

「ただいま、せっかく気持ちよく寝ていたのに、悪かったな」

「ううん、悪くなんかないよ。
 だって、戦って疲れて帰って来た鋼牙に、わたし、おかえり、ぐらい言いたいもん。
 あれ? こんなに帰って来るの遅かったの?」

「ああ、今夜はやっかいな奴が相手だったんだ」

「でも、やっつけた・・んだよね?」

「まあな。
 じゃないと、ここでカオルとこうしてなんかいられないだろ?」

「ん・・・  ね、ケガ、しなかった?」

「俺を誰だと思ってる?」

「冴島・・鋼牙。
 黄金騎士で・・・ ガロで・・・ わたしの大好きな人」

「カオル・・・」

今夜は遅いから、何もせずにすぐ眠ろうと思っていたんだが・・・
そんなことカオルの口から言われると・・・

腕枕していない方の手を耳の下に差し込み、顔を少し上向かせて顔を寄せる。
カオルの柔らかい唇を食んで、舐め、それにつられて薄く開けた口の中に、舌を滑り込ませる。
そのままぴったりとすき間なく重ね合わせたまま、歯茎をゆっくりとなぞり、彷徨い出てきたカオルの舌に俺のを絡ませて、引き寄せ、吸い上げ、甘噛みする。

んんーー・・・  はぁああーー・・・ ん、ぅん~~~

カオルは、俺の腕を掴んだ手の指先にグッと力を入れて爪を食いこませながら、鼻から甘い官能の吐息を零れ洩らす・・・
ほんの一息、息次をしながら、一瞬唇の端から零れ落ちかけていたカオルの甘い蜜を舐め上げると、向きを変えてもう一度唇を合わせ、今度は上顎に沿って最奥まで舌を滑らせ、なぞり、感じるあたりを突つき、擦りあげる。

ん・・ ん・・ ん~~~・・・

薄く目を開けて、カオルを見ながらそのまま続けていると、眉間に微かに皺を寄せて、鼻で浅く呼吸を繰り返しながら、俺の与える快感に夢中になっている。
いや、夢中になっているのは、カオルだけではなくて、それは俺も同じか。
なにしろ、頭の中で、 
「こんな時間なんだぞ、明日も早いんだ、いい加減にやめてさっさと寝ろ!」 
そう戒めている俺と、 
「カオルの望むように、このまま続けろ! お前だってこのまま途中でやめたくはないだろ?」 
そう、唆しているもう一人の俺がいるんだから。

「カオル・・・」

「あ・・・・ん・・・・」

顔を離し、唇を頬・・ 耳・・ 項・・ 首へと這わしながら、身体を少しずらし、胸元に小さくキスを繰り返しながら、手を腰のところから差し入れ、背中に向かって、素肌の上を滑らせていた時、なんだか、妙な違和感がして、動きを止める。

「・・・鋼牙?   どうかした?」

「ん? カオル、お前、少し熱があるぞ。
 口の中も、身体も・・・ いつもより少し熱い・・・」

「そうなの?  
 風邪でもひいたかな・・・
 鋼牙には言わなかったけどね、昨日の夜、締め切り前で徹夜しちゃったせいで、
 昼間休憩してた時に、ソファーで小一時間ぐらいうっかりうたた寝しちゃったの。
 たぶん冷えたんだよね。
 目が覚めた時、寒気がしたから、たぶん、その時に・・・
 え、鋼牙?」

「わかった。
 カオル、いいから、もう寝よう。
 朝まであまり時間は無いが、今夜遅かったから、俺もぎりぎりまでゆっくり寝る。
 こうしてひっついて寝ていれば、あったかいし、少しは落ち着くだろ?」

「ん、鋼牙の匂い、好き。
 安心して寝れる」

「じゃあ、もう寝ろ」

いつものように仰向けになった、俺の腕を枕にして、首に片腕をまわし、更に胸に身を寄せて、目を閉じるカオル。

「おやすみ、大好きだよ、鋼牙」

「ふっ・・・ おやすみ、カオル」

上掛けを直してやりながら、髪にキスして目を瞑り、カオルの呼吸する吐息を聞いていると、いつの間にやら意識は遠のいていった。


「んーーー・・・」

長年の習慣だな・・・
朝、いつもよりは遅めだが、目覚ましなど掛けたことは無いが、どんなに疲れていたとしても、だいたい同じ時間に目が覚める。

すぅーーーー すぅーーーー すぅーーーー

寝息がする方に、目だけを動かすと、カオルが、寝た時のままの恰好で、気持ち良さそうに寝ている。
空いている方の手をそっと、額にあててみる。
やはり、少し微熱があるみたいだな・・・
そのまま寝かせておくことにして、静かに、そっと、起さないようベッドを抜けだし、伝言を書くと、起きた時気づくよう、ドアの前の床のところにメモを置いて、部屋を出る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  カオルへ

   微熱がまだあるだろう? 
   風邪をひきこんで、寝込まないようにしろよ。
   いいか、すぐ薬に頼らず、こじれる前に医者に行って来い。    

                             鋼牙

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


下に降りて、着替えてから朝飯を食べると、ゴンザにカオルの熱のことを話し、頼んでからいつものようにオブジェの浄化に向かう。

『カオル、どうかしたのか?』

「締め切り前の徹夜が堪えて、ソファーで何も掛けずうたた寝したらしい。
 微熱が下がらないみたいだ」

『またか・・・』

「ああ、まただ。
 だから、いつかみたいに、すぐ薬で治そうとして、結局こじらせて寝込まないよう、
 医者に行け、と書いたメモを置いてきた。
 餅は餅屋、風邪なら、医者に診てもらった方が確実に治りも早いだろ?」

『たしかに。
 それにしても、カオルの奴、ほんと懲りない奴だな』

「まったくだ」

『鋼牙、カオルの風邪をもらうなよ?  たぶん、悪性だぞ?』

「ああ、わかってる」

『おい、鋼牙、駅の近くの方に変な気配を感じるぜ』

「わかった」


そのまま、ザルバが探知する場所を巡っているうちに、すべて終わって屋敷に戻ると、昼をかなり過ぎた時間になっていた。
玄関を開け、中に入ると、ゴンザがいつものように迎えてくれるが、カオルの姿が見当たらない。

「おかえりなさいませ、鋼牙様」

「ただいま。
 ゴンザ、カオルは?」

「はい、お言いつけどおり、ギリギリまで起こすのを待っていたんですが、
 そろそろ起こさなければ、と考え始めたところに起きてこられまして、
 朝ごはんを食べて、なんとか受付時間ぎりぎりに、病院の方へお連れしました」

「そうか、すまなかったな、ゴンザ」

「いいえ、それで・・・」

「どうした?」

「いえ、思いのほか、患者さんが多うございまして、
 鋼牙様のお戻りになる時間になってきましたので、
 一旦私だけ、戻って来たんですが・・・」

「じゃあ、カオルはまだ病院に?」

「はい、診察が終わりましたら、連絡を頂けることになっているんですが・・・
 ただ、受付で、言われたのですが、
 今頃の時間に、やっと診ていただいているかどうか・・・
 もしかしたら、まだかもしれません」

「そうか、それなら、しかたがないな。
 まあいい、連絡が来るんなら、大丈夫だろ。
 ゴンザ、悪いが、書きものの仕事が溜まっているから、
 カオルには悪いが、昼飯を先に頼む。
 それと、連絡が来たら、迎えに行ってくれ、頼んだぞ」

「畏まりました」


昼飯を食べて、書斎に籠る。
最近、昼も夜も忙しくて、仕事が溜まっていたからな。
気にはなったが、俺には出来ることは無いからと、頭から無理やり追い出して、目の前の仕事の山と格闘する。

ん? 車の音? やっとゴンザに連絡が来たのか・・・

『カオルの奴、やっとお迎えか。
 ゴンザも忙しいな。
 帰って来たら、お前の3時のお茶と、カオルの昼飯だぜ?』

「ああ、そうだな」

『鋼牙、愛想ないな』

「ザルバ、この状況を見ればわかるだろ? 愛想なんか振り撒けるか。
 いいから、仕事中は少し黙ってろ」

それきり、会話を打ち切り、仕事に没頭する。

ゴンザが迎えに出て行ってから1時間ほどして、帰って来たのか? 車の音がする。
ペンを置き、椅子から立ち上がると、左手の指から、皮肉っぽい声がする。

『おい、鋼牙、俺には愛想のひとつも振り撒かないくせに、
 カオルが帰って来たとたん、尻尾振って、出迎えに行くんだな』

「うるさい、病気のカオルの心配して何が悪い」

『別に、いいんじゃないか? お前はカオルの ”守りし者” なんだろ?』

ふん、好き勝手言ってろ。
書斎から出ると、ゴンザは車をしまいに行ったみたいで、カオルは、洗面へ行ったあと、たぶん、服を着替えるつもりなんだろう。
二階に上がっていく姿が見えたから、昼飯を食べに下りてくると思って、声を掛けず、向きを変えて、ダイニングの方へ向かった。
椅子に座ろうとしていると、カオルより先にゴンザが戻ってきた。

「ただいま、戻りました。
 鋼牙様、遅くなりましたので、お腹が空いていらっしゃると思います。
 カオル様の昼食を先に用意しますので、今しばらく待っていただけますか?」

「ああ、かまわないから、そうしてくれ」

「では・・・」

ゴンザの用意が終わったころ、カオルが下りてきた。
隣の席に座りながら、俺を見て微笑む。

「ただいま、鋼牙。
 メモに書いてあった通り、起きるの遅かったけど、きちんとお医者さん行ってきたよ」

「どうだった?」

「うん、なんともないって。
 しばらくしたら、治るって言われた」

「そうか、なら、昼飯を食べろ、腹減っただろ?」

「うん、じゃ、ゴンザさん、いただきま~~す」

「はい、どうぞ。
 鋼牙様、お茶が入りました」

「ああ、すまない」

時間が時間だ。
よっぽど腹が減っていたんだろうが、珍しいことに何も喋らず昼飯を食べている。
まあ、風邪もたいしたことなかったんだから、きちんと食べてさえいれば、すぐに治るだろう。

カオルが食べ終わり、ゴンザの淹れたお茶を飲み終わったのを見て、仕事を再開しようと、椅子から立ち上がりかけた俺の腕を掴んで、カオルが、俺の動きを止める。

「カオル?」

「ちょっと、待ってくれる? 鋼牙、これ・・・ 見て」

微笑みながら、俺の目の前に、10cm四方ぐらいの、黒っぽい写真のようなものをさし出す。

「なんだ、これ?」

「さあ・・・  鋼牙、なんだと思う?」

ん・・・・?
一面黒っぽい画像。
紙っぽいから、レントゲンでもなさそうだが・・・ 
なんかの写真か?  見当もつかない。

「カオル、わからない、教えてくれ」

「これ、ここ見て。
 これね、ちっちゃな、まる~いのがあるでしょ?」

「ああ」

「これがね、わたしの微熱の原因」

「カ、カ、カ、カ、カ、カオル様!」

『おい、カオル~~』

「ゴンザさん、ザルバも、もうちょっと黙っててくれる?」

「・・・・・?・・・・・」

「鋼牙、これがね、だんだん大きくなっていってね。
 それで、あと、8カ月か、9カ月したら・・・」

「だから、なんなんだ?」

「鋼牙様!」

『鋼牙~~』

「ふふ、順調にいけば、おぎゃぁ~~って言って出てきて、鋼牙、お父さんになるの」

「・・・・・カオル、お前・・・」

「おめでとうございます、カオル様、鋼牙様」

『ふ~~ん、鋼牙が親父になぁ・・・
 お前ら、一応、やることやってたんだな・・・』

なんだか、ザルバの奴が、腹の立つようなこと言ってるような気もするが・・・

「鋼牙?
 ど~お?
 ねえ、なんで何も言ってくれないの?
 もしかして・・・ 嬉しくないの?
 ねえ、鋼牙・・・」

なんで、そんな心配そうな顔をしてこっちを見るんだ? カオル。
俺、俺は・・・ 俺は・・・

椅子をずらして、カオルに向き直ると、カオルの顔を両手で挟んで、ゆっくりと、瞳を見つめながら、顔を寄せて・・・
今の思いのたけを込めて、口づけた。
側にはゴンザがいた。
ザルバも左手に嵌まったままだ。
だが、不思議とそんなこと、気にならなかった。
嬉しくないなんて、そんなことあるはずが無い。
嬉しいに決まってる。
「よかった」 「嬉しい」 他にも幸せを表す言葉は、いろいろあるだろうが・・・
そんな言葉でなんて、今のこの俺の胸の内を言い表すことなんて、できはしない。

「んーーー・・・」

ゆっくりと顔を離し、カオルの瞳を見つめて・・・

「ありがとう。 
 カオル、ありがとう・・・」

勝手に口が、そう喋っていた。

「鋼牙~~」

俺の首に手をまわして、縋りつくカオルを引き寄せ、膝の上に抱えあげて抱きしめる。
お互いの肩の上に顔をのせ、頬を合わせたまま、抱きしめ合う。

「よかった、喜んでくれるんだね」

「当たり前だ、家族が増えるんだからな。
 こんな嬉しいこと、他にあるわけないだろ?」

「うん・・・」

「今朝、メモを残しておいてよかった」

「なんで?」

「お前すぐ飲もうとするが、薬はだめだろ?」

「あ、そうだね。
 よかった、薬、飲まなくて。
 病院に今日行ったのも、鋼牙のおかげ」

「身体、大事にしてくれよ」

「うん、気をつける。
 あ、そう言えば、ゴンザさん・・・ あれ? いつの間にかいなくなってる」

「まあ、俺があんなことしたら、ゴンザのことだ、消えるだろ」

「もう、笑い事じゃないよ。
 あ、ザルバ・・・」

『はぁーー  もう目を開けてもいいか?
 俺もゴンザみたいに消えてやりたかったが、さすがに、それは無理だからな。
 目だけは閉じておいてやったぜ、カオル』

「ありがと、ザルバ」

『だがな、手が無いもんだから、耳に栓することができなくてなぁ~~
 悪い、カオルの喘ぎ声とか、聞こえちまったぜ』

「もう、やだ、ザルバ、言わないで~~ 恥ずかしい~~」

『ま、今さらだな』

「それぐらいにしておけよ、ザルバ。
 お前、さっき、どさくさに紛れてかなり気になること言ってただろうが」

『あれ? しっかり聞こえてるし、覚えてたんだな、鋼牙』

「ああ。
 カオル、話の続きは、 ”指令書” が無ければ、今夜またな。
 俺は、書きものの仕事がかなり溜まってるから、書斎で仕事してくる。
 お前は何も無いなら、のんびりしてろ、いいか?」

「うん、わかった」

「ただし、これからは、うたた寝は厳禁だからな。
 眠くなったら、絶対にベッドで寝ろよ、いいな」

「はぁ~い」

そう返事して、膝の上から降りる。
俺も立ち上がり、ふと、思いついて、左手をザルバごとポケットの中に突っ込むと、腰を屈め、右手をカオルの頭の後ろに廻し引き寄せて、口づける。

「カオル、いい子にしてろよ」

「うん」

書斎に向かって歩く俺に、ポケットから出したザルバが呟く。

『さっき、さんざん横であんな熱いのやっといて、
 今度はたいしたことないのにポケットの中か・・・』

「いくぶん正気に戻れたからな」

『たしかに・・・
 しかし、意味がわかった時の、あのお前の顔!
 まるで酸欠の時水面で喘ぐ、金魚のようだったぞ、鋼牙』

「かもしれないな・・・」


ゴンザが呼びに来るまで、仕事を続けて、全部とまでは行かないが、なんとかほとんどのモノを片付けた。

「ゴンザ、俺にはわからないことばかりだが、これからのカオルのこと、頼む」

「お任せくださいませ、鋼牙様。
 大丈夫でございますよ。
 鋼牙様は、カオル様の傍にいて、いつも笑っていられるようにする。
 それだけで、いいんです」

「わかった、そうなるよう、努力する」


”指令書” も来なくて、晩飯を食べて、順番に風呂に入ると、俺の部屋のベッドで二人寝たまま、昼間見せてくれた写真をもう一度ゆっくりと見る。

「病院行ったらね、問診票をまず書かされるんだけど、一番最後のチェック項目にね、
 既婚者ですか? 今、妊娠してますか? っていうのがあるの」

「で?」

「既婚者のところに〇つけて、あとは、わかりません、って書いたの。
 そうしたら、問診票を取りにきた時に見た看護師さんに、 
『避妊してますか? 妊娠するような心当たりありますか?』 
 そう、訊かれてね。
 恥ずかしくて、黙ったまま答えられなかったら、 
『じゃあ、尿検査しましょう』 って・・・」

「・・・・・」

「で、待ってた内科の順番が来て、診てもらったお医者さんに、ニコニコ笑いながら 
『おめでとう、連絡したから、産婦人科にまわってください』
 そう言われて・・・
 でね、男のお医者さんだったんだけど、超音波でこれ、撮ってもらったり、
 診察台で、恥ずかしいカッコして内診されたりしたんだけど・・・
 でも、皆してることだもんね、頑張って診てもらってきたよ」

「そうか、大変だったな・・」

「わたし、最初、内科で言われた時は、ただビックリして、
 で、産婦人科に行った時は、診察で恥ずかしくて、ドキドキして、
 あとは、お医者さんの話聞くのに一生懸命で、
 ゴンザさんに迎えの連絡して、待ってる頃から、じわじわって・・・
 やっと、そうなんだ~ って思えるようになって」

「・・・・・」

「帰って、ほんとは鋼牙の顔見た時、すぐに言いたかったんだけど、
 お医者さんに、ご飯はきちんと食べてくださいね、って言われてたのを思い出して」

「それで、無言で、昼飯をかっくらってたのか・・・
 俺は、最初、よっぽど腹が減ってるんだな、 そう思ってた」

「もう~~
 で、鋼牙に、やっと言えた」

「俺は、驚き過ぎた」

「鋼牙の言葉の出ない顔なんて、初めて見たよ」

「一生に一度の不覚、だな」

「ね、嬉しい?」

「ああ、すごく嬉しい」

「喜んだ?」

「あたり前だ」

「ね、どっちが欲しい?」

「元気なら、どっちでもいい」

「産んだ後、努力するけど、子育てに追われて、
 カオルじゃなくて、お母さんになったら・・・
 鋼牙、どうする?」

「お母さんになるのは当たり前だろ?
 子供にとっては、お母さんでも、
 例え、周りにそうとしか見えなくても、
 俺にとっては、カオルは、カオルだ。
 お前を想う気持ちはずっと変わらない」

「じゃあ、子供が産まれても、甘えさせてくれる?」

「ああ、二人だけの時なら、いくらでも」

「鋼牙、好き、大好き」

「カオル・・・」

身体の向きを変えて、キスして、首筋に顔を埋める俺を、すまなさそうな顔をして、カオルが押しとどめる。

「カオル?」

「あのね、今日、産婦人科で言われたんだけど、
 安定期に入るまでは、その・・・  えっと・・・」

「・・・?・・・」

「愛し合うことは控えましょう、って」

「・・・・・そうなのか?」

「だって、ここに、いるわけだから・・・」

「そうだな、わかった」

「ね、鋼牙、がっくりした?」

「ふっ  そうだな、少しな」

「ね、我慢できる?」

「ああ、できる。
 お前と、付き合ってたころの、あてのないお預けと違って、
 今回は、ちゃんと理由があるしな」

「そうだね。
 しばらく、我慢してね、鋼牙」

「ああ。
 だが、別にキスはしてもいいんだろ?」

「うん、いいよ」

「じゃあ、早速だが、目を閉じてくれないか? カオル」

綻ぶように嬉しそうに笑うカオルは、そっと腕を伸ばし、俺の首に手をまわすと、そのままゆっくりと目を閉じた・・・


俺は胸の中で呟きながら、想いを込め、目を閉じ、そっと顔を寄せた。

カオル、ありがとう。
好きだ・・・ 愛してる。








コメント
コメント、ありがとうございます。
なんにでも沈着冷静な鋼牙も、さすがに驚くというか、最初はピンとこないだろうな・・・
そう思いまして、こんな感じに仕上がりました。
また、できれば、妊娠途中の話をいろいろ書いてみたいものです。
では。
【2011/12/23 23:03】 | なな #- | [edit]
前略、一二三様。
まさかのコメ3連発! ありがとうございます。
なぜに、そんな慌てていたのか・・・
ぷぷっ (笑)
謎についての詳しい説明を楽しみにお待ちしています。
【2011/11/19 23:21】 | なな #- | [edit]
こんばんは、Dea様。
本当に久しぶりに一気に書き上げて、誤字とかぐらいしか、ほとんど手直ししていませんが、少しは気持ちがあったかくなったでしょうか?
気に入っていただけたなら、良かったです。
いつまで書き続けていけるか、わからないですけど、私の妄想の続く限り、書いて見たい、そう思います。
リクエスト、どうもありがとうございました。
【2011/11/19 23:15】 | なな #- | [edit]
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